南スーダン自衛隊撤退は第3のアザンデ族の武装蜂起にある
国益とは何ぞや。
3月11日、安倍首相は南スーダンからのPKO部隊撤退を発表した。
その理由は、一区切りついたからだという。しかし、昨年12月には米国が国連に提案した「南スーダンへの武器輸出禁止案」に対して、自衛隊が危険に晒されるとして棄権=反対に回り否決させた。
安倍首相は、舌先が乾かない間に突如撤退を宣言したことになる。
その理由は、支配地域が、北東部と東部の反政府軍のマシャール前副大統領派(ヌエル族)との戦いだけではなく、南スーダン南部のエクアトリア(主に西エクアトリア州)に分布するアザンデ族の前政府軍副参謀総長のスワカ氏が3月6日(2月辞任)、政府軍に対して武装蜂起したことにあると見られる。
首都ジュバは、中央エクアトリア州に所在するように政府軍のディンカ族とアザンデ族は交錯しており、いつスワカ氏のアザンデ族軍がジュバに攻め入るかわからない状態になったことにあると見られる。
結果、マシャール派とスワカ派が連携すれば、北東や東側からマシャール派の反政府軍が、また、南西部からスワカ派の反政府軍が、首都ジュバを挟み撃ちに攻撃してくる可能性が高まっている。
南スーダンの政府軍自体が、反政府軍の民族の難民キャンプを襲うなど、民族浄化の動きをしており、南スーダンは収拾がつかない状況に陥りつつある。
<利権と経過>
スーダンも南スーダンも原油利権を中国が有している。2011年の南スーダン独立に際し、国連歴代最低事務総長の潘基文がPKO部隊を派遣させたが、西側諸国からは宗主国のイギリスだけしか派遣しなかった。そこで・・・
2012年1月、松下整形塾政権の野田が、国連歴代最低事務総長の潘基文のじきじきの要請に舞い上がり承諾し、自衛隊をPKO部隊として南スーダンへ派遣した。
2013年12月14日~、キール大統領がマシャール副大統領を解任、マシャール前副大統領派(反政府軍)がクーデターを起こした。政府軍が反政府軍を鎮圧したが、その後も燻り続ける。
2013年12月21日、反政府軍が難民キャンプを襲い、守備隊の韓国軍のPKO部隊(ボルとビトルに派遣)が応戦、弾薬不足に陥り、自衛隊のPKO部隊が1万発の弾薬を供与した。
2017年7月10日、首都ジュバで政府軍と反政府軍の間で戦闘、死者約300人/AFP通信。
2016年11月、武器使用できる部隊を「駆け付け警護」という妙チクリンな法を作り派遣したのが安倍首相(自衛隊諸君に失礼)。
2016年12月23日、米国が国連安保理に議案提出した「南スーダンへの武器輸出禁止案」、棄権=反対したのが日本の安倍首相。(自衛隊が危険にさらされることになるという論法だった)
2017年3月11日、武器禁輸案を否決させた安倍首相は舌先が乾かない3月11日、南スーダンからPKO部隊の5月撤収を表明した。
本来、南スーダン問題は、スーダンのダルフールも含めて中国が収拾すべき問題である。
なぜなら、原油利権を中国が持ち、原油輸入に際して、支払う代金の一部を武器で支払っていることにある。その武器がダルフールの民族浄化の大虐殺を招き、2011年に独立した南スーダンも同じく原油代金の見返りに武器を供給し、一帯はダルフールからの武器流入もあり、武器だらけになっている。
南スーダンには、反政府勢力のマシャール派にスーダンのバシル大統領(ダルフール民族浄化・大虐殺でICCが2009年2月国際手配中)が支援している。
(バシル大統領は2015年9月3日、中国軍の反日軍事パレードに国連歴代最低事務総長の潘基文らとともに中国政府から招待され参加している・・・関係が深い)
このように、中国がスーダン・南スーダンの両国に対して武器輸出する限り、戦闘は泥沼化するのが必然。
キール大統領派はディンカ族(南スーダン最大の民族)、
反政府軍のマシャール元副大統領派はヌエル族(2番目に多い民族)であり、
今や民族紛争による内戦状態にある。
マシャール元副大統領は2月、政府軍に対して総攻撃を仕掛けると宣言している。(西側の報道では、マシャールはスーダンの首都ハルツームにいるという)
<反政府勢力がまた一つ増えた>
また、先日(3月6日)、政府軍のキール大統領に組みしていたスワカ元軍副参謀総長が辞任し叛旗を翻し、スワカ氏が所属するアザンデ族(南スーダン南西部の西エクアトリア州)も反政府の武装闘争に入った。
ディンカ族の政府軍が、西エクアトリアのアザンデ族をここ数ヶ月攻撃していたことに反発したもの。
アザンデ族は、南スーダン、中央アフリカ(南スーダン南西部に隣接)、コンゴ民主共和国(南スーダン南部に隣接)にかけて分布するスーダン系民族、ナイル系民族、またはその混血で約75万人(但し、スーダン政権のようなアラブ系ではない)とされる。
南スーダンでは、反政府勢力のほか、各地で部族が武装しており、政府軍や国連部隊が一番多く集結している首都シュバは昨年7月10日の戦闘(死者300人/AFP通信)以来、落ち着いているが、東部や北東部、北部は戦闘状態にある。
スワカ氏のアザンデ民族軍が政府軍に対して戦闘行為に入れば、主力がこれまでの政府軍と反政府軍の戦いであり、今後、3つ巴の内戦状態に突入することになる。
ほかに各地の部族も武装し戦闘体制にある。
南スーダンは、このままでは、ソマリアのようになってしまうだろう。
ただ、民族同士が和解し平定されれば、中国だけが原油利権を思い通りにすることができる。スーダンも南スーダンも中国の手中にあり、南スーダン東部で隣接するエチオピアは、中国が深く深く関係をすでに構築している。
南スーダンへ自衛隊を派遣しても、日本の国益がどこにあろうか。宗主国を除き西側諸国が派遣していないことからも理解できるというものだ。
<勢力図>
赤は政府軍、緑は反政府軍、斜線部分はスーダン軍。真ん中下が首都Juba。
左下のYambioの州が新たに武装蜂起、首都ジュバに近い。
南スーダンPKO部隊派遣国
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部隊派遣国
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内容
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活動都市
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部隊種別
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日本
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煽られて派遣
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ジュバ
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施設隊兼駆け付け警護
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韓国
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国連歴代最低事務総長の潘基文輩出国
