トランプ 一転アフガン増派決定 アフガニスタン紛争の死者数・負傷者数
トランプ大統領は、過去16年のアフガン戦争が多くの犠牲と巨額の費用をムダにしたと、選挙戦当時から「アフガン戦争批判」を繰り返していた。
アメリカは、死者2400人、負傷者2万人以上、数千億ドルの戦費に加え、アフガニスタンの外交や治安維持を支援するために1000億ドル以上を注ぎ込んで今のアフガンの現状がある。
<トランプ政権下で勢力増した軍人>
泣く子も黙る・鬼も逃げる海兵隊の歴代大将が3人がアメリカ国家安全保障会議メンバー
1、マティス国防長官、海兵隊大将としてアメリカ統合戦力軍司令官、NATO変革連合軍最高司令官、アメリカ中央軍司令官歴任。
2、ジョン・F・ケリー大統領首席補佐官、元国土安全保障長官、海兵隊大将、南方軍の司令官歴任
3、マクマスター国家安全保障問題担当大統領補佐官、陸軍中将、イラクとアフガンで活躍
4、ジョセフ・ダンフォード米統合参謀総長、海兵隊大将、現役の軍人
米トランプは21日、政権発足から8ヶ月で最も重大な決断をしたと報道されている。
アフガニスタンへのアメリカの関与を継続し、米軍部隊を撤退させるのではなく増派し、「勝つために戦う」ことが、トランプの国家安全保障チームの選んだ答えだ。ただし、増派の規模など、具体的な計画は明らかにしていない。
アフガニスタン増派に反対してきたトランプが、たとえ疑念を持っていようと、これは最終決定。目的は、アフガニスタン軍による治安の回復を支援し、反政府武装勢力タリバンに対する作戦を本格化し、テロ組織ISIS(自称イスラム国)が、同国で足場を固めるのを阻止すること。
オバマ政権のアフガン政策を批判してきたトランプ政権は、この決定を、前政権とは明確に袂を分かつ新たな戦略だと主張すると見られる。
一方、今回の決定の重大さの割に、アメリカの国家安全保障問題に占めるアフガニスタンの存在感は失われたまま。もはや、アフガニスタンが、アメリカで話題を独占することなどない。アフガニスタン戦争が「良い戦争」と言われたのは過去の話。今や忘れられた戦争。
2016年の米大統領選挙でも、アフガニスタンは全く争点にならなかった。1度もTV討論の議題にならず、トランプも民主党候補だったヒラリー・クリントンも大した意見を言わなかった。
米トランプは、このまま撤退するのは最悪の選択だとして、増派を支持(但し、具体的な数字はなし)した。
その一方で、アメリカの責任で「アフガンという国家を再建」する戦略は放棄し、アフガンの運命はアフガンの人々に委ねるとしている。
増派後の米軍の任務は、アル・カイダやISなどテロリストとの戦いが主になるという。
その上で状況が好転した場合には、「タリバンの一部分」と交渉のテーブルに就く可能性を示唆した。
<16年に及ぶ同時多発テロの報復攻撃の末路の現在>
2001年9月11日に発生したイスラム武装勢力アル・カイダによるNYのシンボル、世界貿易センターツインタワービルに対するハイジャック旅客機による激突破壊=同時多発テロ事件。
同年10月7日に怒り狂ったアメリカ合衆国と有志連合諸国がアル・カイダを引き渡さないアフガラスタンのタリバン政権に対して空爆開始。
2009年10月現在では、ISAF(国際治安支援部隊)の指揮下部隊は、NATO非加盟国も含めた42ヶ国より派遣された67,700名の規模だった。ISAFの指揮はNATO軍=米軍が指揮した。
アフガニスタンにおけるタリバン政府は崩壊したものの、タリバン勢力はゲリラ化して今日に至っている。少数になったもののアル・カイダもまだいる。最近はタリバンより過激なISが勢力を拡大している。(親や一族を米軍などに殺されたアフガンの子供たちが、タリバンの戦闘員となり、自爆テロ要員となり、米軍やアフガン軍に対峙している。戦闘員の再生産がなされている)
「朝鮮との戦争はない」「中国とは経済戦争中だ」発言で更迭されたバノンは、アフガン戦争をムダの塊だと批判、トランプの意見も同じだった。しかし、そのバノンは更迭され、すぐさま、アフガンへの増派を米軍最高司令官としてトランプは決断した。政権内の海兵隊勢力による申言だと見られる。
米軍+有志国連合によるアフガン攻撃・紛争
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2001年9月11日NY同時多発テロ事件の報復攻撃
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作戦別
|
死者
|
負傷者
|
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合計
|
戦闘
|
非戦闘
|
合計
|
軽傷
|
重傷
|
|
「不朽の自由」作戦
|
2,350
|
1,846
|
504
|
20,094
|
4,176
|
4,529
|
(Operation・Enduring Freedom)
|
||||||
2001年10月7日開始
|
||||||
うちアフガン
|
2,216
|
1,833
|
383
|
20,049
|
4,176
|
4,529
|
うちその他の地域
|
