【広島】せとうちDMO発「島と暮らす」旧運営会社が特別清算 日本政策投資銀行系ファンドが資金供給
瀬戸内地域の特産品を取り扱う通販事業を展開していた株式会社島と暮らす(広島市中区、法人番号:8140001111304)は、2026年10月15日、広島地裁から特別清算開始命令を受けた。
同社は2018年、せとうちDMOを構成する瀬戸内ブランドコーポレーションと、兵庫県淡路市のユーアールエーが共同で設立した企業。瀬戸内7県の食品や特産品を全国へ販売する通販事業を展開し、日本政策投資銀行などが出資する「せとうち観光活性化ファンド」から成長資金の供給も受けていた。
一方、通販サイト「島と暮らす」の比較的新しい会社情報には、西野金陵株式会社が販売業者として掲載されている。今回、特別清算開始命令を受けたのは旧運営会社の株式会社島と暮らすであり、現在の通販サイトの販売業者とは別法人である。
せとうちDMOが2018年に設立、瀬戸内の特産品を全国へ
島と暮らすは2018年9月に設立され、同年11月1日から新体制で通販サイトの運営を開始した。
事業の基盤となったのは、淡路島で飲食・物販事業などを手掛けるユーアールエーの通販サイト「島と暮らす」。これを法人化し、せとうちDMOの構成企業である瀬戸内ブランドコーポレーションと共同で新会社を設立した。
2018年11月の設立時資料によると、資本金は2000万円、従業員数は10人。設立時の本店は兵庫県淡路市に置かれ、その後、広島市中区へ移転した。
同社が目指していたのは、瀬戸内各地の農産物や加工食品を全国の消費者へ届ける広域通販事業だった。
当初は淡路島や徳島県の商品を中心に取り扱い、淡路島産の玉ねぎ、玉ねぎスープ、ドレッシング、海産物、鳴門金時、すだち、半田そうめん、小豆島の醤油やオリーブ製品などを販売していた。
単に商品を販売するだけではなく、地域の生産者や食品事業者を発掘し、商品開発や情報発信を通じて、瀬戸内地域の観光にもつなげる構想を掲げていた。
設立当時の商品数1296点、会員数7692人
せとうちDMOが2018年11月1日に公表した資料では、通販サイトの販売商品数は516点、取扱商品数は1296点、WEB会員数は7692人に達していた。
当時、個人向けの食料品通販に加え、歳暮や贈答品、企業向けギフトなどにも利用を広げる計画を掲げていた。
商品を通じて産地の魅力を知ってもらい、実際に現地を訪れる観光需要につなげるという、地域商社と観光振興を組み合わせた事業モデルだった。
ただし、商品数や会員数は2018年11月時点の数字であり、2026年の特別清算開始直前の事業規模を示すものではない。直近の売上高、会員数、従業員数については確認できていない。
日本政策投資銀行などが出資するファンドから資金供給
設立時の事業拡大を支えたのが、瀬戸内地域の観光産業を支援する「せとうち観光活性化ファンド」だった。
日本政策投資銀行は2018年11月1日、同ファンドを通じて島と暮らすにメザニンファイナンスを実施したと発表した。
同ファンドは、日本政策投資銀行と瀬戸内地域の地方銀行などが共同出資し、観光関連事業者に成長資金を供給する仕組み。島と暮らすに対しては、地域金融機関とも連携し、通販事業の拡大を支援していた。
メザニンファイナンスは、一般的な融資と株式出資の中間的な性質を持つ資金調達手法で、成長段階の企業や事業拡大を図る企業への資金供給にも利用される。
当時の支援対象として重視されていたのは、瀬戸内地域の食品・特産品のブランド化と、通販による販路拡大だった。
ただし、島と暮らすへの具体的な資金供給額や、今回の特別清算に伴うファンド側の損失額、債権の回収状況については確認できていない。資金供給の事実だけをもって、公的資金の損失が確定したと判断することはできない。
通販サイトには西野金陵の表示、旧運営法人とは区別
今回の特別清算で注意が必要なのは、法人としての「株式会社島と暮らす」と、同じ名称を使用する通販サイトの関係だ。
通販サイト「島と暮らす」の特定商取引法に関する表示や会社情報には、比較的新しい取得情報で、西野金陵株式会社(香川県、法人番号:6470001008188)が販売業者として記載されている。
西野金陵は清酒の醸造や酒類・食品の卸売りなどを手掛ける企業で、今回特別清算開始命令を受けた株式会社島と暮らすとは別法人である。
一方、同じ通販サイトの過去の表示には、販売業者として株式会社島と暮らすが記載されていた。
このため、通販サイトに表示される販売主体が変更されたことは確認できるが、事業譲渡や契約変更が行われた具体的な時期、譲渡対象となった資産・権利、両社の契約関係については確認できていない。
今回の特別清算は株式会社島と暮らすに対するものであり、西野金陵株式会社が特別清算したわけではない。また、今回の法的手続きのみを理由に、通販サイト全体が閉鎖されたと判断することもできない。
広島地裁が特別清算開始命令、負債額は不明
株式会社島と暮らすは2026年10月15日、広島地裁から特別清算開始命令を受けた。事件番号は令和8年(ヒ)第1007号。
今回の手続きでは代表清算人が選任されている。特別清算は、解散した株式会社などの債務・財産関係を整理する法的な清算手続きであり、破産手続きとは異なる。
同社の負債総額、直近の業績、解散日、特別清算に至った具体的な経緯については確認できていない。
また、2018年の設立時に関係した企業や資金供給元についても、現在の出資・債権関係や今回の清算に伴う損益は明らかになっていない。
地域産品の販路拡大を目指した事業、旧運営法人は清算へ
島と暮らすの事例は、瀬戸内地域の特産品を全国へ販売し、通販と観光を結び付ける事業構想のもとで設立された会社が、約8年を経て特別清算に至ったという点で注目される。
設立当時は地域の民間企業、せとうちDMOの関係企業、金融機関、政府系金融機関が関わるファンドなど、複数の主体が事業拡大を支えていた。
一方、現在の通販サイトには別法人が販売業者として表示されている。事業やブランドが別の主体のもとで取り扱われることと、旧運営会社が財務的に存続できることは、別の問題である。
ただし、今回の清算が通販事業の採算悪化によるものなのか、運営主体の変更後に残った債務の整理によるものなのかは確認できていない。具体的な破綻原因については、今後の資料による確認が必要となる。
会社概要
| 法人名 | 株式会社島と暮らす |
|---|---|
| 所在地 | 広島県広島市中区 |
| 設立 | 2018年9月18日(設立時公表資料) |
| 資本金 | 2000万円(2018年設立当時) |
| 従業員数 | 10人(2018年11月時点) |
| 主な事業 | 瀬戸内地域の特産品の通信販売(旧運営事業) |
| 設立時の関係企業 | 瀬戸内ブランドコーポレーション、ユーアールエー |
| 資金調達 | せとうち観光活性化ファンドによるメザニンファイナンス(2018年) |
| 通販サイト | 島と暮らす(過去の運営実績) |
| 通販サイトの別法人表示 | 西野金陵株式会社(販売業者として比較的新しいサイト情報に掲載) |
| 特別清算開始命令 | 2026年10月15日(広島地裁) |
| 事件番号 | 令和8年(ヒ)第1007号 |
| 負債総額 | 確認できず |
| 法人番号 | 8140001111304 |
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