【農業】地方を動かすのは「継ぐ力」──農業も観光も、今"静かに消えている"
後継者がいない──
この一言が、地域の未来を揺るがしている。
北海道鷹栖町では、米農家・平林さんが20代の元銀行員に農業を継がせた。積丹町では、名物旅館「美国観光ハウス」が別会社によって事業承継され、町の観光の命綱がつながった。
全国各地で、農業や観光、地場産業を次の世代へどうつなぐかが、いま静かに問われている。

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■「継ぐ人がいない」から、地域ごと消えていく
今、日本の中小企業の3社に1社が後継者不在。農業にいたっては、60代以上が全体の7割を占める状況だ。
高齢化が進み、「やりたくても誰もいない」「親子間でも継がせたくない」といった声が地方のあちこちで聞かれる。結果、農地が耕作放棄地になり、観光地の拠点がぽっかりと消える。地域の経済はもちろん、暮らしそのものが静かに崩れていく。
■「第三者承継」という希望──農業も旅館も、外から継ぐ
そんな中、希望となるのが「第三者承継」だ。
鷹栖町では、農業に興味のあった若者が、町の制度と農家の協力によって米作りを受け継いだ。
積丹町では、地元住民も愛する旅館が、町外の企業により承継され、形を変えて再始動する。
いずれも、“家族経営の限界”を超え、外部人材や法人によって持続可能な形をつくり出している。自治体や支援機関の存在も大きく、「継ぎたい人と継がせたい人」の橋渡しが、今こそ鍵を握っている。
■生産者の声を聞かずに、農業は継がれない
一方で、課題もある。
29日に放送されたTOKYO MX「堀潤Live Junction」では、元衆院議員で新潟出身の金子恵美氏が、農家のリアルを語った。
「報道では作況指数は例年並みだが、新潟では1割減」「米価は消費者目線ばかりで、生産者の声が伝わっていない」
さらに、政府が備蓄米を放出している件についても、「出すまでに手続きが多く、時間がかかる」と、現場の事情を指摘した。
生産現場の声が届かなければ、農業は魅力ある職業にはなり得ない。「継ぎたくなる産業」にするには、ロマンだけでなく、現実的な仕組みと利益が必要だ。
■地域の“希望の種”をつなぐために
「子どもが憧れる仕事に農業を」と話す平林さんの言葉には、未来へのまなざしがある。
それを実現するには、
・継ぎたい人とつながる制度
・継いだ人が食べていける利益構造
・継いだ先にも“出口”がある地域ビジネスの循環
これらを地域ぐるみで構築する必要がある。
事業承継は、単なる経営の話ではない。地域が生き延びるための“入口”であり、“希望の種”をつなぐ営みなのだ。





