【倒産企業続報】サバ養殖のフィッシュ・バイオテックが破産 負債6200万円、J-Startup選定も再建ならず
サバの人工種苗や陸上養殖、養殖用飼料などを研究開発していたフィッシュ・バイオテック(株)(大阪府豊中市、法人番号:6120901038716)が、2026年7月17日に大阪地裁へ自己破産を申請し、9月7日に破産手続き開始決定を受けた。
負債は債権者約8名に対して約6200万円。
同社についてJC-NETでは、マサバ養殖のR&Dベンチャーとして、NTTドコモとのスマート養殖実証や「前澤ファンド」からの出資、経済産業省近畿経済産業局の「J-Startup KANSAI」選定などを報じていた。
【既報】サバ養殖ベンチャー「フィッシュ・バイオテック」が破産 NTTドコモとスマート養殖、前澤ファンド採択
7月17日に自己破産申請、負債約6200万円
フィッシュ・バイオテックは2026年7月17日、大阪地裁へ自己破産を申請。その後、9月7日に破産手続き開始決定を受けた。
破産時の資本金は1億円。負債総額は債権者約8名に対し約6200万円となっている。
同社は2017年7月設立。法人番号は6120901038716で、本店所在地は大阪府豊中市。
養殖用マサバに特化した研究開発型企業として、人工種苗、飼料、陸上養殖設備、ICTを利用した養殖管理システムなどの開発を進めていた。
マサバの「種苗・エサ・システム」を研究開発
近畿経済産業局は同社を、養殖用マサバに特化した「種苗」「エサ」「システム」を研究開発するR&Dベンチャーとして紹介していた。
和歌山県内に種苗生産設備を設置し、人工的に生産したマサバの稚魚を養殖事業者や漁業協同組合、研究機関などへ供給。
天然魚を捕獲して育てる方式だけに依存せず、優良な親魚を選抜して人工種苗を安定生産するとともに、天然由来の輸入魚粉への依存を減らすサバ専用飼料や、ICTを利用した養殖管理システムの研究も進めていた。
最終的には種苗、飼料、設備、養殖管理を一体で提供する「サバ養殖のプラットフォーマー」を目指していた。
2019年6月期の売上高は約3200万円
2019年6月期の年売上高は約3200万円を計上していた。
一方、事業の性格上、人工種苗の研究開発や養殖設備の整備など先行投資が必要で、設立当初から研究開発費や設備投資負担が先行していた。
養殖技術を研究段階から事業化し、種苗やシステムとして外部へ販売するまでには継続的な資金が必要となるなか、本格的な収益化までの資金負担が経営課題となっていた。
新型コロナでグループの飲食事業も悪化
その後、新型コロナウイルス感染拡大が経営環境をさらに悪化させた。
フィッシュ・バイオテックはサバ関連事業を展開する企業グループの一社で、関係会社ではサバ料理専門店など飲食事業を展開していた。
コロナ禍による外出自粛などで関係会社が運営する飲食店の来店客が減少し、グループ全体の事業環境が悪化。取引金融機関から支援を受けながら資金繰り改善を図っていた。
ただし、「とろさば料理専門店SABAR」などの飲食店を運営する会社と、今回破産したフィッシュ・バイオテックは別法人である。
NTTドコモの発表でも、鯖やグループについて「株式会社鯖や」「株式会社SABAR」「フィッシュ・バイオテック株式会社」をそれぞれ別法人として記載している。今回の破産手続きはフィッシュ・バイオテックを対象とするものであり、株式会社鯖やや株式会社SABARが破産したことを意味するものではない。
NTTドコモと「スマート養殖」を実証
技術面では、大手通信会社との共同研究でも注目された。
2020年、NTTドコモと鯖やグループはICTを活用した新たなサバ養殖モデルの確立を目的に業務提携。フィッシュ・バイオテックの養殖漁場で実証実験を行った。
水中カメラや超音波技術、海洋データなどを活用し、サバの成長状態を効率的に把握するスマート養殖を研究。2021年には超音波式水中可視化技術を利用し、養殖サバを水中から取り出さずに平均魚体長を測定する実証にも成功していた。
2023年には豊中市内の研究施設で、閉鎖循環型の完全陸上養殖によるサバの長期飼育にも取り組み、養殖したサバを関係会社の飲食店で提供していた。
前澤ファンドの出資、J-Startup KANSAIにも選定
資金面では、実業家が設立した「前澤ファンド」から出資を受けるなど、スタートアップとして注目を集めていた。
さらに2022年10月には、近畿経済産業局などが進める「J-Startup KANSAI」の2022年度選定企業17社の一つに選ばれた。
同社は応募枠5社の一つとして選定され、ベンチャーキャピタリストなどによる評価では仮想出資額1億4000万円を獲得していた。
公的機関や投資家から成長性を評価され、研究開発や事業化を進めていたものの、先行投資負担やコロナ禍によるグループ全体の事業環境悪化などから、抜本的な経営再建には至らなかった。
フィッシュ・バイオテックの会社概要
| 法人名 | フィッシュ・バイオテック株式会社 |
|---|---|
| 所在地 | 大阪府豊中市 |
| 法人番号 | 6120901038716 |
| 設立 | 2017年7月 |
| 資本金 | 1億円(破産時) |
| 主要事業 | マサバの人工種苗、養殖用飼料、陸上養殖、養殖管理システムの研究開発 |
| 売上高 | 約3200万円(2019年6月期) |
| 主な実績 | NTTドコモとのスマート養殖実証、前澤ファンド出資、J-Startup KANSAI選定 |
| 自己破産申請 | 2026年7月17日 |
| 破産手続き開始決定 | 2026年9月7日・大阪地裁 |
| 負債 | 約6200万円(債権者約8名) |
養殖用マサバの種苗から飼料、ICT、陸上養殖まで一体的な研究開発を進め、大手企業との共同実証やスタートアップ支援制度への選定などで注目を集めたが、設立から9年で破産手続きへ移行することとなった。
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