福岡市南区塩原に酒蔵を構える老舗の綾杉酒造場が、7月末にも約230年の歴史に幕を下ろす。
約60年前まで市中心部の天神地区で酒を醸造しており、現在地に移転した後も博多の夏の伝統行事「博多祇園山笠」にちなんだ酒を販売して地元に親しまれてきたが、日本酒の消費減少などから廃業を決めた。
寛政5年(1793年)に天神地区で創業した県内屈指の老舗。銘柄の名称でもある綾杉は、創業者が現在の福岡市東区香椎の出身だったことから、付近の旧官幣神社・香椎宮に今もある神木の名から取った。江戸時代は黒田藩に酒を納めていたという。
酒蔵としては小規模で、商品は天神地区の綾杉酒造場跡地の一角に設けた「酒のぎゃらりい・綾杉」や、福岡市内の商業施設などで販売してきた。その名は天神の一角に綾杉駐車場、綾杉ビルなどとして今に残っている。
オーナーの中尾さんは、国内の日本酒消費量は減少傾向で、自社醸造をしていないと商品展開に限界があり、2年ほど前から廃業を検討していたといい、ここにきて「長く続けてきた酒蔵を終えるのは心苦しいが、今の状態で次の世代に引き継ぐのは難しい」と決断したという。廃業はするが、現在の酒蔵の建物は取り壊さずに活用していく予定。「酒造りの道具も大事に残しているので、地域の人々に喜んでもらえるような施設にしたい。ゆっくり考えます」と話しているという。
以上、毎日新聞等報道参照