アイコン 【米国IT】Squarespaceが約300人削減 従業員19%、AIで変わるWeb制作市場と開発体制


米国のWebサイト制作・運営サービス大手「Squarespace(スクエアスペース)」が、世界の従業員の約19%に当たる約300人を削減することが分かった。2026年11月2日、米ITメディアのThe Vergeが報じ、TechCrunchも同社広報担当者への取材で確認した。 削減対象は製品開発・エンジニアリング部門が中心。会社側は組織の簡素化と意思決定の迅速化を目的に挙げている。生成AIによるWebサイト制作が普及し、従来のWeb制作サービスを取り巻く競争環境が変化するなか、同社も開発体制を再編する。 ただし、今回の人員削減がAIによる従業員の直接的な代替を目的としたものかは確認されていない。会社側は、AIインフラへの投資拡大を目的とする削減との見方を否定している。

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従業員約1800人の19%を削減 開発部門が中心

Squarespaceは2004年設立。専門的なプログラミング知識がなくてもWebサイトやオンラインショップを構築できるサービスを展開し、独自ドメイン、ホスティング、EC関連機能などを提供している。

今回の削減規模は約300人で、従業員約1800人の19%に相当する。創業者兼CEOのアンソニー・カサレナ氏が従業員向けに通知した内容によると、主な削減対象は製品開発とエンジニアリングの両部門となる。

米国の対象従業員には11月2日に通知し、米国外については各国の法令や手続きに従って対応する。削減対象人数は公表されているものの、退職手続きが完了した人数は確認できていない。

退職者には最低16週間分の基本給に加え、勤続年数に応じた補償を提供。医療保険などの福利厚生を2027年5月まで継続し、再就職支援も実施する。

生成AIで変わるWeb制作市場 文章の指示からサイトを構築

今回の組織再編を考えるうえで注目されるのが、生成AIによるWeb制作技術の進展だ。

従来のWebサイト制作サービスは、利用者がテンプレートを選び、文章や画像を配置しながらページを構築する方式が中心だった。これに対し、生成AIを活用した新しいサービスでは、作成したいWebサイトやアプリケーションの内容を自然言語で指示することで、AIが画面デザインやコードを生成する。

こうした制作方法は「バイブコーディング」とも呼ばれ、専門的なプログラミング知識がない利用者でも、Webサイトやアプリケーションの試作・構築を進められるようになっている。

米IT企業Wixは2025年、AIによるアプリ制作サービス「Base44」を8000万ドルで買収した。AI開発サービスのLovableも2026年8月に4億ドルを調達し、企業評価額は133億ドルに達した。Googleも自然言語などからユーザーインターフェースを生成する「Stitch」を展開している。

これらの動きは、Web制作市場の競争が、従来のテンプレートや編集機能の使いやすさだけでなく、AIによってどこまで制作工程を自動化できるかという領域にも広がっていることを示している。

Squarespaceも「Blueprint AI」を投入 新サービスFormaを計画

Squarespace自身も、AI関連サービスの開発を進めている。

2024年には、AIを利用したWebサイト制作支援機能「Blueprint AI」を発表した。利用者がサイトの目的やデザインの好みなどを指定すると、AIがサイト構成や文章、商品説明などの制作を支援する。

さらに同社は、新たなAIネイティブプラットフォーム「Forma」の提供を予告している。2026年11月2日時点では利用希望者向けのウェイトリストを受け付けており、従来のWeb制作サービスにAI機能を追加するだけでなく、新しい制作環境の構築にも取り組んでいる。

一方、今回の人員削減とAI関連サービスへの投資には、明確に区別すべき点がある。

匿名の職場コミュニティでは、AIインフラへの投資拡大が人員削減の背景にあるとの見方が出ていた。しかし、SquarespaceはInvesting.comの取材に対し、今回の組織再編をAIインフラへの投資拡大計画と結び付けるのは適切ではないと説明した。

AIを利用した開発業務の効率化が今回の削減にどの程度関係したかについても、具体的な説明は確認できていない。

開発チームを小規模化 組織階層も簡素化

カサレナCEOは従業員向けの通知で、技術や事業環境の変化に合わせ、会社の業務運営方法を見直す必要があると説明した。

今後は開発チームの小規模化に加え、管理業務だけでなく実務にも携わる管理職を増やし、組織階層を減らす方針を示している。

CEOは今回の再編について、特定の財務目標を達成するためではなく、将来の業務運営に適した組織へ移行するための措置だと説明している。

このため、今回の約300人削減を、AIによって同数の従業員が不要になった事例と断定することはできない。

ただし、生成AIの普及によってWebサイト制作の技術やサービスが変化するなか、従来型のWeb制作プラットフォームを展開してきた同社が、製品開発部門を中心に組織再編へ踏み切ったことは注目される。

2024年に約72億ドルで非上場化 買収から約2年で再編

Squarespaceは2021年に米株式市場へ上場したが、2024年10月には投資会社Permiraによる買収を通じて非上場化した。買収時の企業評価額は約72億ドルだった。

今回の大規模な組織再編は、非上場化から約2年後に実施されることになる。

ただし、買収後の財務負担や業績悪化が今回の人員削減の直接的な原因だったことを示す資料は確認できていない。

Web制作市場では生成AIを活用した新興サービスが台頭しており、既存企業も新技術への対応を進めている。Squarespaceの今回の再編は、こうした市場環境の変化のなかで開発体制を見直す動きとして注目される。

Squarespaceの人員削減概要

企業名 Squarespace
本拠地 米国ニューヨーク
設立 2004年
削減発表 2026年11月2日
削減人数 約300人(約19%)
主な対象 製品開発・エンジニアリング部門
退職補償 最低16週間分の基本給など
非上場化 2024年10月、Permiraが買収
主なAI関連サービス Blueprint AI、Forma(提供予定)

※削減人数は会社が示した概数であり、退職完了人数ではない。AIによる直接的な雇用代替は確認されていない。

【参考資料】
The Verge(2026年11月2日)
TechCrunch(2026年11月2日)
Business Insider(CEO社内通知)
Investing.com(AI投資との関連について会社回答)

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