【解説】スーパー「丸和・ユアーズ」のADRに頭痛い西日本シティ銀行
西日本シティ銀行は、丸和のメインバンクである。このたび丸和とその親会社ユアーズが共同してADRを申請、今後借入金債務を株式に変えてもらう(DES)額の交渉を、銀行と行うとしている。借入額は、丸和が124億51百万円、ユアーズが97億85百万円の合計222億36百万円となっている。決算期が異なるため正確性は崩れるが、おおよその目安として、当222億円がDESの対象額となる。メインバンクであるため、西日本シティ銀行はより多くの貸付金を、株式に転換する必要に迫られる。
詐欺師石原商事の騙しに乗っかったのは山口銀行G(36億83百万円)であり、西日本シティ銀行(8億70百万円)は、石原商事のサブ銀行の一行に過ぎず、石原商事を買収に動かさせたのは、西日本シティ銀行ではないだろう。
今回両社がADRに至る原因はいろいろあろうが、石原商事の購入を誰が持ち込み、誰が購入したのかが、気になって仕方ない。それまで丸和はユアーズの経営手法を取り入れて、次の改善を目指していた矢先であり、石原商事に経営者が現を抜かす間に、サブプライムローン問題の進行から、より消費者の活動が減退するなか、その対策が遅れたことが今回の問題に直面していると思わざるを得ない。
丸和のボンボンは、ADR申請の責任を取る形で辞任すると表明しているが、親はユアーズを経営しており、また天孫降臨してくるのに時間(2年後)はかからないと思われる。
2010/1月 借入先 | 借入残高/千円 |
西日本シティ銀行 | 6,362,950 |
みずほ銀行 | 1,968,225 |
商工組合中央金庫 | 1,775,495 |
三井住友銀行 | 1,201,567 |
日本政策投資銀行 | 104,000 |
熊本ファミリー銀行 | 56,250 |
伊予銀行 | 45,000 |
その他 | 940,000 |
合計 | 12,453,487 |
<丸和の主要株主 平成22年1月31日現在> | ||
氏名又は名称 | 所有株式数/千株 | 割合(%) |
株式会社ユアーズ | 16,460 | 66.47 |
オリックス株式会社 | 710 | 2.86 |
丸和取引先持株会 | 684 | 2.76 |
株式会社フラグシップ | 508 | 2.05 |
西日本シティ銀行 | 406 | 1.63 |
みずほ銀行 | 370 | 1.49 |
株式会社菱食 | 341 | 1.37 |
東洋水産株式会社 | 305 | 1.23 |
吉田氏 | 257 | 1.03 |
セコム損害保険 | 250 | 1 |
計 | 20,291 | 81.95 |
丸和 連結/百万円 | 2008年1月期 | 2009年1月期 | 2010年1月期 |
売上高 | 39,724 | 40,282 | 37,780 |
営業利益 | 667 | -43 | -110 |
経常利益 | 363 | -313 | -457 |
当期利益 | 140 | 15 | -2,743 |
総資産 | 21,511 | 27,169 | 25,008 |
自己資本 | 2,520 | 2,532 | 1,167 |
資本金 | 2,909 | 2,909 | 3,605 |
有利子負債 | 12,333 | 13,114 | 12,851 |
自己資本率 | 11.70% | 9.30% | 4.70% |
ユアーズ 2009年9月期決算 | ||||
/千円 | /千円 | |||
流動資産 | 3,964 | 流動負債 | 10,212 | |
現預金 | 1,382 | 買掛金 | 3,700 | |
売掛金 | 423 | 借入金 | 2,635 | |
商品他棚卸 | 819 | 社債 | 312 | |
短期貸付金 | 430 | カード預り金 | 685 | |
預け金 | 307 | 未払費用 | 461 | |
未収金 | 462 | その他 | 2,419 | |
その他 | 141 | 固定負債 | 9,100 | |
固定資産 | 18,254 | 長期借入金 | 7,150 | |
建物+土地 | 9,006 | 社債 | 1,485 | |
什器備品 | 591 | 預り保証金 | 406 | |
投資有価証券 | 4,900 | その他 | 59 | |
関係会社株式 | 621 | 資本金 | 80 | |
差入保証金 | 1,703 | 資本剰余金 | 1,253 | |
建設協力金 | 518 | 利益剰余金 | 1,632 | |
その他 | 915 | 純資産 | 2,966 | |
資産合計 | 22,278 | 負債+純資産計 | 22,278 | |
自己資本率 | 13.31% | |||
有利子負債 | 11,582 |
ユアーズの09/9月期の業績/百万円 | |
売上高 | 40,003 |
営業利益 | 308 |
営業外収支 | 157 |
経常利益 | 466 |
税引前利益 | 67 |
当期利益 | 35 |
ユアーズの財務内容を見ていると、ユアーズも最近では安定した経営をしていないのが窺い知れる。過去、丸和を助けたユアーズであるが、今度は丸和が上場企業だけに丸和に助けられたと見ることもできる。今回の連名でのADR申請は、ユア-ズが、「今回は丸和を支援できません。このままでは共倒れになります。」と宣言していることと同じである。
ユアーズの借入先明細は不明であるが、もみじ銀行(山口銀行の子会社)がメインとなっており、石原商事のメインも山口銀行とその子会社もみじ銀行がメイン銀行であったため、破綻後の石原商事の最終処理でユアーズに買い取らせ抱えさせた疑いが持たれる。
西日本シティ銀行は丸和の筆頭株主として経営指導してこなかったことが、こうした問題を引き起こしているともいえるが、より山口銀行ともみじ銀行のコンビは石原商事時代から、パー竹林が対応しているようである。
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