資料確認日:2026年10月28日 | By JC-NET
2026年、全国で住宅会社や工務店の経営破綻が相次いでいる。地方の小規模業者にとどまらず、かつて年間数十億円の売上高を確保していた地域有力企業も破産や民事再生に追い込まれた。
愛知県豊橋市のタイコウハウスは、2008年4月期に約45億2,700万円の完工高を計上した地場住宅会社だった。しかし、2025年7月期の売上高は約17億1,300万円まで縮小し、2026年3月10日に名古屋地裁から破産手続き開始決定を受けた。負債総額は約34億2,400万円に上った。
さらに、全国展開していたアエラホームも7月に民事再生法の適用を申請した。同社は2013年3月期に約210億円の年売上高を計上していたが、2026年5月期には約55億6,000万円へ減少していた。
帝国データバンクの調査では、木造建築工事業の倒産は2026年1~7月に159件となり、前年同期を20.5%上回った。負債1億円未満の企業が多数を占める一方、負債10億円を超える住宅会社の経営破綻も表面化している。
JC-NETでは、2026年に経営破綻や法的整理が確認された主要住宅関連企業15社について、過去の売上高、負債額、手続き状況、事業承継の動きを整理した。
※以下の15社は公開資料で個別確認した主な事例であり、2026年に全国で発生した住宅会社倒産の全件ではない。事業停止・法的整理準備と、裁判所による破産・民事再生の開始決定は区別して掲載する。
木造建築工事業の倒産159件、前年同期比20.5%増
帝国データバンクが8月10日に公表した木造建築工事業の倒産動向によると、2026年1~7月の倒産件数は159件。前年同期の132件から27件増加し、増加率は20.5%となった。7カ月間の累計では過去10年で最多となり、2012年以来の高い水準で推移している。
同調査の対象は負債1,000万円以上の法的整理による倒産。負債総額は約295億8,400万円で、2020~2024年の各年間負債総額をすでに上回った。
159件のうち、負債1億円未満は102件で64.2%を占めた。一方、負債10億円を超える大型案件も4件あり、アエラホーム、タイコウハウス、国土建設、ハウスM21が該当した。
東京商工リサーチの別集計でも、2026年1~6月の木造建築工事業の倒産は118件、前年同期比87.3%増となった。上半期に100件を上回ったのは2013年以来13年ぶりで、販売不振を主因とする案件が85件を占めた。
|
集計 |
対象期間 |
倒産件数 |
前年同期比 |
|
帝国データバンク |
2026年1~7月 |
159件 |
20.5%増 |
|
東京商工リサーチ |
2026年1~6月 |
118件 |
87.3%増 |
※両社の集計対象期間と集計方法は異なる。件数を合算したり、増加率を直接比較して全国の倒産動向を評価したりすることはできない。
公表資料:木造建築工事業の倒産動向(帝国データバンク)、ハウスメーカーの倒産動向(東京商工リサーチ)。
年商数十億円の住宅会社で経営破綻が相次ぐ
2026年の住宅会社の経営破綻で目立つのは、かつて地域で一定の販売実績を持っていた企業が、長期的な受注減少や採算悪化を経て事業継続を断念している点だ。
愛知県のタイコウハウスは1970年設立。注文住宅や分譲住宅の建築に加え、公共工事も手がけ、2008年4月期には約45億2,700万円の完工高を計上していた。しかし、住宅需要の変化や資材価格の上昇が収益を圧迫し、2024年7月期には特別損失の計上もあって約17億7,100万円の最終赤字となった。2025年7月期も大幅赤字を計上し、2026年1月に事業停止、3月に破産開始決定を受けた。
岩手県盛岡市のハウスM21も、東日本大震災後の復興需要などを取り込み、2014年3月期に約37億円の売上高を計上していた。復興需要の一巡後は受注が伸び悩み、2025年3月期の売上高は11億7,721万円に縮小。2026年1月20日に盛岡地裁から破産開始決定を受けた。
和歌山県和歌山市の国土建設は、注文住宅の建築や分譲事業を展開し、2006年4月期に約26億7,000万円の売上高を計上した。その後は低採算の受注や赤字決算が続き、2025年4月期の売上高は約13億2,900万円となっていた。2026年6月5日に和歌山地裁から破産開始決定を受けた。
同社の負債額については、2025年4月期末時点で約15億7,300万円という情報がある一方、東京商工リサーチの倒産情報では約17億円とされる。金額の基準時点が異なるため、同一の確定債務額として扱うことはできない。
群馬県前橋市のエアムーブ住宅は、独自の住宅工法による注文住宅を展開していた。学校改築などの大型工事を受注した2016年6月期には約18億8,800万円を売り上げたが、2025年6月期には約3億円まで減少。2026年10月13日に前橋地裁から破産開始決定を受けた。
同社は破産前の9月1日に住宅事業を別会社へ譲渡したとされる。現在の「エアムーブ by MIRAIE」は別の運営主体によるブランドであり、破産した旧法人と混同できない。既存契約や保証の具体的な承継範囲は確認できていない。
