アイコン インドネシア リベラル派のジョコウィ氏53歳が大統領戦勝利

10年に一度行われるインドネシア大統領選挙、闘争民主党でリベラル派のジョコウィジャカルタ特別州知事と独裁色の強い元陸軍戦略予備軍司令官のプラボウォ氏の一騎打ちの選挙となり、7月9日投票が行われ、集計作業に入っていた。
22日、ジョコウィ氏勝利の総選挙委員会の結果発表を受け、プラボウォ氏は、不正選挙を主張、出馬そのものを取り消す撤退宣言を出し、事実上、ジョコウィ氏が勝利した。
初代スカルノ大統領と第2代のスハルト独裁政権の流れを汲む2者の選挙戦でもあった。
(デビ夫人はスカルノ大統領の第3夫人、メガワティ元大統領は第一夫人の長女)

インドネシア:
1、人口は2億47百万人(世界第4位)
2、世界一多い島:1万3466島からなり、主な島は16島、
3、宗教はイスラム教が76.5%で圧倒しているが、キリスト教が13.1%、ヒンドゥー教が3.4%、伝統信仰が2.5%、無宗教が1.9%、その他が2.6%と多宗教。
4、民族:約300の民族、ジャワ人が45%、スンダ人が14%、マドゥラ人が7.5%、沿岸マレー人が7.5%、その他が26%、中国系が約5%。
5、経済成長率:2010年6.22%、2011年6.40%、2012年6.26%、2013年5.78%、2014年5.36%(予想)
6、日本との関係:最近はアセアンでも高い成長率を示しており、近年、日本の自動車会社の生産工場などの多数進出、それも加速している。

<プラボウォ氏 53.15%獲得>
インドネシアの総選挙委員会(KPU)は7月22日、大統領選挙(7月9日投票)の公式開票結果を発表し、ジョコ・ウィドド・ジャカルタ特別州知事(通称ジョコウィ=53歳)が、7,099万(53.15%)、プラボウォ・スビアント元陸軍戦略予備軍司令官(62)が6,257万(46.85%)を獲得、一騎打ちのため、過半票を得たジョコウィ氏が当選した。差は6.3ポイントだった。

プラボウォ氏は憲法裁への異議申し立てをしない姿勢のため、本人が考えを一転させない限り、長い選挙戦が幕を閉じる。
 当発表を前に、中央ジャカルタ・イマムボンジョル通りのKPU本部周辺では道路が封鎖され、警視庁や国家警察などからなる警備隊約3400人が配備され、装甲車や自動小銃を装備した警察官を配置、周囲は物々しい雰囲気に包まれての発表だった。

▼「撤退」と発言=敗北宣言
 総選挙委員会(KPU)のフスニ委員長は22日夜、公式開票集計結果を発表した。総選挙監視庁、立会人は選挙結果に異議を申し立てなかった。6.3ポイント差の集計結果は、多数の調査機関が投票日に発表した開票速報とほぼ同じ。プラボウォ氏優勢を示した4機関の速報とは異なった。プラボウォ氏は22日までに異議申し立てをしない姿勢のため、選挙結果確定が8月後半まで延びることは回避されそうだ。 
 プラボウォ氏は集計の最後の段で、さじを投げたとみられる状況だ。「KPUによる2014年の大統領選のプロセスは問題があり、民主的ではなく、憲法に反する」。プラボウォ氏は当初の集計発表2時間前の午後2時過ぎに記者会見し、大統領選挙の正当性を認めないと宣言し、一方的に大統領選から「撤退」する考えを示した。プラボウォ氏は根拠として、集計過程の不透明さ、不正、KPU内の組織的不正などを示した。
 プラボウォ氏が実質的な「敗北宣言」をしたとの見方が強い。大統領選法は選挙中の「撤退」を規定しておらず、法にふれた可能性もある。

同陣営内でもハッタ副大統領候補、マーフッド選対本部長(元憲法裁長官)が敗北を認めた。ハッタ氏はプラボウォ氏の記者会見に姿を見せなかった。(プラボウォ氏陣営で)残ったのは、党首の任期切れを前にするバクリー・ゴルカル党党首、巡礼汚職事件の容疑者に断定されたスルヤダルマ・開発統一党(PPP)党首ら、他の選択肢を持たない人物ばかりだった。

