アイコン 中川企画建設の更生法申請が示す"再エネバブルの終焉"


総合建設業の中川企画建設(大阪市中央区)が10月9日、大阪地裁に会社更生法の適用を申請した。保全管理人には髙木大地弁護士(関西法律特許事務所)が選任、負債は約222億円で、事業を継続しながら再建を進める方針だ。

中川企画建設の会社更生法申請は、単なる一企業の経営破綻にとどまらない。再生可能エネルギー関連の建設事業を軸に急成長を遂げた中堅ゼネコンが、資金循環の歪みに耐え切れず行き詰まった。これは、建設業界全体が抱える構造的リスクの表面化といえる。

 同社はプレハブ建築から事業を拡大し、全国展開を果たした実績を持つ。とりわけ近年はメガソーラー案件を柱に据え、2022年5月期には売上高約283億円に達していた。しかし、メガソーラーやPFIといった長期回収型の案件は、完工までに多額の資金を要するうえ、入金が完工後に一括となるケースも多い。借入金に依存した運転資金の循環は、わずかな遅延が即座に資金ショートを引き起こす脆弱な構造だった。

 

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 今回の更生法申請は、再エネ関連事業の採算性にも改めて警鐘を鳴らしている。太陽光発電事業は「脱炭素」の追い風を受けて拡大したが、補助金や投資ブームに支えられた“過熱した需要”が、案件管理の実務や資金管理の精度を超えていた可能性がある。再エネ市場が成熟期に入る中、開発から施工、維持管理までのキャッシュフロー設計を見直さなければ、同様の事態は他社にも波及しかねない。

 さらに、今回の破綻は「成長=借入拡大」という旧来の発想の限界を突きつける。中堅ゼネコンが地方自治体や大手企業との大型案件を請け負う際、金融機関が形式的な信用補完にとどまっている現状も課題だ。資金調達の枠組み自体が、もはや事業構造に追いついていない。

 建設需要が底堅い中での更生申請は、一見矛盾して映る。しかし本質は明確だ。“成長のための借入”が、“継続不能の負債”に変わる瞬間が到来したということ。資金管理と工期管理を一体で最適化できない企業は、規模の大小を問わず生き残れない時代に入った。

 中川企画建設の破綻は、再エネバブルの終焉と同時に、建設業界が「回収リスク管理」という新たな経営課題に直面している現実を示している。業界の次の競争軸は、“受注力”ではなく“資金回収力”に移りつつある。

 

[ 2025年10月15日 ]
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