11日の東京株式市場では幅広い銘柄に売りが広がり、日経平均株価は一時、前日比2000円を超えて下落する場面があった。
米国とイランによる攻撃の応酬が続くなか、中東からのエネルギー供給が長期間混乱するとの警戒感が強まっている。国際原油価格が1バレル=100ドルを大きく上回ったことで、企業のコスト増加やインフレ再燃、金利上昇への懸念が世界の株式市場を圧迫している。
原油価格は100ドル突破、ブレント一時110ドル近く
中東情勢の緊迫を受け、原油市場では上昇が加速している。
北海ブレント原油先物は11日、一時1バレル=109.97ドルまで上昇。米国産WTI原油も100ドルを超え、103ドル台で推移する場面がみられた。
米国とイランの戦闘に伴ってホルムズ海峡周辺の原油輸送が制約されているほか、イランと連携するフーシ派を巡る情勢悪化によって紅海側の海上輸送にも懸念が広がっている。
世界のエネルギー供給の重要ルートで同時に不安が高まったことで、市場では中東情勢の長期化が原油供給を一段と圧迫する可能性が意識されている。
原油高がインフレ再燃、金利上昇懸念につながる
株式市場が警戒しているのは、原油価格の上昇そのものだけではない。
原油高がガソリンや軽油、電力、物流、原材料など幅広い価格に波及すれば、各国でインフレ圧力が再び強まる可能性がある。
米国ではエネルギー価格上昇などを背景にインフレへの警戒が強まり、米10年国債利回りは5%近辺まで上昇。市場では米連邦準備制度理事会(FRB)が追加利上げに動くとの見方も強まっている。
金利上昇は企業の資金調達コストを増加させるだけでなく、将来利益への期待で買われてきた半導体やAI関連など成長株の割高感にもつながる。このため東京市場でもハイテク株を中心に売り圧力が強まった。
日本企業にも原材料・物流コスト上昇の重し
日本経済にとっては、原油高と円安が同時に進んでいる点も大きな懸念材料となる。
外国為替市場では11日朝、1ドル=154円台で推移。ドル建てで取引される原油価格の上昇に円安が加われば、日本企業が実際に負担するエネルギー輸入コストはさらに膨らむ。
とりわけ航空、陸運、海運、化学、食品、外食、電力・ガスなどでは、燃料費や原材料費、物流費の上昇が収益を圧迫する可能性がある。
コスト上昇分を販売価格へ十分に転嫁できない中小企業では、利益率の低下や資金繰り悪化につながるリスクもある。
株安・原油高・円安、日本経済に三重の圧力
|
日経平均 |
一時2000円超下落 |
|
北海ブレント原油 |
一時109ドル台 |
|
WTI原油 |
100ドルを突破 |
|
ドル円 |
1ドル=154円台 |
|
主な懸念 |
原油供給、インフレ再燃、金利上昇、企業収益悪化 |
原油高が短期間で収束すれば企業業績への影響も限定的となる可能性がある一方、米国とイランの戦闘が長期化し、100ドルを超える原油価格が定着すれば状況は変わる。
エネルギー価格上昇が物価、金利、企業収益へ波及することで、世界経済に「高インフレと高金利」が再び定着するリスクが高まるためだ。
東京市場では今後、中東情勢と原油価格に加え、米国の物価統計やFRB、日本銀行の金融政策を巡る動向が株価を左右する重要な材料となりそうだ。