アイコン 2025年企業倒産、12年ぶり「1万件」超えの衝撃 ― ゼロゼロ融資終焉と構造的「淘汰」の幕開け


2025年の日本経済は、日経平均株価が堅調に推移する一方で、実体経済における「新陳代謝」がかつてない激しさで進んだ一年となった。

各調査会社の集計によると、2025年の全国企業倒産件数(負債1,000万円以上)は、2013年以来、12年ぶりに1万件の大台を突破する見通しだ。コロナ禍の過剰流動性による「延命」が完全に終わり、日本経済は市場原理に基づく過酷な「選別」の時代へと突入した。

2025年の倒産

 

1. 量的拡大から「質的変容」へ:倒産急増の舞台裏

 

今年の倒産動向において特筆すべきは、単なる景気後退による「不況型倒産」ではなく、構造的課題を背景とした倒産が主流となった点だ。

  • 人手不足倒産の常態化: 過去最多を更新。賃上げ原資を確保できない中小企業から労働力が流出し、受注を抱えながら事業を継続できない「黒字廃業」を含めた機能不全が目立った。

  • 物価高・価格転嫁難: 原材料費、エネルギー価格、労務費の「トリプル高」に対し、川下への価格転嫁が遅れた企業の収益が限界に達した。

  • ゼロゼロ融資の副作用: コロナ特例融資の返済開始時期が集中し、キャッシュフローがショートする「債務整理型」の倒産が底上げ要因となった。


 

 

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2. 業種別分析:建設業の「三重苦」が鮮明に

 

全業種の中で最も厳しい局面を迎えたのが建設業界である。

課題カテゴリー 具体的な内容 経済的インパクト
2024年問題 残業規制の適用による工期延長 現場回転率の低下と人件費負担の増大
資材価格の高騰 鉄鋼・コンクリート等の価格高止まり 請負契約時の予算超過による採算割れ
職人の高齢化 熟練工の退職と若手入職者の減少 外注費の高騰と施工能力の減退

この結果、建設業の倒産は4年連続で増加。地域インフラを支える地場ゼネコンの連鎖倒産も散見され、供給サイドの脆弱性が露呈した。

 

3. 2025年を象徴する大型倒産事例

 

2025年は、特定の「成長産業」や「老舗企業」の脆さが露呈した年でもあった。

  1. (株)ドローンネット(負債:約1,444億円)

    新産業としての期待先行に対し、実需の拡大と収益化が追いつかず、過剰投資が裏目に出た。

  2. 中川企画建設(株)(負債:約222億円)

    メガソーラー開発を軸に急成長したが、再生可能エネルギー関連の規制強化と資金繰り悪化が直撃した。

  3. (株)JSファンダリ(負債:約161億円)

    半導体自給率向上を掲げたが、膨大な設備投資負担とグローバルな需給バランスの変動に抗えなかった。

  4. (株)阪神服装(負債:約62億円)

    国内縫製大手の倒産。アパレル業界における「安価な国内生産」というビジネスモデルの限界を示唆した。

 

4. 2026年への展望:金利上昇という「最後の審判」

 

2025年はコスト高と人手不足に苦しんだ年だったが、2026年はさらなる試練が予想される。日本銀行の金融政策正常化に伴う「金利上昇」だ。

長らく「ゼロ金利」に依存してきた過剰債務企業にとって、利払い負担の増加は致命傷になり得る。これまで市場に残っていた「ゾンビ企業」の淘汰がさらに加速し、企業の再編やM&Aを通じた業界再編が一段と進むことが予想される。

経済全体としては、この「痛み」を伴う新陳代謝を、高付加価値産業への労働移動と生産性向上に繋げられるかどうかが、日本経済再生の分岐点となるだろう。

 

■ 編集後記

2025年の倒産ラッシュは、ある意味で「日本経済の正常化プロセス」の一部と言える。公的支援による下支えが外れたことで、市場は冷徹に企業の「真価」を測り始めた。2026年は、生き残った企業による投資の活性化と、賃上げの好循環が地方経済まで波及するかを注視すべきだろう。

[ 2025年12月29日 ]
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