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ボル、ピボル
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工兵部隊
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中国
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原油利権国として監視
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ジェバ、バウ
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歩兵部隊、医療部隊、工兵部隊
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インド
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国連から銭・アフリカとは関係深い
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ジュバ、レンク、メルト、ナセル、マラカル、ボル、ピボル、トリト、ベンティウ、ルンベク、ヤンピオ、カジョク、ワウ、アウェイル
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歩兵部隊、医療部隊、通信部隊、燃料部隊、工兵部隊
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バングラデシュ
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国連から銭
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ジュバ、マラカル
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河川部隊、工兵部隊
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カンボジア
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国連から銭
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ジュバ、ボル、マラカル、ルンベク、ワウ
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医療部隊、憲兵隊
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モンゴル
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国連から銭
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パリャン、ベンティウ
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歩兵部隊
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ネパール
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国連から銭
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ジュバ、ルンベク
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歩兵部隊
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スリランカ
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国連から銭
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ボル
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医療部隊、航空部隊
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エチオピア
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国連から銭・隣国
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ジュバ、ボル、マラカル
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歩兵部隊
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ガーナ
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国連から銭
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ベンティウ
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歩兵部隊
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ケニア
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国連から銭
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アウェイル、カジョク、ワウ
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歩兵部隊
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ルワンダ
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国連から銭
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ジュバ、ブンジ、ヤンピオ
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歩兵部隊、航空部隊
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イギリス
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宗主国
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マラカル
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工兵部隊
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