アイコン 強しロシアルーブル もっと実効性ある制裁が求められる

Posted:[ 2022年6月22日 ]

ロシアの金融政策当局は2014年のクリミア併合時の露制裁の教訓を生かして、今回のウクライナ侵攻に対する制裁では、自然に対策を練っていた。
ロシアは2014年のウクライナ・クリミア半島の占領により、米欧など西側から金融経済制裁され、ルーブルは大暴落、ロシア経済が大不況に陥った。
しかし、今回もルーブルは一時大暴落したものの制裁から1ヶ月せずして回復させ、さらに6年前の為替水準まで高めている。

前回はロシアに対する愛の手を14億人の中国が差し伸べ、今回はすばやく13億人のインドが差し伸べた。

物価はそれ以前に、米国発の物価高、為替安により各国は米国に対して不信感を抱き、再び通貨危機が来るのではと・・・。

そうした中で生じたウクライナ侵攻に対する露制裁は、国連193ヶ国中、150ヶ国あまりが反対もしくは棄権に回っており、露制裁参加国は50ヶ国にも満たない。世界各国は昔と異なり目覚めており、東西で片付けられる問題でもなくなっている。

ロシアルーブル(R)は22日、ドルに対しても1.83%のルーブル高、53.75ルーブルとなっている。

 



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侵攻前の2月23日は81.21R、
露制裁の3月7日には143.00Rまで暴落、
4月1日には85.75Rまで戻し、
6月21日には53.75Rと2014年侵攻後の露制裁、中国が天然ガス購入長期契約締結により反落した15年5月の51.43R来のルーブル高となっている。

こうしたロシアのルーブル高では露制裁効果も半減、制裁を主導する米国は原油も天然ガスも世界一の生産量を誇る。
しかし、生産者団体とバイデン大統領の確執・喧嘩状態から増産はOPEC並み、自転車並みのスピードに終始し、米国の原油生産量は新コロナ以前のまだ85%程度、輸入先探しに奔走する欧州各国を尻目に無力に等しい状態が続いている。

米財務長官のイエレン氏は外交にも珍しく関与、露制裁効果を確実なものにするため露産原油の(欧州の)輸入価格に関し、上限設定するようにG7に諮る予定だという。
EU各国は5月30日、露産原油の9割を年末までに輸入禁止することを決定しているが、その間と残る1割について価格の上限設定を要請するというもの。

ロシアはドイツでは一方的に一部の天然ガスを止めたが、ロシアは原油でインドや中国、東南アジア各国に新たな輸出先を見出しており、輸出量は4月までに制裁前水準に戻しており、先手打ってEUに対し原油輸出を急遽取り止める可能性すらある。
そうなれば、再び原油市場は大混乱を引き起こす可能性も出てくる。

ロシアは新たな輸出国への販売価格が市場価格より2割安かろうが、高騰している原油相場にあり、多大なる収益を上げ続けている。

米国は、イラン関係のようにセカンダリィボイコットをしない限り、露制裁効果は半減どころではなくなるが、イラン制裁でも制裁反対の中国は継続してイランから原油を購入しており、ロシアに対しても制裁に反対しており、ロックダウンからの経済回復の端緒についた中国の民間製油所は6月から安価な露産原油を大量購入しているという。
結局、イラン産原油を精製して製造された中国製のプラスチックや繊維製品が米国を埋め尽くしている。
  やはりバイデンは自らの権威主義をかなぐり捨て、欧州の首脳らを引き連れ、プーチンに会いに行き直談判し、2015年の停戦合意地点まで戻させ、停戦させることが、第一ではなかろうか。

ウクライナ軍参謀によるとウクライナ兵も毎日100人から200人が死亡しているという。120日間では1.2万から2.4万人が死亡していることになる。民間人を入れたら大変な犠牲者数となる。
バイデンインフレで高騰した小麦価格はウクライナ戦争で暴騰しており、新興国や後進国では対ドルでの為替安もあり、アフリカ等世界各地の難民キャンプでも、大量の餓死者の発生が憂慮されている。

もちっとスマートでより効果的な制裁を講じるべきではなかったろうか。

バイデンは自ら仕掛けた喧嘩相手の原油・天然ガスの生産者団体と事前に仲直りしてから、コトを進めるべきだったろう。昨年秋から露がウクライナに侵攻するぞと騒いでおり、この間、時間もたっぷりあった。
バイデンに戦略も糞もなく、2番煎じの制裁を行い、露から実質無害化され、兵器供与以外に何も見えなくなり、自ら自転車でズッコケている。

バイデンは先日、石油メジャー(メキシコ湾岸での石油採掘が主)に対して嫌味・皮肉たっぷりに増産要請していたが、実際増産できるシェールオイル・ガスの生産者団体に対しては今もって何も言えずにいる。
穀物については、欧米は小麦も大豆も輸出国であり、制裁では露産原油・天然ガスの禁輸を切り札になっていた。しかし、それは米国以外の西側・欧州各国にとっては、逆に切り札にされている。
結果、資源、エネルギー、穀物・食材等の価格高騰だけが続いている。
バイデン政権内には、一貫した論客もおらず、地球環境以外、トランプ政権の政策の延長線上にある。
内政は別にして外交上手なトランプが2年後に復帰する可能性が高くなってきている。今秋の中間選挙が見ものだ。
現実世界は、権威主義・プライドだけの烏合の集団、口がでかいのがのさばり、計画性のない目先だけで動く下手な政治家たちばかり。


スクロール→

原油生産国/2020

EIA

BP

 

万バ゙レル/

/千トン

1

米国

1,951

712,729

17.1%

2

サウジ

1,181

519,583

12.5%

3

ロシア

1,149

524,404

12.6%

4

カナダ

550

252,187

6.1%

5

中国

489

194,769

4.7%

6

イラク

474

202,038

4.9%

7

UAE

401

165,622

4.0%

8

ブラジル

367

159,191

3.8%

9

イラン

319

142,736

3.4%

10

クウェート

294

130,147

3.1%

11

メキシコ

 

95,053

2.3%

12

ノルウェー

 

91,972

2.2%

13

ナイジェリア

 

86,866

2.1%

14

カザフスタン

 

86,113

2.1%

15

カタール

 

75,873

0

 

原油輸出国ランク/百万ドル

UNCTAD 2020年版

1

サウジアラビア

94,120

2

ロシア

83,200

3

アラブ首長国連邦

57,251

4

米国

50,286

5

カナダ

47,731

6

イラク

30,685

7

ナイジェリア

26,878

8

カザフスタン

25,110

9

クウェート

24,954

10

ノルウェー

22,736

11

ブラジル

19,614

12

アンゴラ

18,938

13

イラン

17,146

14

イギリス

16,081

15

メキシコ

14,876

 

原油輸入国ランク/百万ドル

UNCTAD 2020年版

1

中国

176,321

2

米国

81,630

3

インド

64,400

4

韓国

44,462

5

日本

43,495

6

オランダ

28,341

7

ドイツ

27,502

8

スペイン

18,215

9

タイ

17,636

10

イタリア

16,165

11

イギリス

15,609

12

シンガポール

14,517

13

台湾

12,637

14

フランス

12,357

15

ベルギー

8,768

 

 


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