アエラホームはピーク年商210億円から民事再生へ
全国展開していたアエラホーム(東京都千代田区)は、2026年7月16日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、7月21日に再生手続き開始決定を受けた。負債総額は約61億6,000万円に上った。
同社は1963年創業の住宅会社で、注文住宅ブランド「クラージュ」「プレスト」などを展開。2013年3月期には約210億2,200万円の売上高を計上していた。
その後は住宅需要の変化や採算悪化などで業績が低迷し、2025年5月期の売上高は約85億6,000万円、2026年5月期には約55億5,800万円へ減少。最終赤字が続き、債務超過となっていた。
ただし、アエラホームは破産ではなく、スポンサーによる事業承継を前提に民事再生を申し立てた。東証グロース上場のロゴスホールディングスグループが支援に入り、2026年10月1日に注文住宅事業の承継が完了。承継会社はクラージュホーム株式会社として新体制で事業を開始した。
民事再生の対象となった旧法人と、注文住宅事業を引き継いだクラージュホームは区別される。旧会社の法的整理が、そのまま住宅ブランド全体の消滅を意味するわけではない。
2026年の住宅会社・工務店の主な経営破綻15社
全国で確認された主な住宅会社・工務店の経営破綻を、2026年10月28日時点の公開情報をもとに整理した。売上高は各社で確認できた決算期の数字で、すべてが破綻直前期の売上高を示すものではない。
|
企業名・地域 |
2026年の手続き・状況 |
過去の主な売上実績 |
後年の年商 |
負債額 |
|
本田工務店
宮城県栗原市
|
10月23日までに事業停止・破産申請準備 |
約1.82億円
2019年2月期 |
約1.29億円
2026年2月期 |
約1.75億円 |
|
エドケンハウス
千葉県松戸市
|
10月16日までに破産準備
10月26日に事業譲渡完了 |
約33.28億円
2009年3月期 |
約16.87億円
2026年3月期 |
約15.81億円 |
|
マツシタホーム
茨城県神栖市
|
10月13日
破産開始決定 |
約29.3億円
2008年3月期 |
確認できず |
約9.7億円 |
|
エアムーブ住宅
群馬県前橋市
|
10月13日
破産開始決定 |
約18.88億円
2016年6月期 |
約3億円
2025年6月期 |
約3.5億円 |
|
ホンダハウス
神奈川県相模原市
|
10月6日
民事再生開始決定 |
確認できず |
確認できず |
約3億円 |
|
東邦ハウス
広島県広島市
|
10月1日
破産開始決定 |
確認できず |
確認できず |
確認できず |
|
YM-ONE
山口県山口市
|
9月16日
破産開始決定 |
約2,400万円
2023年6月期 |
確認できず |
約2,500万円 |
|
旧アエラホーム
東京都千代田区
|
7月21日
民事再生開始決定
10月1日に注文住宅事業承継 |
約210.22億円
2013年3月期 |
約55.58億円
2026年5月期 |
約61.6億円 |
|
国土建設
和歌山県和歌山市
|
6月5日
破産開始決定 |
約26.70億円
2006年4月期 |
約13.29億円
2025年4月期 |
約17億円
※別時点で約15.73億円 |
|
サティスホーム
三重県四日市市
|
6月4日までに事業停止・弁護士一任
法的整理の開始決定は未確認 |
約24.62億円
2019年9月期 |
約20億円
2025年9月期 |
約14.9億円 |
|
有限会社アイ工務店
北海道函館市
|
4月20日
破産開始決定 |
1,500万円
2019年10月期 |
確認できず |
約2,100万円 |
|
真規家工務店
埼玉県さいたま市
|
4月2日
破産開始決定 |
約11.17億円
2021年3月期 |
約6.04億円
2024年3月期 |
約2.70億円 |
|
内方工務店
福井県小浜市
|
3月11日
破産開始決定 |
約2.16億円
2021年6月期 |
約400万円
2024年6月期 |
約1.08億円 |
|
タイコウハウス
愛知県豊橋市
|
3月10日
破産開始決定 |
完工高約45.27億円
2008年4月期 |
約17.13億円
2025年7月期 |
約34.24億円 |
|
ハウスM21
岩手県盛岡市
|
1月20日
破産開始決定 |
約37億円
2014年3月期 |
約11.77億円
2025年3月期 |
約11.5億円 |
※負債額は公表時点または決算期末時点の概数であり、破産手続きで確定した債権額とは限らない。国土建設は資料の基準時点により負債額が異なる。アイ工務店(北海道函館市)は、大阪市に本社を置く全国展開の株式会社アイ工務店とは別法人。
売上高が半減した住宅会社も 5社の業績を比較
過去のピーク期と、その後に確認できた年商を比較すると、複数の住宅会社で事業規模が大きく縮小していることが分かる。
下の棒グラフは、地域の住宅会社5社について、過去の売上実績と後年の売上実績を比較したもの。棒の長さは50億円を基準に表示している。各社の決算期は異なり、タイコウハウスの過去値は完工高を使用している。
