アイコン シャープ/太陽電池の葛城・八尾・富山工場売却 堺工場に集約へ

シャープが26日発表した再建計画において、「太陽電池事業の絞り込み」の具体案が明らかになった。赤字が続く欧米市場からも撤退し、基本的に生産、販売をやめる。
国内4工場のうち葛城工場、八尾工場、富山事業所は、生産設備を売却して撤退、堺工場(堺市)に集約するというもの。

シャープは国内で太陽電池のトップメーカーだが、欧米では苦戦している。このため、国内市場のほか、成長が見込まれるインド、中国などアジアに経営資源を集中。メンテナンスなどアフターサービスに力を入れ、国内住宅用のシェアを現在の30%程度から40%超に上げる計画となっている。

<コメント>
国内市場シェアを40%に引き上げる計画は無謀であろう。既に買取制度導入で、中国や台湾・韓国製などが大々的に入ってきており、日本でも低価格化が急速に進んでいる。
価格競争力ではアメリカのように中国勢に結果的に負ける。少々の発電効率の上昇ではすぐこうした新興国が追いかけてくることから、画期的な発電効率アップの開発がなければ、既に行き着いている生産市場となっている。(中国勢は、自国の原材料のレアアース(過去、日本に対して輸出規制)を利用できる利点と開発頭脳も世界から事業提携や人材を集め、生産設備は世界の最新設備を導入して生産されている。)

そもそも、太陽光発電市場がおかしくなったのは、欧米の景気後退だけではない。中国の国家政策に基づく大投資により、世界の需給バランスなどお構いなしに中国メーカーが大増産体制に入り、世界市場を席捲しているためである。こうした現実は更に進むと見られる。

シャープも拡大している日本市場で如何にキープできるかが問われる。国内であっても昔のようにはできない相談であるが中国製・韓国製をパージしない限り、価格競争は更に厳しさを増し、販売戦略だけでは如何しがたい。
シャープもそのまま工場を維持しても負け戦になり、大幅縮小は避けられなかったのが現実である。

下記資料は富士経済が作成した市場予測であるが、2030年には出力換算では現在の2.2倍に大幅増加するが、金額ベースでは5割増しにしかならないとしている。単価ベースでは大幅に下落していくことを意味しており、これは中国・台湾勢の台頭によるものである。

太陽電池の世界市場(モジュール出荷ベース)富士経済
 
2011
2012年見込
12/11年
2030年予測
30/12年
出 力/MW
33,028
40,105
121.43%
128,600
320.70%
金 額/億円
40,286
30,209
74.99%
45,520
150.70%
 
2010太陽光発電セル製造ランキング
1
Suntech
中国
6.60%
2
Ja Solar
中国
6.10%
3
First Solar
米国
5.90%
4
英利(Yingli)
中国
4.70%
5
Trina Solar
中国
4.70%
6
Qセルズ(倒産)
ドイツ
3.90%
7
Gintech
台湾
3.30%
8
シャープ
日本
3.10%
9
Motech
台湾
3.00%
10
京セラ
日本
2.70%
 
 
 
44.00%
 
[ 2012年9月27日 ]
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