【経済ミニコラム】今回の高市早苗氏の選出は、単なる「女性初の首相誕生」ではなく、自民党の勢力図再編を映し出す出来事である。安倍派の解体により、党内で明確な保守の受け皿が消滅した。岸田ー石破政権下では中道・穏健路線が強まり、これまで自民党を支えてきた保守層が離反する傾向が顕著となった。前回の選挙では、その保守票の流出が数字として表れており、党内には危機感が広がっていた。高市氏は、その空白を埋める存在として浮上。明確な保守的理念を持ち、同時に女性という象徴性を備えることで、「刷新」と「伝統」を両立させる人材と映ったのである。今回の選出は、自民党が失った保守票を取り戻し、右派支持層を再結集させるための政治的選択である。言い換えれば、党が生き残るための再定位であり、安倍派解体後の新たな保守再編の第一歩だ。