アイコン アメリカ財政の崖 政府機関の閉鎖の危機 経緯 日本は天井知らずの放漫財政

米労働省は27日、予算をめぐる与野党協議が物別れに終わり政府機関が10月1日から閉鎖された場合、4日に予定している9月の雇用統計の公表を延期する方針を明らかにした。

同省のウェブサイト上に掲載した文書は「すべての調査やプログラムはストップし、ウェブサイトの更新は行われない」としている。

商務省の報道官は「(政府機関が)閉鎖されれば、経済指標は全て公表されない」と述べている。また、連邦準備理事会(FRB)の経済指標は、政府機関閉鎖の影響を受けないとしている。

 アメリカでは、恒例となっている財政の崖問題、実質新年度入りする10月、10月1日から11月15日までの資金を手当てする暫定予算案について共和党は、オバマケア(国民皆保険)を1年先送りした修正案を下院で可決させ、28日上院へ送った。
しかし、民主党が多数派を占める上院では、当修正案が否決される公算が高く、廃案となる可能性が高くなっている。
廃案になれば、予算執行ができず、30万人ともいわれる省庁などの政府機関が休業せざるを得ず、大混乱に陥る可能性が高くなってきている。
すでに、軍事予算は、大幅にカットされ、部署統合など行われている。オバマとしては、財政の崖問題もすべて洗い流してくれる戦争=シリア攻撃をロシアにストップされ、10月の財政の崖に直面することになってしまった。国防省も事務職80万人のうち、40万人が休職に至るとされている。その上、アラビア海の2隻の空母を1隻に減らすことも検討されている。
 株式市場でも、こうした労働省や商務省の経済指標の発表がなければ、頼りとする株式市場は、大混乱に陥る可能性もある。

<財政の崖経緯>
財政均衡法とは、米国で財政赤字を中長期的に削減していく方向を明確化した法律。財政赤字が同法の定める限度額を超えると、自動的に歳出削減が行われるという効力をもつ。1985年12月に成立。同法について最高裁が違憲判決を出し、違憲部分を一部修正して1987年12月に新グラム=ラドマン=ホリングス法として再び成立した。
アメリカでは財政均衡法に基づき、2011年に財政管理法を制定、2011年より10年後には10兆円財政赤字を縮小するとした。
アメリカはブッシュ政権が時限的なブッシュ減税を行っていたが、2010年12月にオバマ大統領は、2008年のリーマン・ショック後の景気低迷に対応するためにブッシュ減税を2012年12月31日までの2年間延長する法案に署名した。
しかし、これによりアメリカ政府の財政赤字が積み上がり、2011年5月16日に米連邦債務は法定上限額に到達し、アメリカ財務省はデフォルト回避のために特別措置を行った。
本年はじめの合意では、9年間かけて公共事業・社会保障・国防等の政府の全ての分野の歳出が、合わせて1.2兆ドル分強制的に削減されることになった。1.2兆ドル削減の約半分は国防費となる。そのため、多くの軍事訓練も中止されている。
米国の財政赤字は、GDP比で3.3%に相当する5,000億ドル(当時約40兆円)分の財政赤字が解消されるとされたが、何らかの追加的な対策措置が行われない限り、ブッシュ減税の延長期限(2012年12月まで)が切れて9割の家計が、実質的増税となり家計平均税率が約4.5%上がる上に、大幅な歳出削減も加わるダブルパンチで、アメリカの景気が崖から落下するように悪化するとされている問題。

民主党は、大きな政府を志向し、増税には賛成だが歳出削減には否定的、一方共和党は、小さな政府を志向し、増税には大反対だが歳出削減には積極的なため、下院では共和党が多数を占め、民主・共和両党の間で具体的な税と歳出の行方を合意することができず、期限日となる2012年12月31日にようやく、民主・共和両党は上・下院で、富裕層を除く層を対象にした減税の恒久化と世帯年収45万ドル以上の富裕層に対する増税を実施して、家計の平均税率を1.8%増に抑えた上で、歳出の強制削減を2013年2月28日までの2ヶ月間凍結する法案を可決した。

これにより大幅な実質増税と強制歳出削減のダブルパンチによる財政の崖は回避された。しかし、期限が切れる2月28日にオバマは、強制歳出削減措置に署名して、今日に至っていた。
ところが、その13年度の(財政赤字削減額は約5600億ドル(GDP比3%)の財政)緊縮予算では、10月半ばに財政破綻することから、歳出上限幅の緩和を上・下院に対して、承認を求めているものの、共和党が過半数を占める下院では反対されることは必死であり、共和党もオバマに対して、歳出上限の緩和条件にオバマケアの撤廃を求めている。しかし、オバマはオバマケアを公約であり、断固として譲らず、民主党選出のオバマと共和党が対立したままとなっている。

日本では、ネジレ国会というが、アメリカでは昔から、下院は共和党、上院は民主党が過半を占めており、日本のようにネジレ解消で、すき放題・何でもかんでもお気に入りの政策を進行させるようなアメリカではない。
共和党や民主党の議員といっても、それぞれ個々ま個性も強く、小泉君が持っていた踏み絵など存在しない。今回のような瀬戸際政権では心配もされようが、ネジレでケンケンガクガクやりながら結果的に先に進めていく。こうした点は、アメリカ人は優れているといえるが、何でもかんでもアメリカを真似したがる日本ならば、こうした点も規範にすべきだ。
 

[ 2013年9月30日 ]
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