アイコン 造船業界 韓国政府再び大宇造船に2900億円支援 国営造船会社の様相

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世界景気は、トランプ効果で株価は上昇したものの、トランプの経済政策は保護主義を採用するとされるものの、不透明感を強め一進一退を長期にわたり繰り返している。世界経済をリードしてきた肝心の中国経済はその成長のスピードを鈍化させ下降トレンドにある。その影響は原油や資源価格を暴落させ、世界の物流が停滞し、

韓国政府が1年半ぶりに再び大宇造船海洋に対する新規資金支援に乗り出すことにした。
すべての債権者の損失分担合意を前提に、2兆9千億ウォン(約2900億円/1ウォン=0.1円)の支援限度を提示した。
自主的債務再調整が失敗した場合、企業回生手続き(法定管理)の一種である事前回生計画制度(P-Plan)を裁判所に申請する案もまとめた。

 韓国政府は2015年10月、4兆2千億ウォン(約4200億円)の支援を決定した後「追加支援はない」としたが、1年5ヶ月で出される大規模な追加支援決定言葉を変えた。「大馬不死(大きすぎて潰せない<Too Big To Fail>)」に足を引っ張られたまま、構造調整で混乱を繰り返したことに対して責任論争が大きくなるものとみられる。

韓国政府は23日、政府ソウル庁舎で産業競争力強化の関係長官会議を開き、このような内容の大宇造船の構造調整推進案を確定した。
主務省庁である金融委員会は資料を出し、「債務調整合意と自助努力の推進を前提にKDB産業銀行と輸出入銀行が2兆9千億ウォンを支援して大宇造船の経営正常化を後押しする」と明らかにした。
また、船の受注に必要な手付金還付保証(RG)新規需要は都市銀行と産銀・輸銀・貿易保険公社が分担する計画。

政府は、受注不振などで大宇造船が第2四半期(4~6月)中に資金が底をつくだろうと予想している。目前に迫った4月に返済すべき社債が4400億ウォン(440億円)にのぼる。
 大宇造船の不足資金は2018年までで最大5兆1千億ウォン(5100億円)と予想される。

政府がこの日発表した追加支援額2兆9千億ウォンは、債権団の債務再調整の成功等を想定したとき減少する金融費用を差し引き、大宇造船に必要な資金。

産銀と輸銀は、既存の貸出を出資に転換するだけでなく、新規支援金を半分ずつ分担することにした。
これに伴い輸銀は、国際決済銀行(BIS)自己資本比率が1.1%ほど低くなり、税金で資本拡充をしなければならない状況となっている。

 政府は同日、大宇造船が倒産する場合、国民経済に最大59兆ウォンにのぼる損失が発生する可能性があると見通し、追加支援が避けられないと主張した。
イム・ジョンリョン金融委員長は、このような損失規模について「リスク要因を最大限すべて露出させる仮定で出したもの」と説明した。
建造中の船舶に投入された原価、金融市場に及ぼす影響、失業、協力会社の売上打撃などを最悪と仮定したときの数値という。
これはいわゆる「大馬不死」論理を作動させる根拠になったということになる。

今回、政府が提示した債務再調整案によると、国策銀行と都市銀行、社債権者の順で損失負担が大きい。産銀と輸銀は無担保債権1兆6千億ウォンを100%出資に転換することになる。

都市銀行も、7千億ウォンの無担保債権を80%は出資に転換し、残りは満期を延長。
社債権者らの会社債や企業手形(CP)はそれぞれ半分ずつを出資に転換した後、残りは満期延長する案が提示された。債権者の出資転換額だけで計2兆9千億ウォンに上る。

債権損失分担の細部方策が定められたため、政府は昨年6月にまとめた大宇造船の自助計画の履行もスピードと強度をさらに高めることにした。
迅速な資産売却、総人件費の25%を追加削減、直営人材1千人の追加縮小など5兆3千億ウォン規模の自助案を速やかに履行するよう圧力をかける。これまでは1兆8千億ウォンしか履行されていなかった。

 政府が今回の案を出して債務調整合意が破棄された場合、裁判所を通じたP-Planを推進するとしたのは一種の「背水の陣」を張ったものとみられる。
事実上の法定管理であるP-Planに進む場合、債権者を対象に強制的債務調整が可能だが、発注の取り消しなどのリスクが高まり、損失負担が増える可能性もある。
以上、
こうした大宇造船と世界で入札競争する日本勢は適わない。そのため、日本は昨年6月OECDの会合で問題提起したことがある。
造船業界は、海運会社の動向に左右されるが、リーマンショック前に発注された船舶が、3~4年で完成、中国におけるリーマン後のインフラ投資増で、さらに船舶の発注量は増加したものの、中国経済の停滞、欧州経済の低迷が続き、世界の物流量は大幅に減少、海運市場は過剰船腹に新規発注を大幅に減少させてきた。
海運業界は受注競争からバルチック海運価格指数が低下し続ける中、海運メジャーは大型コンテナ船を就航させ、低価格競争に一段と拍車をかけ、世界第7位の韓国の韓進海運が破産するに至っている。
韓国造船業界は、海運メジャーからこうした大型コンテナ船を受注し、また、拡大指向が強く、韓国の3大造船会社(大宇造船海洋・サムスン重工業・現代重工業)が競って、これまでやったこともない原油やLNGの海上プラントを競って安値で受注しまくり、その納品時期が一昨年から来て大損を露呈、いずれも政府系の産業銀行などの大規模支援を受けるとともに大リストラを敢行している。特に大宇造船は財閥解体来、政府系の産業銀行系の造船会社であり、産業銀行OBが経営に当たり粉飾問題も露呈させたものの、朴大統領は各種軍船を発注していることから、潰せないとして、巨額の支援体制をとった。

しかし、世界経済に明るさは見えず、過剰船腹が解消されるには、まだ長時間を要する。そのため、大宇造船は運転資金や社債の償還問題に直面し、今回の再度の支援となっている。

韓国の造船業界の最近の報道は、受注した受注したと再びバラ色報道が多くなっているが、国まで拡大し続けてきたドッグのキャパが大き過ぎ、安定した受注残には程遠い。

そうした中でも、大宇造船は、赤字を出さないために選別受注を強化させており、受注量は限られている。さらに中国や日本と異なり、国内からの受注が限られるという点は歪めない。
韓国政府は、韓国最大の海運会社の韓進海運まで破産させており、造船業界は国内からの受注はさらに減少することになる。
朴大統領(当時)は、艦船を前倒しで発注する対策を採ったが、その後、どうなったかは不明。
3月15日、商船三井が過去サムスン重工業に発注した超大型コンテナ船4隻のうち、1隻(2万150TEU)が完成した。・・・商船三井のような非国民もいる。

<バルチック海運価格指数>Baltic Exchange Dry Index (BDI)
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[ 2017年3月25日 ]
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