アイコン 「共同富裕」論が中国席巻 ネット大企業・不動産大手への規制強化 恒大

Posted:[ 2021年9月27日 ]

中国における今回の不動産価格の高騰は、需給関係の悪化、供給不測によるもので、投機的な動きではないが、中国政府が掲げる「共同富裕」に逆行するものであり、ネット企業への独禁法による規制強化と連動した動きとなっている。

中国の住宅事情は所有割合が高く、住宅取得にかかわるローンも年収の何十年にもなる額を融資するなど、これまでは国の政策に基づく金融機関の住宅ローンの融資が価格高騰を招いてきた。

当然、不動産所有者は不動産転がしで多くの利益穂稼ぎ出している人たちは山ほどいるのも現実だ。これまでの住宅取得の優先ローンは規制され、一家族に1つのローンに規制すれば、形式的に離婚して2つの物件を優先ローンで取得するなどイタチごっこ、名義の貸し借りも頻繁に行われ、高低はあるものの上昇一途の不動産価格、転がしで大儲けできていた。

中国当局は、昨年8月、不動産価格の高騰は異常だとして、金融機関や不動産会社に対して外科手術を行使、耐えられなくなった不動産会社から順次破綻している。



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金融機関への総量規制
1、 住宅ローンの残高
2、不動産会社への融資残高
3、不動産会社の社債などの所有残高
1~3までの総額を規制して金融機関に限度を設定させた。

不動産会社への融資新基準、
1、負債の対資産比率は70%以下
2、純負債の対資本比率は100%以下
3、手元資金の対短期負債比率は100%以上

これを受け、不動産会社は
1、住宅ローンの貸付鈍化
2、双方向の価格制限と値下げの促進
3、業界間のM&A(合併・買収)の障害
4、経営負債構造の悪化
に見舞われている。

これまでの不動産業界に対しては、社債の利払いは新たな借入金で賄い、社債償還金は新たな社債を発行し金融機関が引き受けることで償還資金捻出、事業拡大のため資金需要は増勢の一途だった。
しかし、中国政府の規制強化でそれができなくなり、昨年末から不動産業界のデフォルトは急増しており、今回問題となっている恒大は、中国最大級の不動産デベロッパーでもあり、規制の深刻さを物語っている。

世界有数の不動産投資会社に成長した万達が2018年、外資流出原因で生産性もないとして当局より潰されそうになった時のやり方とまったく同じ手法を不動産業界全体に行使しているもの。
万達は海外事業からの撤退、海外不動産の緊急売却、国内のテーマパークの緊急売却などして、社債償還金を賄い、潰れずに済んだが、政府批判発言もなくなり、政府に従順になり以前の面影はない。
同じ不動産投資会社の安邦生命は、創業者が逮捕され潰され国有化、国内外の不動産処分を国の事業として進めた。海航集団は中央とのパイプがあり潰されなかったものの、共同創業者がフランスの観光地で謎の自殺、事業を縮小し続けたものの、中核事業の海南航空が新コロナで窮地に陥り、海南省主導で事業を引き継ぐため、今年1月破綻させられた。中央のパイプである王岐山副主席(それ以前の常任委員時代、習主席の腹心として腐敗撲滅の陣頭指揮)の商品価値も今や風前の灯。

恒大グループの現在の総資産は、2兆3000億元(約39兆円)、年商7000億元(約12兆円)、従業員は20万人。中核の恒大地産は280以上の都市で1300以上のプロジェクトを動かしており、1200万人以上のマンション購入者がいる。

中国で恒大と売上高で双璧の不動産業の万科集団は、財務内容が良いのか、濃いパイプがあるのか、一切問題になっておらず、恒大を吸収させる計画もあるようだ。

最悪、不動産バブルのハードランディング=崩壊、
韓国政権のように需給バランスが崩れたまま、規制強化しても一時的に沈静化するものの、一巡すればその反動も加わり、さらに不動産価格が急騰する悪循環に陥る危険性もある。
中国共産党政権として強制すればできるが、住宅価格の評価が大幅に下がれば、国民の不満を押さえ込むのも困難になる可能性もある。評価額が金融機関の住宅ローン残高と大幅な乖離を見れば、金融機関の信用不安も招きかねない。

中国政府にしても、これまで、景気悪化では、失業問題でも住宅産業の経済波及効果は計り知れず、不動産業界の手綱を緩め、景気回復を図ってきた経緯がある。

一帯一路戦略で米国と対峙してきた中国、米国から貿易戦争を投げかけられ、オーストラリアの首相が新コロナの中国起源説を唱えれば、中国がオーストラリアに対して貿易戦争を仕掛けている有様、再びアフガンで一帯一路の拡大および整備にかかろうとしている矢先、恒大の処理しだいでは、国内経済金融問題に直面する可能性もある。

 


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中国・不動産業者 危険度ランキング

2021年9月版

1

恒大(今回標的にされている)

2

華夏幸福

3

新華聯

4

鴻坤地産

5

恒泰地産

6

実地地産

7

藍光発展

8

宝能集団

9

栄盛発展

10

泰禾地産

11

天房集団

12

建業集団

13

三盛宏業

14

協信遠創

15

富力地産

16

陽光100

17

新力地産

18

中南建設

19

祥生地産

20

新城集団

21

金地集団

22

緑地集団

23

花様年

24

碧桂園

25

融創中国(支援要請の報道)

 

 


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