半導体価格回復、強敵は景気低迷
メモリ半導体のDRAM価格が、最近小幅に下落し半導体業況に対する関心が高まっている。メモリ半導体はサムスン電子とSKハイニックスが6割以上を生産しており、韓国の輸出景気に直接影響を及ぼす。
9月8日、市場調査会社DRAMエクスチェンジの集計結果によれば、コンピュータ用DRAMレガシー(汎用)製品(DDR48Gb1Gx8)の8月の平均固定取引価格は、前月より▲2.38%下がった2.05ドルだった。
DRAM価格は、昨年10月から上昇に転じ、今年5~7月には横ばいを維持していた。
DRAM価格の下落に対して市場調査業者トレンドフォースは、「中国のスマートフォン在庫が過度な水準に到達し、家電製品に対する需要も予想ほど回復しなかった」ことに起因しており、「主に家電製品に使われるメモリ製品の現物価格が劣勢を示し、第2四半期の価格は、第1四半期に比べ▲30%以上下落した」と分析している。
世界的なIT製品需要鈍化により、長短期の展望が交錯する。
需要先の部品在庫や備蓄が一段落し、短期的な価格停滞期が来たと判断されている。今後の景気鈍化、顧客の在庫備蓄完了、人工知能投資の鈍化が重なる場合、上昇サイクル2年目の2025年第1四半期下旬に下落サイクルが始まる可能性があるの見方もなされている。
トレンドフォースは、「2025年を控えてDRAM価格は四半期毎に漸進的に上昇すると予想されるが、こうした上昇は主に平均価格を引き上げる高帯域幅メモリー(HBM3e)の普及率増加などによるもの」とし、「消費者需要が劣勢を見せる場合、予想されるDRAM価格の上昇は期待に及ばない可能性がある」とみている。
米上場の半導体関連企業の株価のSOX指数が、昨年10月の3316Pを底に反転し、今年7月8日には5775Pまで上昇した。しかし、米国で雇用不安=景気後退不安が台頭し、7月29日には4607まで下げ、8月19日再び5228まで上げたものの、9月9日には4603まで下げている。
今年7月からの上げ下げは、半導体の需要の先行きを左右する景気動向に伴うもの。米雇用や消費データに一喜一憂する株式市場を反映したものとなっている。
米金利は今月18日にFOMC会議で決定・発表されるが、すでに50bp=0.5ポイントが確実化されており、経済はそうした金利の影響はタイムラグにより現れ、その間にプラス景気指数が重なり発表されれば追加利下げもあり、①好景気物価高⇒金利上げ⇒景気の沈静化をこれまではかり、②景気悪⇒金利下げ=景気回復の段階に入る。
通常、購買力増が物価高を招き、失業率増=就業者数減=購買力低下となり景気は沈静化、低迷する。
<半導体景気は世界経済の景況に左右される>
<世界三大経済市場の北米+欧州+中国の動向>
中国は低迷したままで、その深刻度を前に有効な手立ても見つからず、深みに入ったままとなっている。中国の不況は、経済の浮沈を左右する不動産開発事業を習政権が共同富裕論を打ち上げ、マンション価格は高過ぎるとの大義を掲げ、不動産開発会社に対して貸付を締め付けたことに始まり、不動産市場の極端な落ち込みに、中央も地方も当局は小手先の不動産対策を数多く打っても効果は現れず、すでに国民レベルで大打撃を受け、国民は不動産投資にも消費にも向かわず、将来不安から、保守的な貯蓄へ資金を向かわせている。そのため、中国ではモノを造っても売れず、在庫増の悪循環に陥り、失業率も高く、青年失業率も異常に高くなっている。こうした政策の失敗が中国の消費市場を萎縮させ、経済低迷となっている。
米国は2021年のバイデン大統領就任祝いの1.9兆ドルの新コロナ経済対策が世界中で物価高騰を引き起こしたが、一方で、米国では賃金も伸び、物価高に対する不満は少ない。就業者数は増加し続け好景気が続き、インフレ退治の5.5%という高金利であるにもかかわらず、沈静化に時間がかかった。1年以上も5.5%という高水準の金利にある。
ただ、今年に入り、金利高はいろいろな問題を引き起こし、経済低迷要因となってきている。住宅ローンや自動車ローンの高金利から販売がマイナスとなり、失業率も増加、月間雇用数の増加数も低迷、失業保険の申請者数の増加、経済に黄色信号が灯り、早期、金利下げ発言が大勢を占め、8月にはその思惑から、自動車や住宅のローン金利が下がり、プラスに転じている。
欧州は、インフレ退治の高金利はすでに下げ段階に入っており、経済回復中。ただ、最大の工業国家のドイツは景気回復が鈍く、戦後初のVWの自動車工場閉鎖も問題になるほど、混乱している。
今のドイツに欧州を牽引する力はなく、欧州全体で判断する必要があるが、景気は回復途上にある。
現在のAI半導体ブームは、電子製品業界の求めにより、醸成されたもので、データセンター、スマホ、パソコン、サーバー、電子製品・電化製品に組み込み、業界全体で付加価値を付けて販売するもの。当業界は巣篭もり需要が剥離した分野も多く、AI半導体ブームに乗り、市場回復を狙っている。
そのため、景気に関係なく、AI半導体の調達に動き、製品に組み込み、主たるNIVIAのAI用半導体が引っ張り凧になり、空前の売上増と利益を生じている。
しかし、先行して製造したAI半導体組み込み製品が売れるかどうかは時の景気に左右される。ましてや、付加価値がつき、最終製品価格も高くなっている。
中国のスマホ在庫増は、中国の消費景気を反映したものとなっている。
一方、米国では10月から年末商戦、高くなったAI半導体組み込み製品が飛ぶように売れれば、全体の景気に関係なく、AI半導体組み込み電子製品は好景気時代に入る可能性もある。





