アイコン 韓国経済 1月も輸出不振 ウォン安効果もなく 2015年第4四半期に続き

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韓国経済を支える輸出が年初から急激に萎縮している。こうした事態は、第4・四半期(10~12月)になり顕著となっている。
産業通商資源部によると、1月の輸出実績は前年同月比▲18.5%減の367億㌦となった。2009年8月(▲20.9%)に次ぐ6年5ヶ月ぶりの大幅な減少幅となっている。
深刻なのは、鉄鋼、造船、自動車、半導体など13主力業種すべての輸出が一斉に減少したことで、これは韓国貿易史上初めてとなっている。
このように1月の輸出は、前例のない記録が相次いでおり、事態を重視した政府は2月3日、官民合同の対策会議を開催、上半期(1~6月)に100回以上の貿易使節団派遣などを決めたが、世界の輸出環境は厳しく、前途は険しい。

 産業通商資源部は、輸出減少について「操業日数の減少、船舶の輸出減少など一時的要因と、国際原油価格の急落、中国の景気低迷、主力品目の単価下落が複合的に影響したと説明している。
 輸入額も▲20.1%の大幅減で314億㌦にとどまった。輸出入がともに減少するのは13ヶ月連続。貿易収支は53億㌦の黒字を記録している。
 以上、

中国・東南アジア・ブラジル・ロシアなど新興国経済の低迷に加え、欧州経済の低迷は原油価格の暴落とともに韓国の輸出産業を揺さぶり続けている。
 
中国との共存共栄を図る韓国政府にとって、今では中国勢が韓国の輸出産業に対して、強力なライバルとなっており、韓国産業の建て直しが急務となっている。
1ウォンは0.0937円、1円は10.642ウォン(2月12日現在)

<石油化学の輸出急減>
 韓国では、原油価格の暴落は、輸入額にも輸出額にも大きく影響している。中国は原油輸入量を拡大させる一方、自国経済の低迷から、精製油やナフサなど石油化学品を大量にしかも安価に輸出し、韓国の石油精製化学メーカーの輸出を駆逐している。中国の石油精製大手は巨大な国営企業であり、韓国勢が頑張っても競争相手にならないものになっている。

<造船>
 造船は、世界の発注量が、原油安や世界経済の低迷を受け、大幅に減少する中、昨年は、過去の受注分が完工し、大幅な赤字を露呈し、金融機関が選別受注の強化を要請、しばらくは浮上しそうにない情勢だ。

<家電>
 TVや家電製品は、いまや中国勢の世界市場台頭に以前日本勢が辿ったように高級分野に生き残りをかけている状況。
LG電子の2015年期の売上高は、前期比▲4%減の56兆5090億ウォン、営業利益は▲35%減の1兆1923億ウォンと急激に利益を減少させている。ウォン安になっていることかに、その下落幅の実態は昨年より大きなものとなっている。

<スマホ>
 スマホ市場は、中国市場の頭打ちが顕著となり、また、中国勢の台頭にかつて中国市場シェア№1であったサムスンは上位5位から弾き飛ばされてしまった。サムスンがまだ優位を保っているのはインドなど新興国であるが、価格は1万円前後のスマホであり、利益に貢献する度合いは確実に減っている。なお、アップルは中国需要の低迷などから1~3月生産計画を縮小させ、サプライチェーン企業を巻き込みアップルショックを生じさせている。

<半導体>
サムスンの半導体は、同社の利益の源泉となっていたが、10~12月期では、世界の受給バランスが崩れ、値崩れを起こし、前四半期より減収となっている。同社やSKは巨大工場建設プロジェクトを始動させているが、市場シェアがいくら大きくても競争が激しく絶対的な価格設定力を有するものではなく、需給バランスが崩れた場合、逆に大きく利益を損なうことになる。中国勢も国家支援の下、半導体製造の巨大工場の建設に入っている。台湾勢もいる。

<鉄鋼>
韓国を代表するポスコの鉄鋼輸出は、経済低迷で中国鉄鋼業界から溢れた、韓国の全生産量の2倍超におよぶ鉄鋼製品が世界へ流れ出し価格破壊、輸出減どころか中国製品が韓国へ雪崩れ込み価格破壊を続けている。韓国は12月に、中国とFTAまで締結したことから、中国製品に一般鋼材市場は淘汰される可能性すら出てきている。
ポスコの2015年期の連結売上高は58兆1920億ウォン、営業利益2兆4100億ウォン、最終利益は創業来初となる▲960億ウォンの赤字となった。
この赤字は主に2つの理由による。
一つは、数年前の資源高のおり、インドネシア政府に鉄鉱石輸出を止めさせ、付加価値の鉄鋼製品として輸出させるため、現地に建設した製鉄所が2014年12月の稼動初日から問題を起こし、その後も問題を起こし続け、当インドネシア高炉の赤字が止まらないことに起因している。この間、資源は暴落、インドネシア国は結果的には儲け損なっている。
 二つ目は、新日鉄の電磁鋼板製造技術の詐取事件で、新日鉄側に3千億ウォンの支払いで和解、特損計上している。

<自動車>
 自動車は、韓国では欧州とのFTA締結から欧州勢の車両が市場を駆逐し始めている。特に中国同様ドイツ車人気もあり、VW不正ガス問題にめげず大売れしている。
 現代自動車の2015年の売上高は、前年比3.0%増の91兆9587億ウォンで過去最高の売上高を計上した。ただ、営業利益は同比▲15.8%減の6兆3579億ウォンとなった。販売台数を増加させるため、安売りした実態が明らかになっている。それも昨年は為替がウォン安になっており、以外と内実は深刻のようだ。
国内の市場シェアも、欧州FTA締結前には48%超あったものが、今では39%台まで落としている。
1月の現代・起亜・韓国GM・双龍・ルノーサムスンの韓国内外の販売台数の合計は、前年同月比▲12.6%減の62万6,315台と韓国メディアのアジア経済が報じている。価格が安く競争力を持ち強い中国・ブラジル・ロシアの新興国での減少が大きいという。
以上。

経済低迷下の中国中央政府が、口だけで根本的な構造改革に後回しにし、生産と内需のバランスに大きなギャップが生じ、国内で行き場がなくなった生産物が世界中に安価に輸出され、世界の経済に大混乱を招いている。特に鉄鋼製品と石油化学品が問題となっている。どちらも主たる生産企業は国営でもある。
中国政府には、内需立て直しのため大掛かりな財政出動を行うとともに、余剰生産産業の構造改革が求められている。
韓国はこうした中国の影響を大きく受けている。

<韓国の過去4ヶ月の輸出入前年比>輸入減は原油暴落のせいばかりではない。
韓国の過去4ヶ月の輸出入前年比

<過去1年間の輸出推移>単位:百万ドル 
下半期が明らかに減少している
過去1年間の輸出推移

<輸出額の5年推移>単位:百万ドル
<輸出額の5年推移>単位:百万ドル

<2015年はウォン安で増益効果ありだが・・>対ドルウォン
<2015年はウォン安で増益効果ありだが・・>対ドルウォン



 

[ 2016年2月15日 ]
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