アイコン OPECに立ちはだかる米シェールオイル軍団の増産 生産コスト急激に低下

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トランプ次期大統領は、自国の利益のためには何でも躊躇せず、政策実行するというスタイル。シェールオイルがOPEC減産の価格上昇で、シェールオイル生産の損益分岐点を上まわれば、ピーク時の1/4以下に減っている稼動リグ数であるが、停止中の掘削リグが一斉に生産再開に入る可能性がある。それに加え、トランプ大統領が、これまでの輸出規制を撤廃し、輸出を拡大していく可能性もある。ポイントは55ドルとされているが・・・。

ロイターは、シェールオイルの生産コストを次のように掲載している。
米国のシェールオイル開発業者は、この数年で生産コストを大幅に引き下げた。このため石油輸出国機構(OEPC)の減産を好機ととらえて増産に動き、油価の上昇を妨げる恐れがある。

米国では、テキサス州からサウスダコタ州に至るシェール油田の生産コストが2014年以降で約半分になったという。
この間にサウジアラビアは、価格競争を仕掛け、生産コストの高いシェールオイルを市場から駆逐しようとしたが、米シェール業界は消滅するどころか、低価格環境にも耐えうる強靭なライバルに成長した。

ノースダコタ州鉱物資源局のリン・ヘルムズ局長によると、同州ダン郡のバッケンシェールの生産コストは1バレル当たり15ドルで、なおも下がり続けているという。
現在の生産コストは、イランとほぼ同じで、イラクよりは若干高い水準。ダン郡の産油量は日量約20万バレルで、ノースダコタ州全体の約20%を占める。
ダン郡のシェールオイル生産コストはノースダコタ州で最も低いが、掘削技術の進歩などにより州全土あるいは米石油業界全体で生産性は向上している。

コンサルタント会社のリスタッド・エナジーによると、バッケンシェールの井戸元での平均採算コストは今年が1バレル=29.44ドル。2014年は59.03ドルだった。井戸元価格で見るとバッケンは米国内のシェールオイルで最も競争力があるという。
ウッド・マッケンジーは技術の進歩で損益分岐点はさらに下がるとみている。

バッケンは海に面しておらず、輸送コストの上乗せが不可欠なため、国際市場での原油価格が井戸元のコストを上回らないと採算が合わない。
しかし、ノースダコタ州石油評議会のロン・ネス議長によると、原油価格が45ドルであればバッケンシェールの一部業者は採算が取れ、55ドルになれば増産が進む見通しだという。

OPECは、コストを圧縮する一方で掘削リグを増やしてきた米国のシェールオイル業者が減産に即座に反応するのではないかと危惧している。

RBCキャピタル・マーケッツのエネルギーストラテジスト、マイケル・トラン氏は「2年前には原油価格が50─60ドル前後なら非OPEC諸国の増産は止まると考えていた。しかし米国の原油生産は力強く回復した」と話した。
 以上、

米国のシェールオイルの掘削リグ数は大幅に減少してきたが、生産量はそんなに減少していない。それは、大規模油田開発と生産コストの大幅削減効果にある。
石油サービス大手、ベーカー・ヒューズの調査によると、シェールオイルの掘削リグ数は、今年2月の段階では、2014年10月10日時点のピーク(1609基)に比べ24%(386基前後)の水準まで落ち込んでいると報告している。
次の表のとおり、橙色のシェールオイル生産量の推移は、稼動リグ数が大幅に減少しているなかで、生産量はそれほど減っていないことが明らかにされている。

最近の報道では、
2016年11月15日に米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)が公表した掘削生産性に関する報告書で、米国のシェールオイルの生産量が12月は日量▲2万バレル減の同441万バレルとなり、2014年4月以来の低水準となる見通しであることが分かった。減少は12ヶ月連続となる。
 
原油価格は、米国で生産を停止している掘削リグが55ドル以上になった場合、大量に再稼動させることから、恒常的には55ドル以上にはならないというのが大方の見方となっている。

<米国の原油生産量とシェールオイル生産主要7地区の原油生産量の推移(単位:バーレル/日)(2015年10月以降はともにEIAの見込み)>
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[ 2016年12月 2日 ]
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