物価高対策として自治体が配布を進める「おこめ券」をめぐり、鈴木農相は「米価に影響を与える意図は一切ない」と強調した。しかし、この説明を額面通りに受け取るのは難しい。米価が高止まりする中、自治体が需要を下支えするような施策を打てば、市場価格の調整が歪むのは当然だ。

「おこめ券は家計支援」/政府の説明は本当に通用するのか物価高対策として自治体が配布を進める「おこめ券」をめぐり、鈴木農相は「米価に影響を与える意図は一切ない」と強調した。しかし、この説明を額面通りに受け取るのは難しい。米価が高止まりする中、自治体が需要を下支えするような施策を打てば、市場価格の調整が歪むのは当然だ。

本来、需要が落ちれば米価は下がる。これが市場の基本原理である。しかし、自治体が「配布による買い支え」を事実上行えば、市場が本来持つ調整機能は機能不全に陥る。政府は「家計支援」と言うが、結果的に高値を維持する“意図せざる補助”になっているとの批判は避けられまい。
さらに、1枚500円のおこめ券が実際には440円分にしか使えないという制度設計も大きな問題だ。肝心の支援額が目減りし、発行側の業界団体だけが得をする構造に見えてしまう。これで「利益誘導は一切ない」と言い切るのには無理がある。
石破政権が掲げた米価への直接介入路線を転換したと言いながら、実態としては別の形で市場に干渉している——。そんな矛盾を抱えたままでは、農政への信頼は揺らぎ続けるだろう。