福岡西部クリーンセンター場所の謎 〜取り組み前の取り組み延期〜

大村場所が予定通りに土俵入りした一方、福岡西部場所は不思議な幕開けを迎えた。
タクマ山とカナデビア海——どちらも、したたかJFEや基金接待川崎重工業王のようにグレーな力士ではない。それなのに、提出日のわずか5日前、9月26日に突如として「延期通告」が福岡市の公式ホームページに掲げられたのである。

おそらく両力士は、提案書をほぼ完成させ、入札額の社内決裁を取る直前だっただろう。
そこへ降って湧いた「取り組み延期」の一報が両力士に届いている。
まさに、行司が塩をまくタイミングで「今日は土俵使えません」と言われたようなものである。
設計図、パース図、模型、コピー、印刷費……。
力士の四股名よりも長い領収書が積み上がっていたに違いない。
再公告の時期も内容も未定となれば、これまでの努力はフィ(=無効)となり、次はまた一から番付を練り直す羽目になる。
これでは、どんな相撲取りも張り手の一発で心が折れる。
せめて市は、延期の理由を土俵に上がる力士たちへ説明すべきではなかろうか。
内部事情か、差し金か、あるいは「やむを得ぬ事情」という名の謎か。
過去にも談合疑惑や不透明な情報流出で取り組みが中止になった例はあるが、今回はどうにも釈然としない。
この一番を楽しみにしていた観客も少なくない。
そろそろ審判長にマイクを取ってもらいたいものだ。
「ただいまの取り組み前の延期につきまして、ご説明申し上げます」

……そんなアナウンスを待つ声が、場内のあちこちから聞こえてきそうだ。
JC-net・日刊セイケイ編集長・中山洋次





