アイコン やってみなはれ第4次革命工場 WEF Global Lighthouse Network

Posted:[ 2020年10月13日 ]

世界経済フォーラム(WEF)は、世界的コンサルティング企業のマッキンゼーとともに世界の製造業の変化を率いるライトハウス工場(灯台、第4次産業の指標となる工場/ベンチマーキング工場)10ヶ所を最近新たに選定し、計54ヶ所になった。
1、デジタル化、
1、高度化と予測分析、
1、仮想現実(VR)と拡張現実(AR)、
1、産業用モノのインターネット(IIoT)
など第4次産業革命技術を先導的に導入し、灯台のように製造業の未来を案内する水先案内工場をライトハウスと称している。
2018年からこれまで54ヶ所のライトハウス工場が選定され、24ヶ所がアジアがあり、うち中国は15ヶ所、日本は2ヶ所、韓国はポスコが認定されている。

ライトハウス工場は第4次産業革命技術を積極的に活用し
▽柔軟性と顧客中心
▽弾力的なサプライチェーン
▽速度と生産性向上
▽親環境
の4種類の革新に成功している。



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中国・杭州にあるアリババの迅犀デジタル衣類工場が代表的な例。創業者の馬雲氏が2018年に提示した新製造戦略の圧縮版。人工知能(AI)やIoTなどを活用して、
①需要予測から②注文、③服地切断、④縫製、⑤洗濯、⑥配送に至る過程をデジタル化している。
同じ材料を使う複数の衣類注文を同時に処理して生地の浪費を減らし、
AI技術を活用したレーザー切断機はミスを減らした。
洗濯過程でも水の消費を50%減らし、
同工場では、最小100枚の少量注文生産が可能ながらも製品発売までの期間は既存の75%を圧縮、在庫の43%減少を実現している。

データ活用基盤の構築は必須
ドイツの産業0自動化ソリューション企業フェニックスコンタクトは、情報を含んだICタグ(RFID)を活用し、デザインから配送までの全生産過程をデータ化して生産時間を30%減らし、性能を40%向上させた。

サウジアラビアのアラムコはドローンを飛ばして石油生産プラントに散在しているパイプラインと機械類を検査・分析し検査時間を90%短縮した。

英ユニリーバの「ライトハウス合肥工場」(中国)はAIが工場を管理することによりコロナでも生産を10%増加させた。

独シーメンス中国成都工場では、さまざまな生産設備のセンサーが互いに数千万個の情報をやりとりする生産ラインで100種類以上の製品を生産している、

アイルランドのヤンセンは、リアルタイムでサプライチェーンを把握するプラットフォームを構築して1700万ドル相当の在庫を減らした、

イタリアのロルドは、IoTを活用して現場ですぐにコストを計算している。

バリューチェーン(付加価値が生成される過程)をデジタル化してビジネスモデルの革新を成し遂げたりもしている。
中国・上海自動車グループのマクサスは大量生産が難しいオーダーメード型自動車の工程を革新した。
顧客はオンラインでオーダーメード型自動車を注文し製作過程を追跡する。
会社は3次元シミュレーションでデザインした後、これに合わせて部品の配送を受け、AIで品質をチェックする。
購入・生産・在庫・物流などを自動管理するシステムを備えたマクサスは注文受付から4週間以内に配送を終わらせるのが目標。
発売までの期間を35%減らし、別途の時間やコストを増やすことなくオーダーメード生産体系の効率性を高めている。

英ユニリーバの合肥工場は、新コロナ事態の危機に、生産プロセス全般にわたってデジタルとAIを導入した。
自宅で生産ラインのモニタリングを可能にし、問題をすぐに見つけて修正できるようにした。
結果、新コロナ期間中にも1日の生産量は10%増えた。
またAIがリサイクル残熱を工場の電力に活用することで、蒸気の排出量を93%減少させた。

ライトハウス工場の過半数は、デジタル能力の構築に積極的。
世界的石油化学企業のトルコのペトキムは、デジタルアカデミーを社内に構築してAR・VRで社員を教育している。