住宅会社5社の売上高・完工高比較
過去の主な実績 後年の売上高
タイコウハウス 45.27億円 → 17.13億円
ハウスM21 37.00億円 → 11.77億円
エドケンハウス 33.28億円 → 16.87億円
国土建設 26.70億円 → 13.29億円
エアムーブ住宅 18.88億円 → 約3.00億円
※公開資料で確認できた数字を億円単位で表示。決算期や計上基準の違いがあるため、企業間の収益性や売上減少の原因を直接比較するものではない。
一方、売上高の減少だけで倒産の原因を説明することはできない。住宅会社では受注の確保に加え、工事原価、外注費、借入金の返済、分譲地やモデルハウスに関する費用など、収支と資金繰りの両面が経営を左右する。
実際に、サティスホーム(三重県四日市市)は2025年9月期の売上高が約20億円へ回復していたものの、収益性は改善せず、4期連続の最終赤字となっていた。売上高が持ち直しても、必ずしも経営再建につながらない事例となった。
住宅価格の上昇、工期長期化も経営を圧迫
住宅会社の経営環境を厳しくしている要因の一つが、資材価格や人件費、外注費の上昇だ。建築資材の価格が上昇しても、契約済み工事の請負金額に追加費用を反映できなければ、施工会社の利益は圧迫される。
タイコウハウスでは、過去の契約後に仕入価格が上昇し、価格転嫁が難しくなったことなどが採算悪化につながった。宮城県の本田工務店でも、2026年2月期は売上高約1億2,900万円を確保した一方、工事原価と外注費の増加などで赤字を計上していた。
住宅需要の低迷も続いている。2025年の全国の新設住宅着工戸数は74万667戸で、前年比6.5%減少し、3年連続の減少となった。住宅ローン金利の上昇や住宅価格の高止まりは、住宅取得を検討する世帯にとって負担となっている。
また、2025年4月施行の改正建築基準法による建築確認手続きの変更や、人手不足に伴う工期の長期化も住宅会社の資金繰りに影響している。
アエラホームでは、建築確認や工事の遅延に伴う引渡し時期の後ろ倒しが発生し、入金の遅れなどが経営再建を難しくした要因の一つとされる。
ただし、こうした業界全体の経営環境が、今回掲載したすべての会社の直接的な倒産原因だったと断定することはできない。各社の事業内容や財務状況、受注構成、資金調達の経緯を区別する必要がある。
建築途中の住宅はどうなる 事業承継で対応が分かれる
住宅会社の経営破綻で、建築主や住宅購入者にとって重要なのが、建築途中の住宅工事や既存契約、引渡し後のアフターサービスの取り扱いだ。
千葉県松戸市のエドケンハウスは2026年10月16日までに破産手続きの準備に入り、関連会社の住商興産も事後処理を弁護士に一任した。一方、エドケンハウスは10月26日付でオカムラホームへ住宅関連事業を譲渡した。
エドケンハウスの公式発表では、打ち合わせ中の顧客、建築中の顧客、入居済みの住宅所有者への今後の対応をオカムラホームが引き継ぐとしている。ただし、個々の住宅契約における前払金や保証条件などの詳細は、契約ごとの確認が必要となる。
アエラホームについても、民事再生手続きのもとでスポンサー企業への事業承継が行われた。旧会社の法的整理と、事業承継後の住宅建築・アフターサービスの継続を区別して考える必要がある。
これに対し、マツシタホームや東邦ハウスなどについては、今回の調査で建築途中の住宅件数や個別契約の承継状況を確認できなかった。情報が公表されていない場合に、すべての工事が中止された、あるいは別会社が引き継いだと判断することはできない。
一般に、住宅会社が経営破綻した場合は、請負契約の相手方、工事の進捗、支払い済みの代金、住宅完成保証制度への加入状況、保険の適用範囲などによって対応が異なる。住宅瑕疵担保責任保険と、建築途中の工事完成を保証する制度も同一ではない。
契約中の建築主は、会社や手続き担当者からの正式な案内を確認し、請負契約書、見積書、支払記録、工事進捗の資料を保存しておくことが重要となる。
小規模工務店だけでなく、地域有力企業にも広がる経営破綻
2026年の住宅会社の経営破綻は、負債数千万円規模の小規模事業者から、負債数十億円に達する地場有力企業まで幅広い。
個々の破綻原因は異なるものの、過去に一定の売上高を確保した企業であっても、受注減少や低採算が長期化し、財務基盤が弱まれば事業継続が困難になることを各社の経緯は示している。
また、法的整理の形態やスポンサーの有無により、住宅事業の継続や建築中の工事への対応にも違いが生じている。単に会社が倒産したという情報だけでなく、住宅事業や契約がその後どうなったのかまで追跡することが重要となる。
JC-NETでは今後も住宅会社・工務店の破産、民事再生、事業停止、事業承継などの動きを継続して確認し、企業ごとの手続きや業績、地域への影響を伝えていく。
【調査上の注記】本文は2026年10月28日までに確認できた公開資料を基礎としている。倒産件数の全国統計と、個別掲載した15社の事例は別の母集団である。負債額や手続き状況、契約承継の範囲は、その後の裁判所決定・会社発表等により更新される場合がある。