ジョコウィ陣営のメガワティ元大統領は、(プラボウォ氏の)「撤退」宣言の後、私邸に連合政党の党首を集め「ジョコウィ連合政党は、ジョコウィ・カラを、2014~19年の次期大統領として勝利させることに成功した」と勝利の弁。
ジョコウィ氏は、最大票田の西ジャワ州(スンダ人74%、州都:バンドン、人口35百万人)を約20ポイント差で落としたが、西ジャワに次ぐ大票田の中部ジャワ(ジャワ人98%、人口:31百万人)、東ジャワ(ジャワ人79%、34百万人)を制した。南スラウェシ州マカッサル出身のカラ氏が東部(スラウェシ、マルク、ヌサトゥンガラ)の票を呼び込んだ。

インドネシアは一つ
 「候補番号1番(プラボウォ氏)、候補番号2番(ジョコウィ氏)も忘れてほしい」。ジョコウィ氏は集計結果公表後、夜の北ジャカルタ・スンダクラパで集まった市民を前にこう話した。「インドネシアは一つ。だから強い」。パンチャシラ(建国5原則)の3条「国家の統一」に触れた。
一騎打ちの選挙戦は、国を二分、中盤から民族・宗教をめぐる誹謗中傷が吹き荒れた。民主主義の祭典の大統領選が多様な民族・宗教によるインドネシアの統合を脅かす、逆説的な事態に陥った。
「大統領選挙の正当性を認めない」。プラボウォ氏の前代未聞の「撤退」宣言で、勝利が完全に固まると、夕暮れ、南ジャカルタ・クバグサンのメガワティ元大統領私邸が急に豪雨に。長きにわたった選挙戦が、突然、終わりを迎えたことを象徴したようだった。
 
ジョコウィ氏は日中、特別州知事の公務に復帰し、懸案の一つのプルイット調整池を視察。プラボウォ氏の宣言が出ると「プラボウォ氏は自分の利益を国家のために捧げ、国家をすべてに優先させる国士だと確信している」と皮肉をにじませた。「1億3500万人が安穏に(選挙を)問題なく終えられた。これは価値がある」。
 
メガワティ邸では静かに座るだけで談話を出さなかった。議会の多数派工作、新政権のポストと、「ジョコウィ大統領」の道程は始まったばかりだからだろう。

<現政権>
現ユドヨノ大統領(陸軍大将、民主党、2004年~、前評判が高かった前大統領メガワティ氏を60%獲得して大勝利)は、同国で大問題となったメッカ巡礼汚職事件や財政開発監督庁による公共投資の多くの不正発覚などで政治腐敗が追及され、今回の選挙では、民主党として候補者も出せず、両陣営にも組織としては参加しなかった。
まだ、インドネシアは、政権の関係者が、常に汚職まみれになる新興国特有のお国柄にある。

日本の場合、プラボウォ氏が選出された方が、強圧で政治的な不安定要素が少なく、ODAなどにより中に入り込みやすいだろうが、政治腐敗は避けられず、プラボウォ氏では、タイのように政治的に不安定になる可能性が高い。
21世紀であり、アセアン諸国も変わろうとしており、日本のアセアン戦略も時代に沿う政策が必要だろう。インドネシアは、中国が南シナ海に一方的に設定している9段線問題で対立する可能性が高い。
ジョコウィ氏は地域も含め、衛生面や道路のインフラ整備政策を主張しており、日本企業がベトナムのようにODA資金による官庁工事の汚職に巻き込まれないように注意する必要がある。

<選挙結果詳細>
全国34地区に分けられ、ジョコウィ氏が過半を制し勝利したのは24地区、一方、プラボウォ氏が勝ったのは10地区にとどまった。

参考、ジャカルタ新聞等いろいろ
参考、ジャカルタ新聞等いろいろ

[ 2014年7月23日 ]
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