アイコン アベノミクスでも輸出増にならないジレンマ

世 の中は変化しており、今や昔輸出の花形業種も今や様変わりとなっている。また、これまでの円高により海外進出が急加速していたことから、日本企業が海外の 生産基地から海外へ輸出している割合は急拡大。そのため、アベノミクスの円安で、喜んだのは、日本からの輸出に加え、海外での利益を円安換算することで利 益に興じている海外進出企業群である。

特に自動車メーカーの海外進出は、多くの協力工場を携えての進出となり、日本からの輸出量が増えるには限界がある。今後少し期待できるのは、いつになるかわからない低迷続ける欧州経済やBrics諸国の経済浮揚を待つしかない状態となっている。

アベノミクス

 

<海外進出と対外資産>

対外純資産は2000年以降、リーマン・ショック前の2007年にピークとなり、ショック後の2008年に急落、その後漸増し、2012年に急増している。これは、円高による海外工場移転や円高を利用したM&Aによるもの。2011年秋のタイの大洪水での日本企業の被害でもわかるとおり、東南アジア一帯に日本企業の生産工場は進出しており、円安による輸出増効果は限定的になっている。(対外純資産のランクではダントツの1位、2位の中国が150兆円、3位ドイツの121兆円)
 
日本の対外資産・負債・純資産推移(財務省)
/億円
対外資産
対外負債
対外純資産
うち民間
2008
5,191,790
2,936,710
2,255,080
1,852,670
2009
5,548,260
2,886,030
2,662,230
2,069,600
2010
5,635,260
3,120,310
2,514,950
2,051,370
2011
5,820,480
3,290,380
2,530,100
2,190,200
2012
6,619,020
3,655,880
2,963,150
 
 
その理由としては、
1、過去、輸出御三家は、家電・半導体・自動車であったが、今や生き残っているのは、自動車のみであり、自動車も現地生産比率が大きく増加している。
 
2、太陽光発電モジュールや半導体は、周知のとおり、韓国、中国・台湾勢に世界市場は完全に凌駕されており、家電に至っては、海外店舗での展示スペースも後方や隅っこに追いやられているあり様である。
 
3、ならば製造機械等の輸出が期待されるが、世界の大きな市場では、アメリカを除き不況であり、米国市場と同規模の欧州市場に至っては青息吐息の状態、その供給基地たる中国経済も減速しているのが実情である。
 そのため、これまで必要な製造機械や部品・部材類は、世界での競争力があるもので、円高・円安に関係なく輸出されていたことが伺える(こうした輸出企業は円安により会社の利益は急回復している)。
 
4、今や巨大市場となった中国市場は、反日戦争の映画(年間200本制作)やドラマ(山ほど)が連日放映されており、反日機運が薄らぐ期待はできないものとなっている(人民日報が5月17日報、中国国家新聞出版広電総局電視劇(TVドラマ)管理司は16日、日中戦争を題材としたドラマが余りにも過激化・娯楽化し過ぎている昨今の状況に対応するため、規制に乗り出すと伝えているほどだ)。そのため、積極的な日本製品の売り込みもできない状態であり、それに欧州経済の影響から輸出が鈍化していることにより製造機械のニーズそのものも減少している。
 
 中国では、政策的に拡大させてきた太陽光発電分野は、最大ニーズ国の欧州経済の低迷から破綻する企業まで現れており、市場縮小で韓国と激烈な受注合戦を繰り広げる造船業もやっと生きついている企業が多いとされる。
中国大気汚染のご三家の鉄鋼業もここ10年で4倍の生産量と拡大し続けており、今では生産過多状態に陥っている(2002年1.8億トン(世界9億トン、中国シェア20%)⇒2012年7.1億トン(世界15.5億トン、同45.8%))。
 
日本の消費は、アベノミクスの気分効果から株価が上がり、それに連れ2月・3月と2桁拡大している。しかし、現実の家計の可処分所得は増えない中、住宅ローン金利の上昇に加え消費税増税も控えており、一時的な消費回復で終わる可能性もあり、今後注視していく必要がある。
[ 2013年5月28日 ]
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