アイコン さ迷うシャープ 産革機構に1千億円の支援打診  液晶を分社化か

 

経営再建中のシャープが官民ファンドの産業革新機構に対し、1千億円規模の出資を要請する支援を打診した。
シャープは中核事業を無くしさ迷い続けている。中核であった液晶もTV需要の世界的な減退から、液晶を自社生産するサムスンとLGがそのシェアを伸ばし、需要先はスマホ・タブレットに限られている。

スマホ需要は、高精細・低価格競争に晒され、自社生産するサムスン・LG以外安定的に納入し続ける液晶専業企業はない。
シャープはスマホのトップ5からサムスンとLGを除いたスマホメーカーが客対象となるが、アップルをはじめ他は常に安く高精細の液晶を求め、納入価格を戦わせ、安いメーカーにしか発注していない。

ただ、サムスン・アップルの2大トップの牙城も中国勢を中心に群雄割拠時代に突入しており、小米、ファーウェイ、レノボ、LGなどが上位であるものの、その他の出荷の伸び率を前年比40%近く急増させている。レノボは傘下においたモトローラのスマホが加算されているため急増しているが、ファーウェイは別にしても小米など新興メーカーが急増させていることを物語っている。中国では、こうした新興企業が目白押しでもある。
こうした中、アップルは、事業体が大きいシャープではなく、JDIの新工場を全額出資して建設すると発表、シャープのアップルへの液晶納入は遠ざかるのみとなっている。

2014年Q4のスマートフォン世界ランキング/IDC 出荷台数
 
14Q3
シャア
出荷台数
ベンダー
/百万台
14Q3
13Q3
伸び率
サムスン
75.1
20.0%
28.8%
-11.0%
アップル
74.5
19.9%
17.4%
46.0%
レノボ
24.7
6.6%
4.8%
77.9%
ファーウェイ
23.5
6.3%
5.7%
41.7%
小米
16.6
4.4%
2.0%
178.6%
その他
160.9
42.9%
41.3%
33.1%
Total
375.2
100.0%
100.0%
28.2%
13Q4の出荷台数は2億9270万台、レノボはモトローラ分加算
 
シャープの業績推移
連結/百万円
12/3
13/3
14/3
15/3期予
売上高
2,455,850
2,478,586
2,927,186
29,000,000
営業利益
-37,552
-146,266
108,560
50,000
経常利益
-65,437
-206,488
53,277
0
当期利益
-376,076
-545,347
11,559
-30,000
総資産
2,614,135
2,087,763
2,181,680
 
自己資本
625,894
124,671
195,160
 
資本金
204,676
212,337
121,885
 
有利子負債
1,094,467
1,143,382
1,071,376
 
自己資本率
23.90%
6.00%
8.90%
 
・今期業績予想はDES協力前提で▲2,000億円の特損計上ともされている。
 
15/3期 3Qまでの状況/百万円
 
前年同期比
売上高
構成比
TV等情報家電
-4.4
5,274
25.2%
エアコン・清浄機
-0.6
2,405
11.5%
太陽電池
-29.0
1,966
9.4%
複写機
6.0
2,497
11.9%
液晶
-5.4
5,889
28.2%
LED・カメラモジュール
25.4
2,871
13.7%
合計
-3.1
20,904
100.0%

シャープの第3四半期までの業績(12月まで)は、売上高が前年同期比▲3.1%減の2兆904 億円、営業利益は▲37.1%減の512億円、経常利益は▲51.7%減の181億円となっている。
この間、金融機関に対して、1,500億円の債権(貸付金)の株式化を要請したと報道されており、実現すれば、シャープにとって負債がその分減り、資本がその分増加、業績にも特別益が計上されることから、事業再編費用として2,000億円の特損計上も可能となる。
だが、事業再構築の計画を示さず、金融機関に諮ったことから、金融機関がカンカンになっているとも伝えられている。
そうした中、シャープは4月5日までに、政府系ファンドの産業革新機構に出資要請を検討していることが判明。主力の中小型液晶パネル事業を子会社として分社化し、2016年3月期中に出資を受けたい考えとされている。
 
ただ、シャープは三洋電機より家電の開発力や販売力を有しており、窮地に陥っている液晶事業を分社化した場合、再建の道はあるかと思われる。
 だが、当初の経営危機場面での鴻海とのやり取り同様、経営陣のフラフラ状態の無能ぶりは今に続いており、いくら再建の道が開けても自滅させる恐れが高く、液晶とともに太陽電池など不採算事業の全面撤退が求められよう。
 そうした思い切った不採算事業撤退の断行計画を示さない限り、金融機関も産業革新機構もシャープの経営陣の無能さに付き合う暇はないだろう。
 分社化した液晶部門を鴻海への売却も選択肢としてあるかと思われる。
JC-NET  富士一郎。
[ 2015年4月 6日 ]
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