アイコン 今や製薬会社は売り買いされる時代 新薬開発どころではない

6月2日、カナダの製薬会社バリアント・ファーマシューティカルズ・インターナショナルは、米製薬会社アラガンに対するこれまでの538億ドルの買収提案について、敵対的買収に切り替える方針を示したとロイターが報道している。
バリアントのマイク・ピアソン最高経営責任者(CEO)は、2~3週間のうちにアラガン株主から直接株式を買い付ける案を米証券取引委員会(SEC)に提出するとしている。
バリアントともにアラガン買収を目指しているヘッジファンド、パーシング・スクエアのビル・アックマンCEOとともに開催した電話会議で明らかにした。
ピアソンCEOは、アラガンに買収協議に応じるよう求める一方、「協議をまとめることに非常にコミットしている」と述べた。
またアックマン氏はアラガンに臨時株主総会の開催を要請した。パーシング・スクエアはアラガンに9.7%出資している。
同氏はアラガン取締役の大半を刷新したい意向で、早ければ8月7日に開催される可能性があるとしている。ただアラガンは11月まで開催を先延ばしすることも可能という。
以上、報道

証券市場で気持ちだけグローバル化した厚労省医薬食品局を頂点とする日本の製薬業界、ガラパゴス化した日本の製薬業界を尻目に、海外では医薬品業界のM&Aが花盛りとなっている。
5月26日には、米医薬品大手ファイザーが、英アストラゼネカに対する1180億ドル(12兆円)での買収を断念したと発表された。ゼネカが価格をさらに吊り上げたための断念であるが、ゼネカの株主からは、なぜ応じなかったのかとゼネカ経営陣が叩かれる顛末となっている。
ただ、
こうした医薬品業界のM&Aによる寡占化は、中国で昨夏英グラクソが問題となったように、医薬局、病院関係者を賄賂漬けにし、結果、医薬品を高額販売した問題が発生する原因ともなる。

こうした動きは、一方で、新薬開発が疎かになる可能性も高い。新薬開発には膨大な期間と投資が必要であり、また認可されるとは限らない。
現世の株主は利益を求め、配当を求める。新薬開発は多大なリスクを伴うことから、いきなりM&Aにより支配医薬品を増加させ、利益を拡大させようとする。行き着くところは、自社開発力の低下、既存品の臨床データ改ざんにより売りまくるノバルティス社(スイス、世界第2位)やグラクソ(世界第3位)のようになってしまう。

厚労省の医薬品行政よる鎖国・ガラパゴス化は改善の余地大であるが、開発を疎かにするM&Aもいかがなものかと思われる。
暫くすれば、会社どころか、泉佐野市のように国を売りに出す国も出現する可能性もある。現在のハゲタカの株式市場の世界では、会社は株主のものであり、経営者のものでも従業員のものでも微塵もないことが窺い知れる。当然、そこで働く人は、人ではなく、モノであり、結果としていつでも首を切られる存在。すでに形骸化している企業の社会的な使命など微塵も関係ない世界だ。殺伐としたものだが、今の経済のグローバル化とは、ハゲタカをさしている。守銭奴だ。
そこに政治がかかわりを持ち、制御する必要があるが、新自由主義はそうした制御はもってのほかとしている。リーマン・ショック前となんら変わっていない。
 

[ 2014年6月 3日 ]
モバイル
モバイル向けURL http://n-seikei.jp/mobile/
スポンサード リンク

コメント

関連記事

  • この記事を見た人は以下も見ています
  •  
  • 同じカテゴリーの記事です。
  •   


PICK UP

↑トップへ

サイト内検索