バイデン米政権は19日、米連邦政府の負債が、議会が定めた法定上限の31兆4千億ドルに達し、デフォルト(債務不履行)を避けるための「特別措置」に入ることを明らかにした。
イエレン財務長官は、「財務省は今日から特別措置を実施する」とし、上下院の両党のリーダー4人に対し「米国の信用を守るために議会に対し速やかな行動を求める」と要請した。
上限の引き上げをめぐって対峙しているバイデン政権と野党の共和党が合意に至らなければ、6月初めにデフォルトに陥ることは避けられないとみられている。
手元資金が枯渇し、米国債が発行できなくなれば、米国債はデフォルトに陥ることになる。ただ、米国はこれまでデフォルトに陥ったことはなく、直前に議会が擦り寄り合意に達してきた経緯がある。
インフレ退治の次は財政規律問題 米政権6月にもデフォルトの可能性
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財務省は特別措置で、公的年金基金の追加投資を6月5日まで停止する。しかし、共和党の制する下院議会が、上限引き上げに対応しない場合、早ければ6月初めにも連邦政府の負債が上限を超え、デフォルト危機が現実になる。
デフォルトになると、公的年金の支給が停止し、軍人や連邦公務員の給与が停止または削減され、利息の支払いも延期される。
2011年8月、オバマ政権時代、当時のバイデン副大統領は、デフォルトの危機に直面し、両党が擦り寄り回避した経験を有している。債務上限引き上げに議会と合意するまでデフォルト発生リスクを踏まえた格付会社が米国債の格下げを発表し、金融市場を中心に世界経済が大混乱した経緯がある)。2011年の債務危機はリーマンショック後で企業利益が伸びず歳入=税収が減り、財政赤字が拡大した時期。
金融市場では、米国がデフォルトに陥る場合、議会と調整がつくまで、最悪次年度に至るまで執行予算がなくなり、失業率が高まり、破産者が続出して経済成長率が最悪5%下落する可能性があるという分析も出ている。
JPモルガンで最高経営責任者(CEO)のジェームズ・ダイモン氏は、「米国政府の信用力が疑われてはならない。それは神聖なものだ」「(米国政府の信用力を)駆け引きの材料としてはならない」と、デフォルト発生が懸念される事態に警鐘を鳴らしている。
米紙ワシントン・ポストは、2021年にムーディーズ・アナリティクスの推算を引用して、「デフォルト時、600万人の雇用が消え、全面的な景気低迷に陥る可能性がある」と報じた。また、世界的な景気低迷と世界金融市場の大混乱につながる恐れがあると指摘している。
共和党は、バイデン政権が社会福祉支出を減らさなければ、上限の引き上げに同意しない方針。(共和党は小さな政府、民主党は福祉充実など大きな政府という方針の違いがある)
共和党所属のジェイソン・スミス下院歳入委員長は声明で、「国民は莫大な財政赤字を出す現状が持続不可能であることを知っている」とし、「共和党と協力しなければ、バイデン大統領は米国の財政を危機に陥らせることになるだろう」と述べている。
一方、ホワイトハウスのアンドリュー・ベイツ報道官は、「デフォルトは米国を経済的崩壊という混乱と惨禍に陥れ、中国のようなライバルを助けること」と共和党を批判した。
同紙は、バイデン氏が「米国の債権有効性に疑いの余地があってはならない」という憲法規定を引用し、議会の合意なく国債発行を指示する案を一部の専門家が提示したと伝えた。ただし同紙は、「このような措置は法的挑戦に直面するだろう」と指摘している。
以上、
この攻防は、来年の大統領選挙にも直接影響してくる。デフォルトになり、国民が犠牲になれば、共和党支持者も共和党支持から離反する可能性もある。
共和党内の反トランプ派は、拠り小さな政府を目論む超保守派=旧ティーパーティ派で一定の議員票を持つ。中間選挙での実質共和党敗退の責任はトランプ氏にあるとされており、トランプ氏としては旧ティーパーティ派の動きとともにフロリダ州のデサンティス知事の動きも気になる。
世界中、どこの国も紙切れの切りっぱなし政権など存在しない。唯一、どっかの国を除いては・・・。
日本は江戸時代から火災があった城など再建するため、藩は豪商などに対して100年以上の償還期の巨額藩債を発行してきた経緯がある。江戸時代と何ら変わらないようだ。