「令和の米騒動」が映すコメ流通の構造変化/農家と集荷、崩れる信頼のバランス
政府は5月30日、2024年度の「食料・農業・農村白書」を閣議決定し、昨夏のコメ価格高騰の背景を分析した。報告によると、2023年夏に発表された南海トラフ地震の臨時情報が発端となり、消費者の買いだめが発生。新米との切り替え時期という“端境期”も重なり、全国的に需給が逼迫した。
白書では、この事象を「令和の米騒動」と位置づけ、スーパーでは通常の1.5倍の購買が起き、小売店では一時的に棚から米が消えたと記録している。
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しかし、問題の本質は一時的な消費者心理だけではない。実はこの混乱の裏で、大手集荷業者のコメ取扱量が大きく減少していた。その結果、卸売業者は例年とは異なるルートから、高値での調達を迫られる事態となり、店頭価格の上昇に拍車がかかった。
取扱量減少の背景には、農家がJAなど従来の集荷ルートから離れ、直接販売や他ルートへの供給を拡大している現状がある。農家にとっては収益確保のための合理的判断だが、流通の安定性という観点では“副作用”が出始めている。
政府は対応策として、備蓄米の放出方法を競争入札から随意契約へと切り替えるなど、柔軟な対応を進めているが、これはあくまで短期的な対処に過ぎない。
コメ価格の安定には、物流の柔軟性だけでなく、「農家―集荷業者―卸売業者」の信頼関係と流通構造の再設計が急務だ。令和の米騒動は、農政における信頼の再構築という本質的課題を突きつけている。
[ 2025年5月30日 ]
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