米エネルギー企業ベーカー・ヒューズの週間データ(6日までの週)によると、米国内の石油・天然ガスの掘削リグ稼働数は前週から7基減の772基で、11月以来の低水準となった。減少幅は2021年9月以来の大きさ。
石油リグは3基減の618基と、こちらも11月以来の低水準を記録。ガスリグは4基減の152基で、6月以来の低水準となった。
米原油先物は今週、約7%下落し、年初としては2016年以来の軟調な滑り出しとなった。
シェールオイル=原油の生産原価は、大規模効率生産基地は30ドル台、ほかも40ドル台とされ、効率が悪いリグでも50ドル台とされていた。原油価格は70ドル台であり、生産を停止する要件は見当たらない。
それでも停止するのは、生産効率の良いリグに集約する動きかもしれない。ただ、大統領選の選挙戦を1年後に控え、原油価格を吊り上げる動きかもしれない。バイデン大統領に対する対抗措置なのだろう。
米シェールオイル業界とバイデン政権は犬猿の仲、バイデン政権は国内のこれまでのメジャーには生産増を要請したが、ほとんど増産できないフル生産状態だった(メジャーの生産基地はほとんどメキシコ湾岸および海底油田)。
(トランプが承認したカナダからメキシコ湾岸に至るパイプラインと北東部の生産基地と大西洋岸の原油精製施設に至るパイプラインの敷設をバイデンは就任早々取り消し、シェールオイル軍団と対立関係に至った)
一方、今や国内ではメジャーより生産量が多いシェールオイル軍団には要請すらしなかった。
バイデンはサウジに増産要請しても相手にされず、ベネズエラに増産要請、合意に達していた。何で米国と対立しているベネズエラかというと、ベネズエラが米企業の生産施設を国有化したものの老朽化で改修できず生産停止となっていた。その施設とはシェブロンの生産リグでシェブロンに所有権を戻し、シェブロンが改修し生産を再開させるというもの。当然、制裁緩和条件となっている。何でシェブロンかというと、ユダヤ資本のロックフェラー財団傘下の石油メジャーである。バイデンはどっぷりユダヤ資本に金の玉まで握り潰されているようだ。
一方、バイデン政権は1月からEV補助金7500ドルを支給(実際は減税)し、いよいよEV時代に突入させる。
バイデン政権はこれまで原油価格を下げるため備蓄原油を放出し、現在、埋める番になっているが、価格の上昇を抑えるためバイデン政権はこれを拒否している。
もともと高いインフレ率は、バイデンが2021年に1.9兆ドルの就任祝いのばら撒き(表向きは新コロナ経済対策)、秋口から急激なインフレに至らしめたもの、ロシア制裁前の22年2月の米インフレ率はすでに7.9%に達していた。
↓米原油掘削稼動リグ数(ベーカーヒューズ社版)
シェールオイル軍団はこれまで「新たにリグを稼動させるため投資して増産しても投資を回収できる保証はない」として稼動リグ数をゆっくりとしか増加させてこなかった。21年までにリグを再稼動させたり、新規に稼動させたところは、この間の暴騰で大儲けししていた。大増産しなかったのは、当然、犬猿の仲のバイデン政権の化石燃料忌避に原因がある。
露プーチンとも副大統領時代(ウクライナ担当)の2014年以前から犬猿の仲、バイデンの好き嫌いで戦争が長引いている面もある(米軍需企業はバブル状態)。
原因に関係なく、ザポリージャ原発が爆発した場合、インフレ退治も何もかも吹き飛ぶ。
基本、シェールオイルもシェールガスもシェール層に対する同じリグ稼動施設で生産される。
スクロール→
末基準
|
稼動数
|
増減
|
WTI/ドル
|
2019/12月
|
677
|
|
59.80
|
2020/2月
|
676
|
-1
|
50.57
|
2020/3月
|
624
|
-52
|
30.51
|
2020/4月
|
378
|
-246
|
16.71
|
2020/8月
|
172
|
-206
|
42.42
|
2020/12月
|
267
|
95
|
47.09
|
2021/6月
|
372
|
105
|
71.40
|
2021/12月
|
467
|
95
|
71.53
|
2022/1月
|
495
|
28
|
82.86
|
2022/2月
|
522
|
27
|
92.05
|
2022/3月
|
531
|
9
|
102.77
|
2022/4月
|
552
|
21
|
105.36
|
2022/5月
|
574
|
22
|
114.67
|
2022/6月
|
594
|
20
|
105.76
|
2022/7月
|
605
|
11
|
97.31
|
2022/8月
|
605
|
0
|
89.55
|
2022/9月
|
604
|
-1
|
79.49
|
2022/10月
|
610
|
6
|
88.37
|
2022/11月
|
627
|
17
|
80.55
|
2022/12月
|
621
|
-6
|
80.26
|
23/1月6日
|
618
|
-3
|
73.77
|