ロシア軽油禁輸、物流費に新たな火種 遠い戦争が日本の物価を揺らす
ロシア政府がディーゼル燃料の輸出禁止に踏み切った。ウクライナによる製油所攻撃が続き、原油大国でありながら国内の燃料供給に綻びが生じているためだ。すでにガソリン輸出も禁じており、7月からは燃料輸入を始めるという。戦争の影響は、前線だけでなく、ロシア国内の生活と産業を支えるエネルギー基盤に及び始めている。
日本にとって、この動きは遠い国の燃料不足では済まされない。日本がロシア産ディーゼルに大きく依存しているわけではないとしても、軽油は国際市場で取引される。ロシアからの供給が細れば、代替調達を求める国が中東やアジア市場に流れ、価格を押し上げる圧力となる。円安が重なれば、国内の調達コストはさらに膨らむ。
とりわけ影響を受けやすいのは、物流、建設、農業、水産業である。軽油はトラックや建設機械、農機、漁船を動かす基幹燃料だ。燃料費の上昇は運送業者の採算を圧迫し、宅配、食品流通、建設資材の輸送費にも跳ね返る。価格転嫁が進まなければ、中小業者ほど体力を削られる。
また、航空燃料やA重油など周辺の石油製品にも波及すれば、観光、離島航路、工場操業にも影響が広がりかねない。電気・ガス料金だけでなく、物流費を通じて食品や日用品の価格にじわりと及ぶのが燃料高の厄介なところだ。
原油は産出できても、精製施設を失えば燃料は足りなくなる。今回のロシアの措置は、その現実を浮き彫りにした。ウクライナ戦争は軍事衝突であると同時に、エネルギー供給網を揺さぶる経済戦でもある。日本は直接の当事国ではないが、軽油価格という生活に近いところで、その余波を受ける可能性がある。





