アイコン 賃貸住宅着工戸数6ヶ月連続減 銀行の融資抑制で沈静化へ 月別3年比較

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急増したアパート建設に歯止めがかかり、家賃下落や空室増への懸念が強まってきた。
国交省が27日発表した11月の貸家着工戸数は6ヶ月連続で前年同月の実績を下回った。

<近い将来サブプライムローン化の懸念>
金融機関の利益を直撃しているマイナス金利、企業の増加する内部留保に投資抑制、金融機関の貸付先縮小、低金利下に降って沸いた賃貸マンション建設ブームと金融機関の貸付増。

一方で、少子高齢化・人口減が進む世の中での賃貸住宅の過剰供給問題、不動産取得価格が都市部では地価と建築価格が高騰して利回り減少、新旧の賃貸マンションの入居価格も格差が大きくなり、新築物件でも入居者不足に陥るケースや想定家賃が当初より下落することもある(家賃保証会社や一括借受会社が満室とカモフラージュしているケースさえある。家賃保障制度では一定期間を単位として保証額が見直される)。

長期借り入れに対する家賃収入の不安定さ=サブプライムローン問題化する恐れが高くなっており、金融庁が監視を強化、そうした賃貸マンション投資への地銀の積極融資が止まり、相続税の節税対策も一巡している。

<5ヶ月連続減>
11月の貸家着工は、前年同月比▲2.9%減の3万7,508戸。相続対策と日銀のマイナス金利導入を受けて急増したアパート建設。
5月まで19ヶ月連続のプラスを記録したが一転、マイナス基調が定着した。
貸家減で全体の新設住宅着工戸数も5ヶ月連続マイナス。
 国交省の建設経済統計調査室は「個人向けアパートローンの減少が着工に影響した。都市部の需要は底堅いが、地方は下がっている」とみている。
 
<地方都市の着工数減大>
貸家着工は26都道府県でマイナスとなり、山口県の▲62%減が最も大きな減少幅。
ある不動産大手サイトによると、山口市内の賃貸住宅の空室率は18%弱。10%前後の東京都区部より高い。
地方では、好立地が少なくなって着工が減り、将来の空室懸念も強まっている。
 金融庁の監督強化で地銀が貸し出しを抑え、「不動産業者が融資案件を持ち込む先が、銀行から信用金庫に広がっている」という。

だが、金融機関が地主に融資を提案しても、先行き不安から成約しないケースは増えているという。
 全国地方銀行協会の佐久間英利会長(千葉銀行頭取)は11月の記者会見で、「地価が上がり採算のとれる物件が少なくなった。現在の地価をピークと考える人も多い」と指摘し、アパート融資は限界が近いとの認識を示す。

<業者への影響大>
レオパレス21の4~9月期の受注高は、前年同期比▲14.5%減の378億円。同社幹部は「受注環境は厳しい」と話す。
都市部は一定の需要が見込めるが、競合は厳しい。地方の受注を絞ると、大幅な受注減に見舞われた。

<貸家着工の抑制はどこまで続くか>
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの試算では、2018年1~3月期から四半期ベース(前年同期比)の減少率は、3期連続で▲8%以上になる。
「相続税対策のアパート需要が減り始め、資材価格も上昇した。貸家の動向によっては全体の住宅着工を押し下げる」とみている。

<契約トラブル増>
契約を巡るトラブルも増えてきている。
2月にできた「サブリース問題解決センター」には30件を超す相談が持ち込まれている。
 神奈川県の60代男性は、不動産業者から35年にわたり、1部屋7万5千円の家賃収入が見込めると持ちかけられ、5億円を借りた。ところが、今の家賃相場は5万円。
大谷昭二センター長は「家賃は将来下がる可能性が高く、被害が広がる可能性がある」とみる。
以上、日経新聞参考

将来的には2022年問題も抱える(生産緑地に対する優遇税制、1992年、30年間の時限立法として成立)。都市部の田畑に対する課税強化、田畑の大量流動化問題、宅地飽和。
ただし、国会で延長が立法化される可能性がある。
そのほか、財政問題から公共投資減少、金融引き締めによるオリンピック不動産バブルの崩壊の懸念・・・世界経済の成長率や為替により回避される可能性もある。

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<賃貸住宅物件の着工戸数>賃貸住宅物件=貸家・アパート・賃貸マンション
※2017年の累計は1~11月の値/出典:国交省発表値
全国賃貸住宅 賃貸マンション・アパート・貸家の3ヶ年月別推移
 
2015
2016
2017
 
 
対前年
 
対前年
 
対前年
戸数
同月比
戸数
同月比
戸数
同月比
1
26,856
-10.3
28,288
5.3
31,684
12
2
25,672
-7.5
28,871
12.5
30,842
6.8
3
30,243
4.6
30,572
1.1
33,937
11
1~3
82,771
-4.40%
87,731
6.0%
96,463
10.0%
4
30,603
-1.8
35,504
16
36,194
1.9
5
28,208
2.8
32,427
15
32,956
1.6
6
35,600
14.6
36,910
3.7
35,967
-2.6
4~6
94,411
5.3%
104,841
11.0%
105,117
0.3%
7
33,977
18.7
37,745
11.1
36,365
-3.7
8
33,470
17.7
36,784
9.9
34,968
-4.9
9
34,092
13.3
38,400
12.6
37,521
-2.3
7~9
101,539
16.5%
112,929
11.2%
108,854
-3.6%
10
32,757
-2.6
39,950
22
38,017
-4.8
11
33,505
2.6
38,617
15.3
37,508
-2.9
12
33,735
3.9
34,475
2.2
 
 
10~12
99,997
11.1%
113,042
13.0%
75,525
-3.9%
年計
378,718
7.2%
418,543
10.5%
385,959
0.6%
賃貸住宅物件着工戸数
 
年推移
着工戸数
前年比
備考
2012
318,521
11.4%
東日本大震災復興
2013
356,263
11.8%
 
2014
353,438
-0.8%
4月消費税増税
2015
378,718
7.2%
相続税改正・建築物優遇措置 
2016
418,543
10.5%
 
2017
385,959
0.6%
金融庁・銀行指導


 

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[ 2017年12月28日 ]

 

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