アイコン 農水省とJAの癒着が生んだ「米価問題」―日本の農業は誰がためにあるのか?

Posted:[ 2025年4月 7日 ]

1. 減反政策とJAの利権

日本の農政は長年、減反政策によって米の生産を抑え、価格を維持する仕組みを採用してきた。これは政府が農家に補助金を支給することで成り立っていたが、結果として市場原理が働かず、農業の競争力が低下することになった。

この減反政策を支えてきたのが、JA(農協)と農水省、そして農政族議員の三者による癒着構造だ。JAは農家の米を買い取り、流通を独占することで利益を確保し、農政族議員はJAを支持母体にすることで票を獲得する。農水省もまた、補助金を通じた官僚の利権を守るため、この構造を温存してきた。


2. 「減反廃止」の裏で続く米の生産抑制

2018年、安倍政権はこの減反政策を廃止し、市場原理に基づく農業へ移行しようとした。しかし、長年減反に依存してきた農家は急な変化に対応できず、混乱を招いた。

「減反なんてもう廃止されたはずだ」と思う人もいるかもしれない。だが、農水省は減反政策を「完全に廃止した」わけではない。実際には、主食用米の生産量の「目安」を示し続け、転作を促す補助金を用意することで、米の生産量を抑え続けているのだ。

その影響は数字にも表れている。たとえば、2021年の主食用米の収穫量は約702万トンだったが、翌2022年には670万トンにまで落ち込んでいる。この背景には、主食用米の作付面積が1年間で約5万ヘクタール減少したことがある。つまり、農水省が政策誘導を続けることで、米の供給が意図的に抑制されているのが現実なのだ。



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3. 米価高騰と農水省の責任回避

最近、米価の高騰が問題となっているが、その要因は単なる減反政策の失敗などではなく、供給不足やインバウンド需要、気候変動など複数の要因が絡んでいる。

しかし、ここで重要なのは、農水省がこの状況を「減反政策の影響」ではなく、別の要因のせいにしていることだ。例えば、農水省は「米価高騰の原因は一部業者による投機目的の買い占めや、需要の急増にある」と説明しており、自らが長年進めてきた生産抑制の影響には一切触れようとしない。

確かに、短期的な価格変動には投機の影響もあるかもしれない。しかし、そもそも主食用米の供給量自体が減らされ続けていることを考えれば、根本的な原因は生産抑制にある。にもかかわらず、農水省はそれを認めず、市場の動きや外的要因に責任を転嫁することで、自らの政策の問題点を隠そうとしているのだ。


4. 農水省改革が最優先ではないか?

ここで重要なのは、財務省の改革よりも農水省の改革が優先されるべきではないかという点だ。

• 食料安全保障の確立

• 減反政策の完全撤廃と、生産拡大へのインセンティブを導入

• 農業の自由競争化

• JAの市場独占を解体し、農家が自由に販売・輸出できる仕組みを整備

• 漁業の競争力強化

• 漁業権の規制を緩和し、企業経営型の漁業参入を促進


5. 結論——農業は誰のためにあるのか?

現在の日本の農業政策は、農家のためではなく、JA・農水省・農政族議員のためにあると言っても過言ではない。本来ならば、農家が自由に競争できる環境を整え、農業の競争力を高めるべきだが、現実には既得権益の維持が優先されている。

農水省とJAの癒着構造を打破し、本当に農家のための農政を実現するためには、政治的な決断と国民の理解が必要だ。今こそ、日本の農業を歪めてきた構造を見直す時ではないだろうか。

 

田んぼ


 

 

 


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