【東京】戦後思想誌『思想の科学』の出版社が破産 鶴見俊輔、丸山真男らが1946年創刊
戦後を代表する思想誌の一つ『思想の科学』を自主刊行してきた(有)思想の科学社(法人番号:7011102006010)は、2026年9月2日、東京地裁から破産手続きの開始決定を受けた。
破産管財人には内田崇彦弁護士が選任されている。債権届出期間は9月30日までで、財産状況報告集会などの期日は11月27日午前10時30分。事件番号は令和8年(フ)第6395号。
同社は1962年、雑誌『思想の科学』を自主刊行するために設立された出版社。『思想の科学』は鶴見俊輔、丸山真男、都留重人らによって1946年に創刊され、戦後日本の思想・論壇史に大きな足跡を残した。
思想の科学社の会社概要
| 法人名 | 有限会社思想の科学社 |
|---|---|
| 法人番号 | 7011102006010 |
| 登記上の所在地 | 東京都新宿区百人町 |
| 公式サイト掲載所在地 | 東京都新宿区北新宿1丁目 |
| 会社設立 | 1962年3月 |
| 主要事業 | 出版事業 |
| 負債額 | 確認できず |
『思想の科学』は1946年、鶴見俊輔や丸山真男らが創刊
雑誌『思想の科学』は1946年、鶴見俊輔、丸山真男、都留重人、武谷三男、武田清子、渡辺慧、鶴見和子の7人を同人として創刊された。
創刊当初は先駆社から刊行され、その後、建民社、講談社、中央公論社と発行元を移しながら刊行が続いた。
思想の科学社という法人が設立されたのは創刊から16年後の1962年であり、1946年から現在の会社が存在していたわけではない。
「天皇制」特集をめぐり中央公論社と決別、1962年に会社設立
思想の科学社設立の契機となったのが、中央公論社から刊行予定だった『思想の科学』1961年12月号の特集「天皇制」をめぐる問題だった。
思想の科学社の公式沿革によると、中央公論社が同号を編集者側に無断で断裁したことに抗議。雑誌を自ら発行するため、1962年3月に有限会社思想の科学社を設立した。
初代代表取締役には哲学者の久野収氏が就任。同年から『思想の科学』の自主刊行へ移行した。
戦後50年にわたり刊行、全539冊
『思想の科学』はその後も刊行が続き、創刊50年となった1996年に雑誌としての刊行を終えた。
思想の科学社によると、1946年から1996年までの『思想の科学』は全539冊に及び、掲載された論文・記事は約1万件。同社は終刊後も『思想の科学』の歴史をまとめた書籍やダイジェスト版などを刊行・販売してきた。
既刊書には、鶴見俊輔編『源流から未来へ「思想の科学」五十年』や、『思想の科学ダイジェスト 1946~1996』などがある。
2025年8月にも公式サイトを更新
雑誌の終刊後も思想の科学社は出版物の販売などを続け、公式サイトには既刊書の案内や注文方法などを掲載していた。
2025年8月1日には連絡先メールアドレスの変更を告知しており、今回の破産開始決定のおよそ1年前にも公式サイトの更新が確認されている。
ただし、サイト更新が当時の事業規模や経営状況を示すものではない。
負債額や破綻原因は確認できず
今回確認できた公開情報では、思想の科学社の負債総額や事業停止時期、破産に至った具体的な経緯は明らかになっていない。
なお、『思想の科学』そのものは1996年に刊行を終えており、今回の破産によって同誌が廃刊となったものではない。今回破産開始決定を受けたのは、その自主刊行を担い、終刊後も関連書籍の出版・販売を続けてきた有限会社思想の科学社である。
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