アイコン 低迷続く中国不動産市場 効果的な対策打ち出せず 不動産市場の根っ子腐る


今年3月の国務院常務会議で「不動産業はチェーンが長く、経済波及範囲が広く、人民大衆の切実な利益に関わり、経済・社会発展の大局に関わるものだ」とし、「保交楼(分譲住宅物件の引き渡し保障制度)」、「住宅ローン引き下げなど一連の措置を実施し、不動産市場の安定的で健全な発展を促す」とした。

習近平政権が新コロナの真っ只中、2022年からの3期目を目指すため、国民受けするように2020年に導入した施策により、2024年9月に入っても中国経済は不動産の、消費の、内需の低迷が続いている。

一方、米国では2021年1月に誕生したバイデン政権、新コロナ経済対策という大儀の下、1.9兆ドルの大統領就任祝いの政府投資により、世界中を空前の物価高に追い込み、財政破綻する国も現れた。自ら種を撒いたバイデン政権、次に米国はインフレ退治の金利高によりドル高を招き、ドル本位制の世界にあり、各国は為替安に見舞われ、物価高を助長、各国は、新コロナの打撃を受けた経済下、物価抑制の金利高政策を取り、景気を悪化させた(特に欧州)。

 

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住宅需給はアンバランス状態続く
不動産開発投資は中国経済の30%(中国経済の最大の内需)を占めたが、習政権の失策により、半減させている。不動産低迷は消費や内需にも波及し、地方財政や全体も曇らせている。
2008年のリーマンショック以降、中国は不動産開発事業を、経済を回復させるため、また、経済を減速させるために最大限利用してきた。2012年に就任した習近平氏にしてもしかりだ。
しかし、今回はこれまでと違い不動産開発会社を締め付けたため、根っ子部分が腐れ、いくら肥料(各種回復策)を撒いても、生き残った根は半減、なかなか葉が生い茂る状態に戻らなくなっており、不動産価格指数は2022年6月から実質も現在(7月)まで28ヶ月続き、その指数も最近では前年同月比が拡大し続けている。

今年5月には、中国人民銀行(中央銀行)は住宅購入促進策として、1軒目と2軒目の住宅購入の商業個人住宅ローン政策金利の全国レベルの下限を撤廃した。また、地方政府は独自に購入規制を大幅緩和したり、撤廃したりして、不動産回復の措置を取っている。

歯車、噛み合わず
地方政府の投資は限られている。
地方政府は傘下で不動産開発会社を持ったり、第3セクターを持っているが、それら不動産開発会社も今回大ダメージを受けている会社が多い。さらに、地方政府の大きな財源の一つ、土地利用権の販売事業、販売が低迷し価格が暴落、地方財政を悪化させている。
そこで中央政府は、地方政府の金融機関からの借入枠の増加策を了承、しかし、これも地方財政を悪化させ続ける原因ともなっている。
現況、経営悪化した不動産開発会社が開発中の物件を、中央政府(国務院系)や地方政府系の財政健全な不動産開発会社に買い取らせ、工事を再開させている。当初は50%以上の工事進捗現場から進め、その水準を下げている。それは、モデル住宅で販売して、契約金のほか、すぐ購入ローンまで組むことから、多くの国民が被害にあい、その対策として、こうした措置が強制して執行された。そうしたことから、未販売物件も多く供給量が増加、一方、不動産投資はもうコリゴリと国民がそっぼを向き、手持ち資金を借入金の返済やほかの確実性の高い金融投資を行い、不動産業に資金が回らなくなっている。

不動産市場に起きた新たな変化 競売数の増加
中国の不動産市場には新たな動きで、競売物件の増加がある。
中国房産信息集団の調査によると、2024年上半期、全国の競売住宅の落札は前年同期比12%超増加の20万2千戸に達した。競売住宅全体の取引規模は全国の中古住宅取引総量の1%に満たないが、一部都市の新築住宅市場に影響を与えていると指摘している。

