【北海道】原材料高の影響90.6% 企業の42%で価格転嫁進まず、正社員不足56.2%
北海道が2026年10月28日に公表した「企業経営者意識調査」の最終結果によると、道内企業の90.6%が原油・原材料価格の高騰による経営への影響を受けていることが分かった。価格転嫁が進んでいない企業も42.0%に上り、正規従業員の不足を訴える企業は56.2%に達した。
2026年7~9月期の企業の業況感BSIはマイナス12ポイントとなり、前期から3ポイント改善したものの、依然としてマイナス圏にある。10~12月期の見通しもマイナス12ポイントで、企業経営者の慎重な見方が続いている。
今回の調査で注目されるのは、景況感の改善と企業が抱える経営負担の大きさが必ずしも一致していない点だ。価格転嫁は前期より進展したものの、原材料高の影響を受ける企業は依然9割を超え、人手不足も解消していない。
北海道企業の経営環境 景況感改善も原材料高は9割に影響
北海道の企業経営者意識調査は、道内900社を対象に四半期ごとに実施している。今回公表されたのは2026年7~9月期の最終集計結果で、企業の業況感や原材料価格、人手不足などを調べた。
主要な指標は次のとおり。
| 調査項目 | 4~6月期 | 7~9月期 | 前期差 |
|---|---|---|---|
| 業況感BSI | -15 | -12 | +3ポイント |
| 原油・原材料高の影響あり | 92.9% | 90.6% | -2.3ポイント |
| 価格転嫁が進んでいる | 49.5% | 56.0% | +6.5ポイント |
| 価格転嫁が進んでいない | 47.3% | 42.0% | -5.3ポイント |
| 正規従業員が不足 | 58.4% | 56.2% | -2.2ポイント |
| 燃料油の調達に影響あり | 57.6% | 49.4% | -8.2ポイント |
| 石油化学製品等の調達に影響あり | 61.4% | 56.2% | -5.2ポイント |
※北海道「企業経営者意識調査」2026年7~9月期最終結果。900社は調査対象企業数であり、各設問の有効回答企業数とは異なる。BSIは企業の業況判断を示す指数で、割合(%)とは区別する。
前期と比較すると各指標には改善がみられる。しかし、価格転嫁が進んでいない企業はなお4割を超え、原材料価格高騰の影響も大半の企業に及んでいる。
価格転嫁が進まない企業42% 値上げできても全額回収とは限らず
原油・原材料価格の高騰によって経営に影響を受けている企業は90.6%だった。前期の92.9%から2.3ポイント縮小したものの、依然として極めて高い割合となっている。
一方、価格転嫁が進んでいる企業は56.0%で、前期から6.5ポイント増加。価格転嫁が進んでいない企業は42.0%となり、前期の47.3%から5.3ポイント減少した。
改善の動きはあるものの、42%の企業ではコスト上昇を販売価格や取引価格へ十分に反映する取り組みが進んでいない。
また、価格転嫁が進んでいると回答した企業でも、上昇したコストをすべて回収できているとは限らない。
この点について、2026年9月25日に公表された北海道内企業の別調査では、実際に販売価格へ転嫁できたコスト上昇分の割合を示す価格転嫁率が42.8%にとどまり、同年2月の前回調査から3.7ポイント低下していた。
こちらは企業のうち何%が価格転嫁できたかという数字ではなく、上昇したコストのうちどの程度を販売価格へ反映できたかを示す別の指標である。
調査対象や調査方法は異なるが、価格改定が進みつつある一方で、原材料費や人件費、物流費などの上昇を十分に吸収できない企業が残っていることを示している。
正社員不足56.2%、原材料高と人材確保の二重負担
正規従業員が不足していると回答した企業は56.2%。前期の58.4%から2.2ポイント改善したものの、半数以上の企業が依然として人手不足を抱えている。
道内では建設、運輸、製造、観光・宿泊など幅広い産業で人材確保が経営課題となっている。
実際、2026年8月に公表された北海道内企業を対象とする別の人手不足調査でも、正社員が不足している企業の割合は57.4%に達していた。
人手不足に対応するためには、従業員の処遇改善や採用活動、省力化設備の導入などが必要となる。その費用負担を販売価格へ十分転嫁できない場合、企業の収益確保はさらに難しくなる。
ただし、今回の調査だけで個別企業の賃上げ負担や倒産原因を特定できるわけではない。業種や企業規模によって影響の程度は異なる。
別の景気調査でも売上増・利益減の見通し
北海道財務局が公表した2026年7~9月期の法人企業景気予測調査でも、売上高と利益の動きに差がみられる。
同調査では、2026年度の売上高は前年度比4.4%増となる一方、経常利益は6.4%減となる見通しが示された。
企業の売上高が増加しても、原材料費や人件費などの増加によって利益が減少することがある。売上高だけでは企業の経営状態を十分に判断できないことが分かる。
なお、北海道財務局の調査は今回の北海道企業経営者意識調査とは対象企業や調査方法が異なるため、両調査の数値を直接結び付けて評価することはできない。
10~12月期の見通しもマイナス12 収益改善が今後の焦点
北海道の企業経営者意識調査では、2026年10~12月期の業況感BSI見通しもマイナス12ポイントとなった。
原材料高や人手不足に関する指標は前期より改善したが、企業経営者の先行き判断は慎重な状態が続いている。
今後は原材料費の変動だけでなく、販売価格への転嫁がどこまで進むか、従業員確保に必要な費用を収益で賄えるかが道内企業の経営を左右する重要な論点となる。
景況感の改善が企業の利益改善につながっているかどうか、売上高だけでなく採算面の動向を継続して確認する必要がある。