130
|
11
|
119
|
45
|
|
|
うち国防総省文官
|
4
|
2
|
2
|
|
|
|
「自由の番人」作戦
|
42
|
28
|
14
|
208
|
|
|
(Operation Freedom's Sentinel)
|
||||||
2015年1月1日開始
|
||||||
うち国防総省文官
|
2
|
2
|
0
|
|
|
|
合計
|
2,392
|
1,874
|
518
|
20,294
|
4,176
|
4,529
|
・米国防総省資料、2017年8月10日更新版
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・アフガン攻撃に従軍した兵士が、その後、自殺した人は戦死した人たちよりもすでに多い。
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アフガン紛争 2001年10月7日~
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ISAF 派遣国・派遣人数及び死者数
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派遣者数2017年2月現在、死者数2017年8月17日現在
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派遣国
|
派遣人数
|
死者数
|
|
現在
|
最大
|
||
United States
|
6,941
|
90,000
|
2,392
|
United Kingdom
|
500
|
9,500
|
455
|
Canada
|
0
|
2,922
|
158
|
France
|
0
|
4,005
|
87
|
Germany
|
980
|
5,000
|
54
|
Italy
|
1,037
|
4,000
|
48
|
Poland
|
192
|
2,580
|
44
|
Denmark
|
97
|
750
|
43
|
Australia
|
270
|
1,550
|
41
|
Spain
|
8
|
1,606
|
34
|
Georgia
|
870
|
1,561
|
31
|
Netherlands
|
100
|
2,160
|
25
|
Romania
|
588
|
1,949
|
25
|
Turkey
|
558
|
1,845
|
15
|
New Zealand
|
10
|
236
|
11
|
Czech
|
216
|
626
|
10
|
Norway
|
42
|
600
|
10
|
Estonia
|
4
|
163
|
9
|
Hungary
|
90
|
611
|
7
|
Sweden
|
25
|
506
|
5
|
Latvia
|
22
|
190
|
3
|
Slovakia
|
40
|
343
|
3
|
Finland
|
29
|
181
|
2
|
Jordan
|
0
|
1,069
|
2
|
Portugal
|
10
|
179
|
2
|
Albania
|
83
|
333
|
1
|
Belgium
|
62
|
528
|
1
|
Korea
|
0
|
426
|
1
|
Lithuania
|
21
|
245
|
1
|
Armenia
|
121
|
131
|
0
|
Austria
|
13
|
3
|
0
|
Azerbaijan
|
94
|
95
|
0
|
Bahrain
|
0
|
95
|
0
|
Bosnia& Herzegovina
|
55
|
79
|
0
|
Bulgaria
|
86
|
608
|
0
|
Croatia
|
94
|
530
|
0
|
El Salvador
|
0
|
25
|
0
|
Greece
|
4
|
162
|
0
|
Iceland
|
2
|
8
|
0
|
Ireland
|
0
|
8
|
0
|
Luxemburg
|
1
|
11
|
0
|
Macedonia
|
39
|
240
|
0
|
Malaysia
|
0
|
46
|
0
|
Mongolia
|
120
|
195
|
0
|
Montenegro
|
18
|
41
|
0
|
Singapore
|
0
|
48
|
0
|
Slovenia
|
7
|
130
|
0
|
Tonga
|
0
|
55
|
0
|
Ukraine
|
10
|
31
|
0
|
United Arab Emirates
|
0
|
35
|
0
|
NATO(国籍不明+未発表
|
-
|
-
|
17
|
Total
|
13,459
|
138,240
|
3,537
|
・ISAF(International Security Assistance Force=国際治安支援部隊)版
|
|||
・米国の場合、帰還兵の自殺が戦死者を上回っている。
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