ロイター 米中関係が危険な局面にさしかかっている
米中関係が危険な局面にさしかかっているとロイターがつぎのとおり報じている。
習近平国家主席とトランプ大統領との関係は、4月首脳会談から続いてきた蜜月は突然終わった。
中国は北朝鮮の態度を改めさせるという面で成果を示しておらず、米中間の貿易不均衡は続いている。
そして、米政権は猛然と攻撃を開始した。判断ミスが起こり、経済に打撃を及ぼす恐れは高まっている。
中国側はこれまで、トランプ大統領が、役人のアドバイスを軽視する人物だと見てとり、トランプ一族、特に娘婿のクシュナー氏および娘のイバンカ氏との関係構築に力を入れてきた。
トランプ氏も、台湾と仲良くするのをすぐに止め、習主席におべっかを使ってこれに応じた。
(習はイバンカを秋に招待している)
<中国が軽視した見誤った米国>
中国は3つの点を軽視していた。
1、トランプ大統領の予測不可能性、
2、ワシントンの官僚による反撃、
3、中国叩きに対する米有権者の支持。
トランプ陣営も、中国がもっと歩み寄ると勘違いしていた。
中国政府は確かに、(1)米国産牛肉の輸入解禁や(2)米金融機関に絡む規制緩和など、市場開放面で象徴的な幾つかの譲歩を行った。
しかし、一方で、外国のソフトウエア企業締め出しを意図するようなサイバーセキュリティー法の強化を進めた。
中国の対米黒字は、2月に数年ぶりの低水準に縮小したが、その後は拡大して5月は220億ドル(約2.5兆円)に達した。
中国は北朝鮮に追加的な制裁を科したが、効果は出ていない。
北朝鮮は米独立記念日の4日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の実験を行った。
(金正恩は4日のミサイル実験を「米独立記念日のプレゼント」と述べた)
トランプ大統領は堪忍袋の緒が切れたようで、14億ドル相当の台湾向け武器売却計画を明らかにした。また、北朝鮮と取引のある中国の個人や銀行に対する制裁を発表し、鉄鋼への輸入制限もちらつかせ始めた。
米海軍は、南シナ海に艦船を派遣する「航行の自由」作戦を再開した。
<リスク拡大>
以上のことから、
第1のリスクは、トランプ大統領が極端から極端へと振れること。
第2のリスクは、中国が過剰反応すること。
●背景となるニュース
・中国税関総署のデータによると、中国の5月の対米貿易黒字は220億ドルで、前月の213億ドルから増えて昨年11月以来で最大となった。
・米中政府は4月の首脳会談で、貿易不均衡是正を目指す「100日計画」の協議を開始した。
・米政府は6月29日、中国の銀行を標的に、北朝鮮と取引のある中国の個人と企業に制裁を科すと発表した。
(北朝鮮が西側の金融アクセスの窓口としている遼寧省の丹東銀行と運輸会社1社、個人2人を制裁)
・同日、14億ドル規模の台湾向け武器輸出を承認した。
(中国側の強い反発を招いている。中国による圧力で米国は台湾への武器輸出を抑制、台湾の戦闘機はかなり古いものになっていた)
・7月2日、米海軍の艦船は南シナ海で中国などが主権を主張する島の周辺を航行し、中国国防省の反発を買った。
(トランプになり「航行の自由作戦」は頓挫していたが、5月25日に新政権として初めて敢行された。そして2ヶ月も経過しない7月2日に再び敢行した。)
・7月5日、トランプ米大統領は、中国と北朝鮮の間の貿易が増加していることを指摘し、北朝鮮の核開発問題への対処で、中国が米国と共に取り組んでいるのか疑問を呈した。トランプ大統領はツイッターで「中国と北朝鮮の間の貿易は、第1・四半期中に約40%増加した」とし、中国が北朝鮮問題を巡り米国と共に取り組んでいるのか疑問を呈した。
(中国は、石炭を2月に今年分の輸入を停止させたが、1・2月に輸入を急増させていた。4月になると石炭に代わり、鉄鉱石輸入を前年同月比で4.4倍と急拡大させていることが判明している。石炭は国連決議により輸入量が制裁対象だが、鉄鉱石は民間使用分の輸入は国連制裁の対象外。価格はトン当たり石炭より若干安い程度)
・トランプ大統領は、国家安全保障上の理由で鉄鋼輸入への新たな関税を検討しており、今週の20ヶ国・地域(G20)首脳会議でこの問題を提起する計画。
以上、報道参照、( )内は当方
「お主、ほんとうに悪よのう」
は、プーチンの可能性が高い。中国は経済で北朝鮮との関係が深いが、習は1回も首脳会談を開催していないほど北朝鮮政脈には乏しい。
ロシアと北朝鮮は国境を接しており、鉄道も両国間を通っている。また、5月から貨客船の万景峰号もウラジオストック間で定期航路を開設している。・・・何が運び込まれていることやら。
プーチンは、ウクライナ問題で欧米国から350項目あまりの経済制裁を受けており、IS問題で米トランプににじりより、コンタクトを取りたがったが、米国によりシリア空軍基地トマホーク59発攻撃や米軍機によるシリア軍機の撃墜事件で、態度を硬化させるしかなかった。
米トランプにしても、プーチンと仲良くしたいが、国内では、自ら・側近たちが大統領選の選挙期間中にロシアとの接触で、ロシアゲート事件にさいなまれ、仲良くできない現実、これは身から出た錆か。
こうして、「北朝鮮」問題は、ロシアと問題解決を図る計画が、大統領就任早々から自らがロシアゲート事件に嵌り、ロシアと話し合うこともできない現実を横たわらせている。
結果、中国習ににじり寄ったものの、目的のためなら手段を選ばない中国習に期待したものの、何の効果も得られなかったというのが、結論を急ぐトランプの現在でもある。
今や米トランプは、「北朝鮮」からからかわれ、その背後に中国習と露西亜プーチンがほくそ笑んでいるがいま見えるようだ。
ただ、ICBMという「レッドライン」を越えた北朝鮮、そのまま開発を進めさせることは、米国民が許さず、トランプに残された選択肢は狭まって来ているのが現実だろう。
今週、G20、トランプには、課題多いプーチンと30分間の会談の時間が設けられている。
2017年 北朝鮮ミサイル発射実験
|
||||||
回
|
発射日
|
ミサイル型
|
成否
|
高度
|
飛距離
|
備考
|
1
|
2月12日
|
北極星2型
|
成功
|
500
|
550
|
潜水艦発射、SLBM
|
2
|
3月6日
|
KN15
|
成功
|
260
|
1,000
|
4発同時発射、EEZ内
|
3
|
3月22日
|
|
失敗
|
|
|
|
4
|
4月5日
|
北極星2型
|
失敗?
|
189
|
60
|
|
5
|
4月16日
|
|
失敗
|
|
|
|
6
|
4月29日
|
|
失敗
|
|
50
|
|
7
|
5月14日
|
火星12型
|
成功
|
2,100
|
780
|
30分間飛行
|
8
|
5月21日
|
北極星2型
|
成功
|
560
|
500
|
陸上型
|
9
|
5月29日
|
スカッド改良型
|
成功
|
|
400
|
EEZ内
|
10
|
6月8日
|
地対艦巡航ミサイル
|
成功
|
|
200
|
数発
|
11
|
7月4日
|
火星14型ICBM
|
成功
|
2,800
|
930
|
39分間飛行、EEZ内
|
コメントをどうぞ