アイコン サムスン電子 スマホ6千万台を中国企業にODM生産依頼 WINTECH

 

 

サムスン電子に部品を供給する中小企業の会「協星会」が最近、非常対策チームを立ち上げた。
サムスンが1年間に生産するスマートフォン3億台のうち20%に当たる廉価版の6000万台を、世界各国にある自社工場では製造せずに、中国企業で電子家電メーカーのWINTECHに一任した。
中国人に受け入れられるスマホの企画・デザイン・生産まで完全に委ねた(ODM生産)WINTECHに丸ごと任せることにした影響で、中小部品メーカーでは仕事がなくなってしまうと嘆いている。

スマホの製造で中国に最後まであったサムスン電子の恵州工場を、中国での市場占有率が0.7%まで落ち撤退した。中国で販売する廉価版は採算が合わず、高価格帯も売れないという野壷に嵌り、打開策として、ODM生産により市場回復と、世界で低貧層から富裕層の全層に対して供給できる体制を整え、その相乗効果により全層で市場シェア回復を狙う。
サムスンのスマホは、ベトナムを主力工場にし、ブラジルと昨年からインド工場を稼動させている。インド市場でもサムスンは市場占有率トップだったが、今では中国勢の小米科技に奪われている。
(サムスンは韓国ではすでに製造していない。LGも製造コスト上昇により韓国での生産を中止し、今年中にベトナムに移転させると発表している)。

ODM生産は、サムスン側で価格帯だけ決め、あとは中国企業が設計・部品調達・組み立てまで全て行う方式(ODM、委託先ブランドによる設計・生産)により供給される。
サムスンはこのような中国製スマホに「サムスン」ブランドを付けて世界市場で販売する。世界1位の製造競争力を自負してきたサムスン電子の歴史では前例がない。それほど危機感を有している裏返しともいえる。

理由は、中国の低価格スマホの攻勢の中で、駆逐された中国市場や後進国・新興国市場でも生き延びるためだけである。
安くて品質の良い100ドル前後の中国製と競争するために、自らが中国製になるという最強手段に出たともいえる。
生存という絶対的使命の前に「サムスン製造」というプライドたけはおごりとなる。
アップルは台湾のEMSメーカーのフォックスコン(鴻海科技集団)に自社が選んだ部品と設計図を渡して組み立てを依頼しているが、サムスンは廉価版において、それより数段階上の委託となっている。

しかし、サムスンに納品している中小企業者は「われわれにとっては死刑宣告」と話している。また、別の企業者も「非常対策チームが苦境を訴え、当初の7000万台から1000万台減った」とした上で、「サムスンの物量を受注した中国メーカーを訪ねて、われわれの部品を買ってもらうよう泣きついている」と話しているという。

<日本家電企業の衰退>
サムスンの動きは、低賃金=低労働賃金を求め進出した東南アジアの自社工場も含め、自社生産にこだわり続けて、韓国勢に敗れ衰退した日本家電業界を反面教師にしているともいえる。
当時、経団連は、政府や国民に対して、非正規雇用を拡大させなければ、東南アジアへ工場を移転してしまうぞと脅迫し、その後、正規雇用者をリストラし、非正規雇用に入れ替え、空前の利益を手にしていた。

しかし、日本の製造業は、次の円高に負け、ベトナムやタイへ工場を移転させてしまった。低賃金の非正規雇用制度だけが日本に残り、こん日、アベノミクスにより空前の利益を上げるも銭の使い道も知らず、賃金も上げず、生産効率大幅アップの設備投資もせず、空前の利益をそのまま内部留保にして懐に仕舞い込んでいる(政策金利だけではなく、資金需要が低迷して低金利の原因にもなっている)。
国による借金の大幅増加を伴う公共工事投資の垂れ流しのアベノミクスをいつまでも続けられるものではなく、その終焉において、かつてエコ家電補助制度に潤った家電業界がそのまま衰退・終焉を迎えたように、今度は少子高齢化、国内需要の低迷も続き、銭の使い道を知らないことから日本産業そのものが衰退する可能性が大きくなっている。
日本のTV業界はLGのOLEDディスプレイを搭載することでかろうじて生き残っている。また家電製造を台湾企業や中国企業に生産委託する動きも進んでいる。
以上、

なお、WINTECK(廣華物産/代表:楊偉雄)は、日本の板橋区に本社がある中国系の小型家電に強く、AVブランドを持つ会社があるが、同一もしくは関係会社かどうかは不明。
別に精密部品組立製造販売業者でWINTECH (HONG KONG & CHINA)LTDも深圳威德塑胶有限公司という工場を有しているが関連は不明。
サムスンは、スマホの新興企業と称していた。
 

[ 2019年10月29日 ]

 

 

 


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