競売物件の増加はローンと直接的な関係がある。中国人民銀行のデータによると、2023年の個人住宅ローンのデフォルトは前年比で2.3ポイント増加、それに合わせるように競売物件も増加している。

住宅ローンのデフォルトが増えたのは、
住宅購入者が住宅価格高騰の段階でローンを組んで住宅を購入したが、その後住宅価格が大幅に下落したため、銀行が出した評価額も数年前に比べて大幅低下、継続融資額に影響したことが大きいとされている(残債と新評価額との差額、マイナスだったら差額請求)。
さらに、米中貿易摩擦という外圧やコロナ禍などによる消費減の内需悪化により、収入が減少した、または失業率の増加によって収入源を断たれた労働者が少なくなかった。
そのため、住宅購入者は返済圧力にさらされ、最終的に返済できなくなり、裁判所の裁定を経て住宅を競売にかけられている。
内需不況業者や不況型輸出企業が集積している景気敏感都市や地域では、中古物件より3割ほど競売物件が安いため落札物件が急増しているところもある。

政府の施策で戦後処理も含め住宅の供給量は大幅に増えているが、取引は活発さを欠いている。
不動産市場が冷え込み、不動産価格指数は前月比でも13ヶ月連続して下げ、ここ4~7月までは0.6%以上の下げとなっている。
中指研究院のレポートによると、2024年上半期の競売住宅成約率は18.4%で、2023年同期の27.2%より▲8.8ポイント低下している。
2024年上半期の競売住宅の成約平均価格は1平方メートル当たり9084元(約18万16百円)で、前年同期比▲6.7%減だった。

競売住宅の急増は、中国の不動産市場が一段と悪化していることを示している。
中国国家統計局が8月に発表した全国の不動産販売と70大中都市の住宅価格変動状況によると、多くの都市の住宅価格は前月比で下落し、分譲住宅の販売面積、不動産開発投資額など多くの指標は前年同月比で下落している。
7月における70大中都市の
新築分譲住宅の販売価格は前月比▲0.6%安、前年同月比で▲5.3%安、
中古住宅の販売価格は前月比▲0.8%安、前年同月比▲8.2%安だった。

新築分譲住宅価格が下落した都市は64都市から66都市に拡大、中古住宅価格が下落した都市は66都市から67都市に増加した。
2線都市、3線都市の下落幅は1線都市を上回っている。

分譲住宅の販売は依然として減少が続いている。
国家統計局のデータによると、1〜7月、全国の新築分譲住宅の販売面積は前年同期比▲18.6%減、うち住宅の販売面積は▲21.1%減となった。

新築分譲住宅の売上高は、1~7月、前年同期比▲24.3%減で、うち住宅売上高は▲25.9%減だった。

投資も減退、不動産開発産業は依然元気なし
全国の不動産開発投資は1~7月、前年同期比▲10.2%減少した。
家屋の新規着工面積は4億3700万平方メートルで、前年同期比▲23.2%減だった。住宅企業の1~7月の売上高は、前年同期比▲21.3%減だった。
以上のように、不動産関連の指標は軒並み2桁のマイナスが続いている。
それは
土地販売市場の不振、
住宅企業の資金逼迫、
既存在庫量の高止まり
などの要因によるもので、短期的には改善せず、不動産産業の停滞は続くとみられている。

活性化は「個人の消費能力向上と心理」がカギ
今回の中国不動産バブル崩壊は、習政権の共同富裕面に基づき、執行した3条紅線政策、不動産価格が高過ぎるとして、価格を下げさせる政策に基づき、執行された確信犯。
しかし、国務院系や地方政府系の不動産開発会社を総動員して、大量供給により、需給バランスを崩させ、価格を下げさせるソフトランディング政策ではなく、不動産開発会社を締め付ける強引殺法、ハードランディングさせたため不動産バブル崩壊を生じさせたもの。結果、最大の被害者は国民となり、国民が不動産投資から遠のく原因となっている。

