アイコン 中央建設の民事再生申請が映す、深刻化する建設業界の構造不安


老舗の総合建設会社・中央建設(株)(東京・港区)が11月7日、民事再生法の適用を申請した。負債は約53億円。1938年に愛媛県で創業し、公共工事の元請けで成長してきた同社は、東京進出や営業エリア拡大によって規模を広げてきた。しかし業容拡大に伴う資金需要が増し、財務負担が重くのしかかった。

2025年6月期には過去最高の完工高を記録していたものの、資金繰り不安が顕在化した背景には、運転資金の増大やグループ化による管理体制の複雑化があった。AMGホールディングスによる子会社化の基本合意が一度は進んだものの、経理体制整備の遅れを理由に解除。外部支援に頼れない状況となり、支払手形の決済資金を確保できずに法的整理へ至った。

中央建設のケースは、単なる経営判断ミスにとどまらない。いま建設業界全体を覆う構造的な危機の典型例といえる。

建設業倒産

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倒産は上半期だけで986件、4年連続増加 ― 資材高・人手不足が直撃

TDBの集計によれば、2025年上半期の建設業倒産は986件と、前年同期比7.5%増。上半期として過去10年で最多を更新し、このペースが続けば12年ぶりに通年2000件台に達する可能性もある。

背景は明確だ。

資材価格の高騰

鉄骨、木材、住設機器などの価格上昇が止まらず、「売値に転嫁できない」中小業者の経営を圧迫している。2025年上半期だけでも「物価高」を直接要因とする倒産は118件(全体の12.0%)。
“新栄塗装工業”(2025年5月破産)では、資材・人件費の高騰が赤字の主因となり、事業継続を断念した。

人手不足の深刻化

職人不足が倒産の引き金となるケースも54件(5.5%)。
さらに経営者の高齢化で後継者が見つからない「後継者難」倒産は69件(7.0%)と、いずれも2018年以降で最多水準にある。

“SHINKI”(2025年5月破産)では、職人不足により外注費が高騰し、工期の遅延と赤字体質が常態化。資金繰りの改善が進まず破綻した。

 

人手不足の「2025年問題」が追い打ち ― 中小ほど耐えられない構造

2025年は大量の熟練職人が高齢を理由に現場を離れる見通しで、建設業界の「働き手流出」がさらに加速するとみられている。
一方で若年層の建設業離れは止まらず、採用は難航。残業時間の上限規制も施工力に影響し、工期の延伸や外注費増につながる悪循環が顕在化している。

人件費の上昇を吸収できる体力が乏しい中小建設会社にとって、これらの要因は致命的になりつつある。

 

中央建設が示す「拡大戦略のリスク」

中央建設は積極的な受注拡大とエリア展開で成長を遂げたが、急膨張に伴う管理コスト・資金需要の増大に見合う収益構造を築けなかった。

・本社移転
・持株会社化
・グループ拡大
・大手ゼネコン案件の受注増

これらの変化は一見すると成長の証だが、中堅規模の建設会社が短期間で対応しきるには負荷が大きい。外部支援に依存した再建計画も、体制整備の遅れで頓挫した。

まさに「業界構造の歪み」と企業個別の「拡大リスク」が交差する倒産だった。

 

今後の焦点 ― 中小建設業に求められる構造改革

今後の建設業界の課題は明確で、以下の3点に集約される。

  1. 施工力維持のための人材投資
     賃上げや働き方改革への対応は避けて通れない。

  2. 価格転嫁が可能な取引慣行への転換
     資材価格の高騰を吸収できなければ、疲弊は続く。

  3. デジタル化による管理負担の軽減
     中小が持続的に運営できる業務構造が欠かせない。

2025年は、建設業が「慢性的な課題」が「急性の危機」として現れた年と記録される可能性が高い。中央建設の破綻は、その象徴的な“警告”と言える。

 

[ 2025年11月17日 ]
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