利回り10%の甘い罠 サーバー投資名目で250億円被害か 京都の業者破産へ
「レンタルサーバーを購入すれば高利回りで収益が出る」とうたった投資勧誘で、全国の約5000人が計約250億円の被害に遭った疑いがあることが分かった。
京都市下京区のサーバー販売業者「クリアースカイ」に対し、債権者らが京都地裁に破産手続きの開始を申し立てた。IT資産と仮想通貨を組み合わせた現代的な「現物まがい商法」の裏側には、地方の人間関係を食い物にするマルチ商法の罠が張り巡らされていた。
■実態なき「IT投資」の虚構
申立代理人の加藤博太郎弁護士らによると、同社の手口は極めて巧妙かつ単純なものだった。顧客に対し「一口110万円でサーバーを購入すれば、企業へのレンタル収益を乗せ、数カ月後に110%の価格で買い戻す」と持ちかけていた。利益分は仮想通貨で支払われる仕組みだったが、実際にはサーバー運用の実態はほとんど確認されておらず、新規の出資金を既存客への支払いに充てる「ポンジ・スキーム」に陥っていたとみられる。
今年2月以降、会社側との連絡が途絶。ネット上では「配当が止まった」という悲鳴が相次いでいた。
京都地裁への申し立て時点での負債額は、判明しているだけで約28億円。しかし、弁護団の調査では被害規模は250億円という巨額に膨れ上がる見通しだという。
■地方を蝕むマルチの連鎖
被害を爆発的に広めた要因は、同社が採用した「代理店方式」にある。全国に配置された「執行役」と呼ばれる特別代理店が、オンラインや地方都市でのセミナーを主導。既存の顧客が新たな顧客を紹介することで報酬を得る「マルチ商法(連鎖販売取引)」の形をとっていた。特に愛知県東三河地方では、豊橋市の代理店を通じて大規模な勧誘が行われ、地域の住民同士の信頼関係が投資の呼び水となった格好だ。
| 商法の手口 | 「現物まがい商法(オーナー商法)」および「マルチ商法」。既存顧客が新客を紹介する連鎖的な勧誘。 |
|---|---|
| 運用の仕組み | サーバー1台につき110万円で契約。数カ月後に121万円相当(110%)を仮想通貨で払い戻すと約束。 |
| 主な被害地域 | 全国に及ぶが、特に愛知県豊橋市など東三河地方で有力代理店による大規模な勧誘が行われた。 |
| 法的問題点 | 改正預託法違反(原則禁止された販売預託)、出資法違反、詐欺罪の疑い。 |
| 現在の状況 | 代表者らと連絡不通。京都地裁への破産申し立て、消費者庁への業務停止命令および刑事告発の要請。 |
■改正預託法の壁と法執行の行方
今回の事件は、2022年の改正預託法施行後としては最大級の被害となる可能性がある。かつての豊田商事事件や安愚楽牧場事件などの巨額詐欺を教訓に、販売預託商法は原則禁止された。しかし、クリアースカイ社は「IT資産の販売」という形式をとることで法の網をくぐり抜けようとした形跡がある。
弁護団は14日、消費者庁に対し同社や主要代理店への業務停止命令と、警視庁や東京地検などへの刑事告発を求めた。加藤弁護士は「過去の深刻な現物まがい商法事件の上位に食い込む規模だ。組織的な詐欺としての解明が必要だ」と訴える。今後は破産管財人による資産の保全が進められるが、資金が海外の仮想通貨口座などに移されている懸念もあり、回収への道のりは険しいものと予想される。





