2024年度の国の一般会計税収が75兆円台前半と、5年連続で過去最高を更新する見通しとなった。企業の好決算、そして物価高による消費税収の押し上げ――政府はこの“成果”を誇るが、その裏で暮らしに苦しむ国民は見過ごされていないか。
いま、多くの家庭ではガス代、電気代、食品、交通費、何をとっても「気がつけば値上げ」。しかもこれは一時的な現象ではなく、既に2年以上続く構造的な物価高だ。にもかかわらず、政府の対応は後手に回り続けている。物価と収入のギャップが広がっているのに、それを埋める政策は乏しい。賃上げの恩恵を受けるのは大企業と一部の正社員だけ。非正規、年金生活者、地方の中小企業の労働者には“恩恵ゼロ”が現実だ。
そもそも、この物価上昇が「消費税収の増加」につながったと政府が言うのであれば、それは“国民が苦しんだ分だけ国の財布が潤った”ということに他ならない。それを「税収最高」と手放しで喜ぶ政府の姿勢には、経済政策を担う者としての資質が問われる。
もっと深刻なのは、こうした状況が“読めなかった”か、“読んでも何もしなかった”かのいずれかである点だ。前者であれば経済感度の致命的な欠如、後者であれば国民無視の政治的怠慢であり、どちらにせよ“無能”のそしりは免れない。
なぜ、税収の上振れを即座に還元する補正予算や給付に繋げないのか。なぜ、エネルギー価格や生活必需品の実質的な軽減策を打たないのか。鈍すぎる政策判断、遅すぎる動き。このままでは、「税収最高」が「政治最低」と同義になりかねない。
いま必要なのは、目の前の生活に対するリアルな感度と即応力である。数字に酔うな。生活を見よ。政府に突きつけられているのは、その一点だ。