日本華僑報(日本の華僑新聞)は、経済協力開発機構(OECD)が公開したデータを分析し、日本人の50歳女性の27%が「生涯子どもなし」であると報じた。
それによると、「生涯子どもなし」の割合の上昇は、日本社会が、人口構造の不均衡、労働力の枯渇、高齢化の進行といった多重の課題に直面していることへの警報であり、結果、少子化は経済の継続的な繁栄に関わるだけでなく、社会保障制度の基盤にも影響を与えるものであり、その影響を軽視することはできないとしている。
その上で、日本がこの現象の「先行者」になった原因として、
西欧諸国が育児と仕事のバランスを取る方法において目覚ましい成果を上げたのと対照的に、日本は根底にある問題により行き詰まっていると診断。
子どものいない女性の増加を効果的に抑制できていない背景には、
1、女性のキャリア形成促進や
2、家庭と仕事の両立の実現における日本の遅れがある
と指摘している。
日本社会に迫る少子化の警鐘:50歳女性の4人に1人が『生涯子どもなし』とOECDが警告
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1986年には「男女雇用機会均等法」が施行されたが、法の光は職場と家庭の間をさまよう女性の影を完全には照らしきれないようだと論じた。また、男女間の賃金格差や子育て問題が根底にあるとみている。
日本女性の「生涯子どもなし現象」の主な要因には、
1、「結婚困難型」と
2、「無子思考型」があるとし、
前者については「日本社会における結婚と恋愛の概念の複雑な絡み合いと経済的プレッシャーの重荷を反映している」とし、後者については「女性のキャリア追求と個人的価値観の変遷に密接に関連している」と指摘している。
「少子化の問題を単純な経済的支援や政策誘導だけでは解決できず、より包括的な答えを求めるには、社会概念と文化的環境の構造を深く掘り下げる必要があることをわれわれに気づかせる」としている。
岸田内閣の「異次元の少子化対策」は進むべき道を照らす一条の光のようなものだが、このビジョンを現実のものとするには、子育て世帯への経済的支援を充実させることに加え、非正規雇用者への社会保障網を拡充し、働き方改革を推進することで、男女のいずれもが家庭と仕事のバランスを自分らしく保てるポイントを見つけ出せるようにしなければならず、同時に教育費の削減や家庭の経済的負担の軽減も急務で、女性がキャリアの夢を勇敢に追求できるような、より寛容で多様性のある社会の雰囲気づくりに向けて各界が手を携えるべきだと論じている。
以上、
賃金格差は、拡充してきた非正規雇用と正規雇用との差が雇用制度間にもあり、男女間にもある。子育て問題は育休制度など設けられているが、法律で罰則規定でも設けない限り、大手や官庁に限ったものにしかならない。
非正規雇用を拡大するには同一労働同一賃金、それも高額が望まれる。日本は政府と経団連がこれまで日本を東南アジアの工場と賃金で戦わせた結果、低賃金により企業の利益が成立し、生産性向上や、高付加価値産業の育成など官民揃って2012.3
投資が望まれたが、完全にそうしたチャンスを台無しにし、低賃金に据え置いている。
少子高齢化で金受給者数が増加し続けるにもかかわらず、非正規雇用を拡大してまで低賃金にし、新入社員の月収が何十年も変わらないという異常な国家運営を行じてしまった。
結果、年金機構の収入は増えず、支払いだけが増加する歪な問題に行き着いている。
厚生年金でも理解できるように、収入が増えなければ、年金負担も増えず(実際は国は率を高めて収入増を図り、就業者の可処分所得は減り、消費不況を演出してきた)、企業も個人負担額と同額を負担することから、企業にとっても給与を増やさないことにより、付帯人件費も増加せず、利益となる。その利益も蓄財と株主還元に専念し、生産性の投資にも従業員の報酬にも回さなかったのが、ここ30年の実績であろうか。
そうした人生環境では、結婚しかり、子育てができる環境は限られている。