製造の主要な資材・部品を内製化するという「中国製造2025」という国家計画、清華紫光集団(CXMT/国立の清華大学直系の財閥グループ)は、DRAM(8GB DDR4)生産の自主化に向け約3兆円を投じている。

「中国製造2025」は、スマホや通信中継機器で成長著しかった中興通訊(ZTE)が2018年4月、米トランプ政権によるイラン輸出問題で2度目の制裁を受け倒産寸前に至ったことから、習国家主席はその年の11月、製造機械、部品、部材、資材等を外国製品に依存せず、2025年までに内製化を進める方針を打ち出したもの。
昨年7月には「科創板」という新興市場まで設け、最先端技術における選抜された25社を上場させ、市場から資金を集めさせ、最先端の研究開発や工場投資をさせるものである。

20第1四半期の汎用性のあるDRAM市場は、サムスン電子がシェア44.1%、SKハイニックスが29.3%で韓国勢が73%を占め圧倒した。
サムスン電子は、2030年までに非メモリ系であるシステム半導体でも世界№1になると宣言している。
しかし、メモリ系半導体が暴落した2019年の半導体市場は4,183億ドル、うち非メモリ系うち73.7%の3,067億ドル、韓国勢が得意とするメモリ系は26.7%で1,116億ドルに過ぎなかった。それも中国勢の追い上げが今後、著しくなると予想されている(調査会社ガートナー)。

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サムスン電子は、メモリ系価格の暴落に、非メモリ系のファブレスメーカーから受託生産するファンドリー事業を強化し、2017年10%シェアを今年第1四半期には15.9%まで高めている。

非メモリ系は価格に左右されず、そうした非メモリ系のファブレスメーカーから受託生産するファンドリー事業の受注価格もほとんど変動がない。
そのためサムスンは、メモリ系が在庫増で生産調整に入る中、メモリ系増産用工場をファンドリー事業に転用して受注を大きく伸ばし、専用工場も現在建設に入っている。
(ただ、ファブレスメーカーも設計技術+ノウハウを盗まれる可能性のある非メモリ系でも世界一を目指しているサムスン電子に対しての発注は今後限られてくるものと見られる)

非メモリ系は、米インテルのCPU(中央演算装置)、クアルコムのAP(アプリケーションプロセッサー)、SONYのイメージセンサーなど多様であり、設計だけ行う半導体ファブレスメーカーも下記表のとおりであるが、ファンドリー会社は製造に最先端技術も必要なことから、大手はTSMCやサムスンなどに限られている。

米トランプの中国制裁はサムスン電子の利益を大きく増加させている
1、 ZTEを制裁し、サムスンのスマホ事業の落ち込みを踏み留まらせた。
2、 ファーウェイ制裁では、サムスンは通信基地局機器ではそれまで5%のシェアだったが、今では5Gに限れば30%まで高めている。(ファーウェイは5Gに関する世界特許件数では過半数を有している)
3、 同じくファーウェイ制裁では、スマホの世界市場が落ち込むなか、制裁により欧州ではファーウェイ製が売れなくなり、サムスンが大幅に市場シェアを回復させ、世界シェアも大きく回復させている。
4、 そして、今回トランプ政権の中国制裁では、ファーウェイから受託生産している台湾のTSMCへの牽制により、利を得るのはファーウェイにメモリ系を7千億円売り上げるサムスンや3千億円売り上げSKハイニックスに利益が転がり込むことになる。

トランプの中国制裁は、サムスンの利益と直結し、制裁が強化されるほどにサムスン電子は利益を貪っている構図となっている。

ただ、トランプの制裁は中国の企業制裁から中国制裁へ向かっており、さらにエスカレートすれば、サムスンは身動き取れなくなるヤバサもある。
米企業の製品やプログラムが入った製造機械でサムスンの半導体は生産されており、トランプしだいでは中国への納品ができなくなる可能性がある。

さらに、トランプが中国との貿易を、電子製品分野で一部遮断することにもなれば・・・。
腕力だけで外交下手のトランプは、海外に敵ばかり作り、現在、中国包囲網の一環で、韓国などに対してG7のオブザーバー参加を呼びかけている。しかし、韓国にしても、文政権の拠り所の中国を刺激することはあるまい。また、トランプが劣勢な11月5日の大統領選挙を控え、それまで米中利用国は耐え忍ぶものと見られる。

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↓トレンドフォース社による2019年の半導体ファブレスメーカーランキング
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↓半導体受託生産のファンドリーメーカー
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