インドネシア・ペトロは、ゲーミフィケーション(ゲーム的要素を組み合わせて使用者の没入を引き出し動機を付与すること)を活用してデジタル技術を習得させている。最高経営陣の参加度が高く、これを管理・支援する革新組織を構築しているのも共通分母にしている。
アンケート調査の結果、社員の満足度は10点満点中8点で他の一般企業に比べて高くなっている。

成果は数値で現れる
一般企業と比較して生産性は最大200%高く、新製品発売期間最大90%短縮、運営費用は最大45%節約などの成果を出している。

日本では
GEヘルスケア・ジャパン(東京都日野市)・・・GE独自のリーン生産方式を第4次産業革命のテクノロジーを取り入れ、結果、コスト30%削減やサイクルタイム46%短縮など、パフォーマンスを次のレベルへ引き上げている。

日立製作所の大みか事業所・・・産業に特化した広範なモノのインターネット技術とデータ分析を活用することにより、品質を損なうことなくコア製品のリードタイムを50%短縮させた。
の2件が選定されているほか、

三井海洋開発(MODEC)(ブラジル、リオデジャネイロ市):この海洋施設では、石油採掘船の開発の加速と新しいアルゴリズムの指数関数的なスケールアップを実現するために、予知保全の高度分析、処理プラントのデジタルツイン、所有データプラットホームを活用し、ダウンタイム65%短縮につなげている。

失敗
ライトハウス工場を目指す企業での失敗事例は、パイロット運用ばかり繰り返す、企業の革新意志不足があげられている。世界の製造業者の70%が暗中模索の海に苦しみつつ立ち向かう企業「パイロットパーガトリー(Pilot purgatory)」と定義している。
継続した革新が求められ、工場という概念における永久革命が求められている。
企業文化の革新・革新の計画性
企業の環境醸成
国の規制緩和、
柔軟な制度運用なども後押しが必要だとされている。
その段階に突入した工場がライトハウスとして世界で54ヶ所が認定されている。

 世界経済フォーラム(WEF)は、デジタルデータにより工場の敷地を飛び越え、複数の工場同士を相互に接続してバリューチェーンとして機能させ、生産体制を敏捷に変革・再構成可能にすることで、市場投入のスピードアップとマスカスタマイゼーションが可能になると考えている。
関係する縦・横・前後・中を第4次産業の技術(デジタル機器とソフト)を応用して有機的に結びつけ、お互い最大の効果と結果をもたらす。

ライトハウスの審査は
2019年までは、「電子化と自動化」「高度かつ予測的な分析」「VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などの技術の活用」「IIoT(インダストリアルIoT)」といった技術への取り組みや効果に着目して評価していた。
2020年までの評価においては、さらに「施設・工場において高度なユースケースを展開するとともに、バリューチェーンを(サプライヤーや顧客を含めて)エンドツーエンド(E2E)で接続しているか」に注目ししている。
加えて、新システムと運用を他拠点へ展開可能とするなど、システムの設計に拡張性を見込んでいるかにも着目している。

否応なく企業は第4次産業革命技術を適用していくしか生き残れなくなる。
先手必勝という言葉もあるように、今ある第4次産業革命のテクノロジーを最大限活用し、生産を見直すことが必要ではないだろうか。アベノミクスでせっかく企業に利益を蓄えさせてくれた安倍政権、せっかく蓄えた利益をアホみたいに株主たちに還元するなどせず、生産工場の将来投資を今から始めるべきではないだろうか。「やってみなはれ」だ。

日本でも新コロナ対応での工場では、生産管理システムの運用状況を自宅で管理し、問題が生じそうな工程をピンポイントで把握できるように前もって行っておき、結果、問題が生じても自宅で現場に指示し、問題解決が早くでき、操業率を向上させた事例もある。

ファナックなどの工場も認定されると思いきや、工場を無人化するだけではなく、ユーザーやサプライチェーンなどとのつながり、関係する工場全体で、生産効率が目に見えて向上しているのかなどが評価されるようだ。

ムダムリムラを徹底的に排除するトヨタ生産方式の工場も多いが、第4次産業革命のテクノロジーを導入すれば、さらに進化し、大きな成果を生むものと思われる。

 

 


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