両社の海外販売が大票田の中国とアメリカでここまで落とし、これだけの数字をまだ計上しているということは、ロシア・ブラジル・インドで大きく増加していることを意味するが、そんな上昇要因があるとも思えずチェックする必要があろう。

現代自動車は中国に２工場を建設、２０１５年から河北省の滄州工場(生産キャパ３０万台)は操業開始、重慶工場(同３０万台)も今秋完成し、来春にも操業を開始する予定になっている。滄州工場では３月２４日～４月１日までの１週間、在庫増による生産調整のため生産停止に入っていた。重慶工場が操業を開始すれば、両社の中国における総生産キャパは２８０万台となる。現在の販売台数は１８０万台止まりだ。
アメリカ・トランプは、米国で販売される自動車は米国内で生産すべきだと一貫してメーカーたたきを行っている。現代(アラバマ工場)と起亜(ジョージア工場)と韓国勢は２ヶ所しか工場を所有していない。米国での工場建設を求められるか、国境税を課せられる可能性がある。工場建設ともなると巨額が必要になる。

現代は１月に米国で今後５年以内に３１億ドルを投資すると発表したが、雇用を生み出す工場建設するとは述べていない。(当投資額を工場建設に振り向ける可能性がある)。
しかし、現代・起亜の米国販売車の多くが韓国から輸出されており、韓国の生産が縮小すれば、当然リストラすることになり、大労働争議が超高給取りの組合員たちにより敢行される可能性がある。当然、文在寅政権の支持母体の１つであり、労働争議にでも発展すれば政府からも弾圧される可能性すらある。現代と起亜は米国で合計１４２万台(2016年)を販売している。

現代自動車の問題点は、習朴蜜月時代に習主席が喜ぶことを意識して、こうした巨額投資の中国２工場を計画したものの、現在、取り巻く政治環境が一変していること。また、２兆円規模の投資を行い超超高層の本社ビルなど複合施設をソウル中心部に建設していること。その土地の取得価格が評価額の３倍という高値で購入していることなど、資金の固定化を招く動きにより、世界経済と中国関係が回復しない限り、信用不安を起こす可能性すらあることが上げられる。

目先、自動車は全自動EVに変わるが、すでにその過渡期に突入している。国家庇護の中国勢は別にして、韓国勢は遅れをとれば、市場から脱落する可能性もある。そうしたことからも研究開発しているサムスン電子(M&A取得企業も増加)やソウル大などと組み、全自動車の開発にあたる必要があるが、そうした連携もまったくなく、独自研究の域を出ていない。内でも外でもライバル視してしまう韓国社会の性質が出ているのかもしれない。
韓国にとって日本からの技術を盗み出して発展さす時代は、表面的には日本の衰退により遠に終わっている。もう技術供与も盗み出すこともできない時代に至っている。