中国税関総署が7日発表した10月の貿易統計は、輸入が予想外に増加した一方、輸出は減少ペースが加速した。
国内外にさまざまな課題を抱える中国経済の回復が依然まだら模様であることが浮き彫りとなった。
輸出は主力輸出先の欧州や東南アジアが減少し、前年同月比▲6.4%減の2,748億ドル(約41兆円)と大幅に落ち込んだ。減少は6ヶ月連続。
輸出は、米国向けもマイナスとなったうえに、ヨーロッパや東南アジア向けが大きく落ち込んだことにより前年同期比▲6.4%減少した。輸出が減少するのは6ヶ月連続で、景気回復に向けた重荷となっている。減少幅は前月から拡大している。
品目別ではパソコンや衣料品などが減少している。
アップルの7~9月の決算では、パソコンMACの売上高が▲34%減少、タブレットも落ち込んでいた。MACやアップルのタブレットはスマホ同様・中国で生産されている。
輸入は、原油や鉄鉱石など資源関連の輸入が増えたことで3.0%増の2,183億ドル(約33兆円)、輸入は12ヶ月ぶりに増加に転じた。
貿易収支は、565億ドルの黒字(前年同期は820億ドルの黒字)だった。
9月は輸出、輸入とも6.2%減少していた。
中国経済は不動産部門の問題のほか、失業、家計・企業心理の低迷が持続的な景気回復を脅かす要因となっており、これまでの政策支援で内需を支えられるか不透明となっている。ただ、輸入の大幅増は、在庫の補充など内需拡大に起因している可能性もあると報じている。
中国では、不動産市場の低迷や雇用不安などを背景に、国内需要が力強さを欠く状況が続いているが、輸出の減少が今後も続けば、企業の生産や投資などにも悪影響を与えるおそれがあり、景気回復に向けた重荷となっている。
不動産市場の低迷は、不動産の利用権販売を歳入の大きな柱にしている地方政府の財政に大きく影響しており、中央政府は地方政府に対して国債=地方債の発行を特別認可し、金融機関に取り扱うよう指示している。
地方政府はインフラ投資金の調達どころか運転資金にも支障をもたらす事態に至っており、中国経済は民需や外需が主導すべきところ、外需は欧州が低迷、調子よかった米国も経済指標がだんだん悪化してきている。
アジア全体を1つにして欧米への輸出によりアジア経済は成立しており、中国の輸出低迷ではアジア全体の輸出の低迷に通じてしまう。
民需は経済波及効果が高い住宅産業が、習氏の「共同富裕論」による不動産開発会社に対する自己資本率による融資規制により、不動産市場が崩壊の危機に陥っており、多くの国民がすでに被害を被り、立ち直る気配はない。若年失業率も非常に高いままだ。
消費市場も低迷、海外のブランド物はことごとく売れなくなり、欧米のブランド会社は軒並み業績を下方修正している。
諸悪の根源は、国内経済でも習近平国家主席の共同富裕論という亡霊、それがあらゆる場面に闊歩して経済を悪化させ続けている。
民間の超大手不動産会社と中小の不動産会社の多くが、すでに破綻もしくは破綻状態にあり、不動産開発会社に対する融資規制を緩和しなければ、今度は、新築住宅の供給不足に陥り、不動産価格が暴騰する可能性もある。それは、習氏の論とは真逆の結果をもたらす。3期目を目論見、国民受けする「共同富裕論」での政策を住宅不動産事業者に対しても指示した習氏にすべての責任がある。
国家主席の政策による経済問題を、南シナ海で波を荒立て、国民の目を南シナ海や台湾へ向けさせるべきではないだろう。
スクロール→
中国 貿易 ドルベース /10億ドル
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輸出
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輸入
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貿易収支
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20年 億ドル
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25,903
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20,667
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523
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21年 億ドル
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33,571
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26,867
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675
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前年比
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29.6%
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30.0%
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29.1%
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22年10億ドル
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3,593
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2,716
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877
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前年比
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7.0%
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1.1%
|
30.0%
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23/1.
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287
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193
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94
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23/2.
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210
|
197
|
13
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23/3.
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305
|
226
|
79
|
23/4.
|
291
|
204
|
87
|
23/5.
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283
|
217
|
66
|
23/6.
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284
|
214
|
70
|
23/7.
|
281
|
201
|
80
|
23/8.
|
284
|
216
|
68
|
23/9.
|
299
|
221
|
78
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23/10.
|
274
|
218
|
56
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23/1~10
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2,798
|
2,107
|
691
|
22/1~10
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3,001
|
2,263
|
738
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前年累計比
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-6.8%
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-6.9%
|
-6.4%
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