アイコン マクドナルド、止まらぬ価格改定 "安さの象徴"はどこへ向かうのか


外食最大手の日本マクドナルドが実施した今回の価格改定は、単なる値上げという言葉では片づけられない意味を持つ。デフレの象徴からインフレ時代の収益企業へ。ブランドの立ち位置が、明確に変わりつつある。

マクドナルド

■ 「値上げの常態化」と客数維持の綱渡り

同社は2023年以降、ほぼ毎年のように価格改定を実施してきた。かつての「100円マック」は完全に姿を消し、ダブルチーズバーガーのセットは標準店で740円。ランチ価格帯の中心である700~800円ゾーンに完全に定着している。

それでも今回、ハンバーガーやマックチキンといった最廉価帯商品は据え置かれた。ここに戦略の核心がある。最安値ラインを維持することで、「マックはまだ手頃」という心理的防波堤を残し、来店頻度の下落を防ぐ狙いだ。

客単価は上昇しているが、客数が崩れれば構造は一変する。値上げと客離れの境界線を慎重に見極める局面に入っている。

 

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■ 値上げと“進化”を同時に打ち出す理由

今回の改定で注目されるのは、ベーコンレタスバーガーのソースをペッパーオーロラソースに刷新するなど、リニューアルを同時に打ち出した点だ。

単なる価格転嫁ではなく、「味の進化」という付加価値を提示することで、実質値上げ感を和らげる意図が透ける。価格上昇を“価値の更新”として受け止めてもらう演出である。

加えて、ソースの整理統合は厨房オペレーションの効率化にもつながる。人手不足が続く中、メニューの複雑性を抑えることはコスト管理の観点でも合理的だ。

 

■ 地域別価格という“武器”

近年強化されているのが、特殊立地・都心店・準都心店といった価格区分だ。同じ商品でも立地により価格が異なる仕組みは、収益最大化の装置として機能している。

都市部では1,000円近い価格帯の商品も珍しくなく、「高級ファストフード」に近いポジションを形成。一方、地方では依然として“日常の軽食”としての役割を維持する。

アルバイト時給の上昇やテナントコスト増を、地域ごとに吸収できるこの仕組みは、インフレ下では極めて強力だ。全国一律価格の時代とは、経営思想が大きく異なる。

 

■ 再編進むハンバーガー市場

ハンバーガー市場は現在、大きく三層化している。圧倒的店舗網を持つマクドナルド、ボリューム志向で差別化するバーガーキング、そして1,000円超のグルメバーガー専門店群である。

マクドナルドはその中間に位置しつつ、価格とブランド力で市場を支配してきた。しかし消費者の「マック、高くなった」という心理的抵抗は確実に積み上がっている。

2025年12月期は増収増益基調とされるが、今後の焦点は客単価上昇モデルがどこまで持続可能かだ。安さの象徴だった企業が、インフレ時代の価格決定力をどこまで行使できるのか。今回の改定は、その実験でもある。

 

 

[ 2026年2月24日 ]
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