米国など異なり、住宅購入ローン金利を下げたら売れるものではなく、習政権の不動産政策に対する国民の忌避心理と実損失が不動産回復を遅らせ、内需不振から失業率は高まり、消費の伸び率大幅鈍化、景気悪化のスパイラルに陥っている。

中国では、投資投機対象が限定され、株式市場は2015年夏の崩壊から狭いレンジでしか動かず、パチンコ・競馬・競艇・競輪があるわけでもなく、仮想通貨の取引も禁止されており、その投資対象が住宅不動産の転がしで一攫千金を当てた人たちが大量に発生していた(マカオや韓国カジノでは中国公安が監視、別件逮捕の種にされる)。また、不動産会社の社債の金利は高く、これまでシャドーバングで販売され、国民の購入投資熱も高かったが、ほとんどがデフォルトに陥り、被害者となっている。

その投資・投機対象の不動産市場が、習政権により強制的に壊滅させられており、その回復には長期を要するものと見られる。
中国では一時2軒目購入には税や手付金、ローン金利が大幅に上昇、それに対して、中国の夫婦は法的に離婚して2軒目を1軒目として購入するほど、不動産投資熱が高まっていた。

新コロナで(20/1~3)武漢ロックダウン、全土へ波及、新コロナ不況が予想される中、
2020年8月習近平政権は三条紅線施行(不動産開発会社に対する融資規制)、
21年8月に恒大不安勃発(負債48兆円)、
22年8月碧桂園不安勃発(負債13兆円)、
この間、中小の多くの民間不動産開発会社が経営破たん、大手含む不動産開発会社のマンション建設現場が資金不足で工事ストップ、、民間不動産開発会社の多くは社債を国民に販売していたため、償還できないデフォルトにより多く不動産会社で取り立て騒ぎ。
中央・地方政府は23年・24年、購入規制を大幅緩和政策、・・・増加せず

 

↓国家統計局版


スクロール→

中国の住宅着工数 億平方メートル 1月からの累積値

 

21

22

23

前年比 

24

前年比

1

1.70

1.50

1.36

-9.3%

0.94

-30.9%

2

3

3.62

2.98

2.41

-19.1%

1.73

-28.2%

4

5.39

3.97

3.12

-21.4%

2.35

-24.7%

5

7.43

5.16

3.97

-23.1%

3.01

-24.2%

6

10.10

6.64

4.99

-24.8%

3.80

-23.8%

7

11.90

7.61

5.70

-25.1%

4.37

-23.3%

8

13.60

8.51

6.39

-24.9%

 

 

9

15.30

9.48

7.21

-23.9%

 

 

10

16.70

10.40

7.92

-23.8%

 

 

11

18.30

11.20

8.75

-21.9%

 

 

12

19.90

12.10

9.54

-21.2%

7月まで

 

 

中国の住宅価格指数推移 前年比/国家統計局

 

19

20

21

22

23

24

1

10.3

6.3

3.9

2.3

-1.5

-0.7

2

10.4

5.8

4.3

2.0

-1.2

-1.4

3

10.6

5.3

4.6

1.5

-0.8

-2.2

4

10.7

5.1

4.8

0.7

-0.2

-3.1

5

10.7

4.9

4.9

-0.1

0.1

-3.9

6

10.3

4.9

4.7

-0.5

0.0

-4.5

7

9.7

4.8

4.6

-0.9

-0.1

-4.9

8

8.8

4.8

4.2

-1.3

-0.1

-5.3

9

8.4

4.6

3.8

-1.5

-0.1

 

10

7.8

4.3

3.4

-1.6

-0.1

 

11

7.1

4.0

3.0

-1.6

-0.2

 

12

6.6

3.8

2.6

-1.5

-0.4

 

 


 

[ 2024年9月18日 ]

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