香川土木談合、地元工事に影 高松市、建設会社の半数を指名停止
香川県発注の土木工事をめぐる談合問題が、地元の公共工事に大きな影を落としている。
公正取引委員会は6月25日、2021年から2024年にかけて香川県が発注した特定土木一式工事で談合があったとして、高松市内の建設会社27社に課徴金納付命令を出した。このうち20社には排除措置命令も出された。
これを受け、香川県は7月3日に8カ月から12カ月の指名停止を決定。高松市も7月6日、県と同じ基準で、市内の27社に指名停止措置を出した。排除措置命令を受けた20社は12カ月、それ以外の7社は8カ月の処分となる。
問題が重いのは、処分を受けた会社の数だけではない。高松市で公共工事などを受注できる基準を満たす建設会社は55社。そのうち約半数が一斉に指名停止となった。市は今後、残る業者だけで工事の発注が難しくなれば、入札条件の緩和や市外業者の参加も検討するとしている。
談合は、公共工事の公正な競争をゆがめる。税金で行われる工事である以上、本来なら価格や技術力を競い、最も適切な業者が選ばれなければならない。しかし今回のケースでは、受注する会社を事前に決め、他社が高い価格で入札したり、入札を控えたりする形で調整していたとされる。
一方で、この問題は地方建設業の弱さも浮き彫りにした。地元の有力業者が多数処分されれば、道路、河川、災害対策などの公共工事を誰が担うのかという現実的な問題が生じる。談合を許さないのは当然だが、処分によって地域インフラの担い手が一気に不足するという皮肉な構図でもある。
背景には、地方の建設業界で進む人手不足や業者数の減少がある。限られた地元業者が同じ地域の工事を繰り返し受注する環境では、競争よりも「順番」や「調整」が優先されやすい。地元業者を守る仕組みが、いつの間にか閉じた市場をつくり、談合の温床になっていた可能性がある。
行政にも課題は残る。発注者である自治体は、地域の施工体制を維持しながら、公正な競争も確保しなければならない。地元要件を重視しすぎれば競争は狭まり、外部業者に広げすぎれば地域企業の育成が難しくなる。香川の談合問題は、単なる不正入札事件ではなく、地方の公共工事のあり方そのものを問い直す案件となった。
公共工事は、道路や河川を整えるだけでなく、災害時の地域を支える基盤でもある。その担い手が限られるなかで、不正をどう防ぎ、必要な工事をどう止めずに進めるのか。今回の処分は、地方自治体と建設業界の双方に重い宿題を突きつけている。





