中国 不動産差し押さえ件数 前年比32%増で推移
中国の民間不動産調査大手、中国指数研究院によると、国内の不動産差し押さえは1─9月に58万4000件と、前年同期比32.3%増加した。不動産市場が低迷し、景気回復が不安定な中、住宅所有者は負債に苦しんでいる。
調査結果は28日に発表された。住宅の差し押さえは2022年1─9月の20万6000件から28万4000件に増加した。
差し押さえ件数の多い都市は四川省に集中しており、前年同期比2万7585件増の7万件以上となった。
以上、
中国の場合、「碧桂園」のような住宅専門の開発会社や恒大の住宅や商業不動産を扱う会社および万達のような商業用不動産開発運用会社などあるが、習政策による住宅不動産バブル崩壊に伴う低迷、また、商業用不動産でも景気悪化に伴いオフィスの入居率の低下により窮地に陥っている不動産開発・運用会社も多くなってきている。
負債額は、
「碧桂園」は12兆円、(但しマレーシア南部のフォレストシティ開発(現在ゴーストタウン)だけでも15兆円に達するとされる)
「恒大」は48兆円、代表が拘束され、安邦生命型(資産の切り売りと国有化)での破綻が想定される。
○「萬達」は15兆円、過去、世界のビルやホテルチェーンへの投資、レジャー施設・商業施設開発など行っていたものの、外貨不足の原因だとして糾弾され、1兆円以上の運用資産を緊急売却して生き延びたものの、再度の締め付けで厳しい資金状態が続いている。
●萬達糾弾時、安邦保険集団も海外のビル投資などしていたが、代表が逮捕(18年実刑)され国有化され解体された。
●国内外の不動産投資や開発を行っていた海航集団(HNA)は会長がフランスの観光地で謎の転落死。当局が整理縮小させた上で海南省が傘下に納めている。代表企業に海南航空(新星航空連盟に統合)がある。海南島を「中国のハワイ」として一大レジャー施設を創り上げた企業。
習主席の金融機関に対する不動産会社への融資規制通達は、住宅だけではなく不動産会社全般に対するもので、不動産会社にとって試練のときを迎えている。
中国当局は地方によって、住宅購入側の購入規制を完全撤廃したり、大幅緩和したりしているが、不動産は売れず、開発戸数も減少し続けている。
不動産開発会社が金融規制により供給を大幅に減らせば、景気が少しで上向けば、需給が逼迫し、再度住宅価格が高騰する可能性が高い。
その例は韓国の文前政権の5年間で倍になったマンションか価格で立証されている。
不動産を正常化させなければ、景気を立て直すにも、借金漬けの地方政府をさらに借金の漬物にしてインフラ投資させても長続きはできず、悪循環に陥る可能性が高い。
地方政府の主要財源である不動産利用権の販売も不動産開発会社への融資規制強化で売れず、地方政府は資金調達難になっている。その財源を金融機関に強制して融資させても、インフラに回す資金がどれほどあろうか。
現状の不動産開発会社に対する習主席の融資規制は、優良な地方政府系か、国務院系(政府系)の不動産開発会社しか生き残ることが困難になっている。
習主席の「共同富裕論」はすばらしいが、現実に政治的に執行するには、経済がどっぷり資本主義に使った共産国であり、経済体制を見直さない限り実現は不可能。気持ちと現実の乖離が大きすぎ、何事もその現実の認識がまったくないのが、現在の習近平国家主席ではないだろうか。 フィリピンを脅し続け、南シナ海全域を中国領海にしようとする野望に通じる。(こうした化け物を造ったのは米国自身でもある)
<中国には投機のハケ口がない>
中国は、仮想通貨取引を禁止、株価は2015年6月の証券バブル崩壊により、その後は小さなレンジで動き妙味なし、賭博のマカオ等は当局により監視され、家庭用ゲームも多くが規制され、金銭の海外持ち出しも額が規制されている。
賭博心理=一攫千金の投機資金が不動産業界に流れ込み不動産バブルを演じてきていたことから、それを崩壊させた場合、住宅や不動産所有者の資産価値は下落し、景気悪化ではローンの元利金支払いも容易ではなくなり、金融機関の差し押さえとなる。
また、不動産開発会社は多くの社債を発行して資金調達していたことから、すでに多くがデフォルトに陥り、個人投資家の被害も拡し続けている。
こうした不動産に対する心理が、購入規制を大幅緩和したところで回復にマイナスに作用し続けている。
不況下での実需は限られ、業界の好転には本格的な景気回復を待つしかない。
不動産バブル⇒購入規制⇒不動産会社融資規制⇒景気後退⇒差し押さえ⇒競売⇒価格下落
当然、こうした不良債権が増加すれば、今度は金融機関も危うくなり、選別融資を強化することから、企業に対する融資も厳格化され、企業は投資縮小に入り、景気も後退することになる。
金融機関の不動産業界に対する融資は、厳しく自己資本率で規制されている。それは習主席の政策であり、すでに3期目も達成したにもかかわらず、チャイナセブンをゴマすり側近たちばかりにしたことから、誰も習主席の首に鈴を付ける者などおらず、ますます経済を悪化させる原因を創り続けている。
スクロール→
中国 不動産差し押さえ件数急増 |
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中国指数研究院(民間調査大手)版 |
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23/1~9 |
22/1~9 |
増加率 |
不動産全般 |
584,000 |
441,000 |
32.3 |
住宅 |
284,000 |
206,000 |
37.8 |
住宅外 |
300,000 |
235,000 |
27.6 |
2023年1~9月のGDPは5.2%、
中国のGDP |
|||
年間 |
四半期前年比 |
||
2015年 |
7.0 |
22/1Q |
4..8 |
2016年 |
6.8 |
22/2Q |
0.4 |
2017年 |
6.9 |
22/3Q |
3.9 |
2018年 |
6.7 |
22/4Q |
2.9 |
2019年 |
6.0 |
23/1Q |
4.5 |
2020年 |
2.2 |
23/2Q |
6.3 |
2021年 |
8.1 |
23/3Q |
4.9 |
2022年 |
3.0 |
23/4Q |
|
中国の就業者数と失業率 |
||||
就業者数 |
失業率 |
|||
中国の就業者数/万人 |
|
失業率 |
若年失業率 |
|
2015年 |
76,320 |
22/3. |
|
|
2016年 |
76,245 |
22/6. |
|
|
2017年 |
76,058 |
22/9. |
5.5 |
17.9 |
2018年 |
75,782 |
22/12. |
5.5 |
16.7 |
2019年 |
75,447 |
23/3. |
5.3 |
19.6 |
2020年 |
75,064 |
23/6. |
5.2 |
21.3 |
2021年 |
74,652 |
23/9. |
5.0 |
公表止め |
2022年 |
73,351 |
23/12. |
|
|
昨年10月から12月まで各地でロックダウンが発生しマイナスとなっており、その反動から今年は増加しようが、これまでのところ、その力強さはまったくない。若年失業率に見られるように消費活動が活発な若年労働者の失業問題から、20代30代の消費活動も心理的な影響を受けているものと見られる。
小売販売高 |
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前年比 |
備考 |
22/10. |
-0.5 |
|
22/11. |
-5.9 |
|
22/12. |
-1.8 |
|
23/1. |
3.5 |
|
23/2. |
3.5 |
|
23/3. |
10.6 |
22年、上海などロックダウン |
23/4. |
18.4 |
|
23/5. |
12.7 |
|
23/6. |
3.1 |
|
23/7. |
2.5 |
|
23/8. |
4.6 |
|
23/9. |
5.5 |
|