アイコン 地銀 25年には86%が赤字転落 急がれる統合

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ブルームバーグが、地銀の統合、地元とのかかわりについて、次のように特集記事を掲載している。

地方銀行は、地方で集めた資金を地元に還流せずに近隣大都市の企業などに貸し付けるケースが増えている。

日銀によるマイナス金利政策に加え、高齢化や人口減少などの構造問題を抱える地銀の経営は混迷を深めている。
再編機運も高まる中で、求められるのは地域活性化への貢献。

過去10年間の地銀の貸出増加額はマーケット縮小が続く地方に比べて大都市圏(札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡)が2.8倍に達している。
地元に十分な貸し出し需要がないため大都市シフトが起きている。

金融庁が6月に集計した地域銀行106行の2017年3月期決算概要は、当期純利益が前期比▲15%減少。
融資利息や金融商品販売手数料など本業の儲けを示す実質業務純益は同▲19.0%減と、前期の前期比▲1.8%減から大幅に悪化している。上場地銀82行の18年3月期純利益予想は、前期比▲17%減と、厳しい経営環境は続くと予想されている。

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<生き残るための貸し出し残は8兆円>
大和総研の調べでは、03年以降の地銀同士の合併や提携は合計21件あるが、このうち16年~18年(予定含む)で8件と加速しているという。

地銀については、いまの経営状況が続けば25年には地銀の86%が本業で赤字に転落すると試算している。
この悪夢に飲み込まれずに本業の貸出業務からの利益率を黒字化するには、貸出残高8兆円が一つの目安になるという。
貸し出し業務では「規模の利益が効いてくるため、地銀同士の再編も選択となり得る」とみている。このままではだめ。

<三重銀行と第三銀行の統合>
三重県の人口は180万人、地銀3行が本拠を構えるが、このうち三重銀行と第三銀行が2月に経営統合を発表した。18年4月に持株会社を設立して、将来的には2行を合併する計画。

現在の業容を単純計算すれば、貸出金残高約2兆6000億円、店舗数173の中堅地銀が誕生する。
県内トップの百五銀行(同残高約3兆円)と肩を並べるが、大和総研の試算を基にすれば合併しても十分な規模とは言えない。
両行が経営統合に踏み切った背景には3つの課題があった。
1、人口減少による地元経済の縮小、
2、市場金利の低下による収益性悪化、
3、金融と情報技術(IT)を融合したフィンテック企業など異業種参入の脅威。

統合にあたって、合理化と効率化を図る一方で、愛知県などの近接地域での競争力強化を基本方針に掲げた。地域経済活性化と大都市への進出で生き残りを目指す考え。
三重県と隣接する愛知県は、トヨタやデンソーなど製造業を中心に世界的な大企業が本拠を構える工業県。人口、事業所数はともに三重の4倍以上で750万人、33万8600社を抱え、製造費出荷額は43兆8千億円と全国1位。近隣県からみればビジネスが生まれる宝の山と映る。

しかし、都市部ではメガバンクなどとの金利競争によって収益性が低下するため、大都市への進出は「信用力を見る上ではプラスにならない」との見方を示めされている。
ただ、両行の統合により愛知県で計34店舗を構えることができる点は大きい。

<地銀のあるべき姿>
地銀が生き残るための統合については、
「規模の利益とともに競争が緩やかになるメリットがある」。
統合後は「地元の中小企業取引の深掘りと金利をコントロールできるプライスリーダーになることが重要。そこから近接する大都市への攻勢が有効」
と指摘されている。

地銀ならではの経営に役立つ質の高い情報提供が取引する一番の決め手になる。
地銀の経営統合は、少子高齢化や人口減少・経済が縮小していく中では持続可能なビジネスモデルを確保する上で選択肢の一つ。
地銀は、猫も杓子も大都市指向、ところが大都市では、競争から厳しい収益環境、逆に地元で貸し出しを増やして収益を取っていくことが必要とされている。

<地銀の存在価値の再点検>
金融機能を発揮して地域の発展に役立つという地銀の役割は不変であり、不良債権リスクも少なく金融機関は本来の活動がしやすい正常な環境にある。この環境下で地域の特性に合わせてどんなリスクをとるのか、どうやって成長していくかが問われている。
以上、ブルームバーグ参照

地銀のほとんどはシンクタンクを擁している。銀行の広報誌の資料作りに終わっているようだが、本来、地元経済・企業の活性化のためのアドバイザーとしての機能がある。現実には、まったくシンクタンクが生かされていない。

[ 2017年7月13日 ]
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